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新着情報 その2


No. 20016 スターリングシルバー サラダ サーバー with ピアストワーク
長さ 21.4cm、重さ 54g、ボール部分の長さ 7.7cm、最大幅 4.6cm、深さ 1.2cm、柄の最大幅 2.8cm、柄の最大厚み 2.5mm、1943年 バーミンガム、二万七千円

今から七十年以上前に作られたスターリングシルバーのサービングスプーンで、元々サイズの大きなシルバーですが、透かし柄部分も大きめで、迫力のある仕上がりになっています。 柄元の方は最大で2.5ミリほどの厚みがあります。 ピアストワークが施されたあたりも2ミリ弱の厚みがあって、透かしを切り出していく作業には時間と労力がかかったと思います。 

ピアストワークは手仕事で、糸鋸を引いたギザギザ跡が残っています。 ルーペを使って詳細に調べてみると、糸鋸を引いた跡も繊細で、細工のよい品であることが分かります。 手仕事で糸鋸を引いていくのですから、職人さんの優れた技術と多くの時間がかかります。 

現代のシルバースミスの方からお聞きしたことがありますが、作業にかなりの時間を要するこうした透かし細工は、現代の労働コストが上昇した英国では、大変なお金がかかり、もはや出来ないとのことでした。 そして、そもそもこれだけの技術を持った職人さんが現代ではいなくなっているのです。 

写真三番目に見えるように、柄の裏面にはブリティッシュ ホールマークがしっかり深く刻印されているのもよいでしょう。 ホールマークは順にメーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1943年のデートレターになります。

写真のタイプのシルバーウェアのことを、イギリスではサラダ サーバーと呼ばれます。 英国アンティーク シルバーウェアの参考書に記述があったので、写真四番目でご紹介しています。
サラダ サーバーは1750年頃からイギリスで作られるようになりました。 写真四番目で右側に見えているのは、18世紀後半 ジョージ三世の頃のオールドイングリッシュ パターン サラダサーバーです。 写真左側に見えるのはやはりオールド イングリッシュ パターンのサラダサーバーで、こちらは19世紀の作になります。

この品が作られた1943年は第二次大戦の最中になります。 英国は戦勝国とはなったものの、大変な時期であったことは間違いありません。 ロンドンはドイツから弾道ミサイルの攻撃を受けたり、爆撃機による空襲も頻繁にありました。 私の住む町はロンドンの北の郊外で爆撃の目標にはならなかったようですが、近所のお年寄りの話では、ロンドンを空襲した帰りの爆撃機が、残った爆弾を燃料節約の為に落としていくコースに当たっていて、怖かったとのこと。 

とは言うものの、写真のようなピアストワークの素晴しい不要不急品を作っていたとは、当時のイギリスは結構余裕もあったんだなあ、と思うのです。

スターリングシルバー サラダ サーバー with ピアストワーク


No.20005 ヴィクトリアンor エドワーディアン ウェーブパターン スターリングシルバー クロス
クロス本体の縦(丸い留め金含まず) 2.35cm、横 1.45cm、厚さ 1.5mm、Francis Barker & Son Ltd作、ヴィクトリアン終り頃の1894年からエドワーディアンの1908年までに作られた英国製、一万一千円

小振りな品ながら手彫りのエングレービングは素晴らしい出来栄えで、昔の時代ならではの丁寧な仕事がしてあるアンティーク クロスと思います。 写真では奥行きが分かりづらいですが、厚さが1.5ミリのホロー(中空)構造をした、純銀製クロスです。 

彫刻のモチーフはウェーブパターンです。 波模様モチーフには、Continuation(続いていくこと)や Eternity(永遠)という意味合いが象徴されており、ヴィクトリアンからエドワーディアンの頃に好まれたクリスチャンモチーフのデザインです。

波模様の基本デザインは、深めなタッチで彫られています。 その背景に色合いが濃く見える部分も微細な彫刻で影を付けた細工です。

アンティークハント用のルーペがお手元にあれば、このクロスに施された手仕事の素晴らしさも分かっていただけると思います。 ウェーブの基本デザインの背景に色合いが濃いめに見えるシェード部分は、1ミリ間隔に何本もの細かさで彫刻線を走らせた、ハンド エングレービングとしては限界的な仕事になっています。 また、そうした背景部分の繊細さはもちろんですが、基本デザインの深めな彫りも丁寧な手仕事で、じっくり観察していくと、彫りの跡から彫刻刀を振るった向きまでもが窺い知れ、銀職人さんの息遣いが伝わってくるところにも惹かれる品と思います。

裏面には「F.B&S」のメーカーズマークと、スターリングシルバーを示す「STG」の刻印があります。 デートレターがないので製作年を一年刻みで特定することは難しいのですが、ウェーブパターンは百年ほど前の時代に流行ったデザインであることに加えて、ホロー(中空)構造であること、そして手彫りのエングレービングの見事さからみて、ヴィクトリアン終り頃からエドワーディアン頃の英国製で間違いないでしょう。

あらためてメーカーズマークから製作者の情報を調べなおしたところ、以下のことが分かりました。
メーカーの「Francis Barker & Son」はヴィクトリア初期の1848年に、Richard Groves と Francis Barkerという二人の共同パートナーがロンドンで始めた「Groves & Barker」という工房が前身です。二人のパートナーシップは1865年に解消されましたが、同年にフランシス バーカーは息子と共に「Francis Barker & Son」として工房を引き継ぎました。エドワーディアン後期の1908年にはリミテッドカンパニーに改組され、以後1960年まで「Francis Barker & Son Ltd」の社名でゴールド&シルバースミスとして仕事を続けています。

このクロスに刻印された「F.B&S.」のメーカーズマークは、1894年にアセイオフィスに登録され、工房が家族経営から会社組織に変わった1908年まで使われたマークですので、このクロスが作られた年代はデートレターがなくても、ヴィクトリアン末期の1894年からエドワーディアンの1908年にかけての十数年の間に作られた品だと分かるのです。
ヴィクトリアンor エドワーディアン ウェーブパターン スターリングシルバー クロス(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


36. シェイクスピア英語原典の読み方 (イギリスの学習参考書から眺めた英国における古典教育)
小中学生向け学習参考書の一部をご紹介して、世界の古典ともいうべきシェイクスピアに親しむ方法を考えてみます。



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