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新着情報 その1


新着のアンティークは、11/21 アップ分が最新です。 (下線付き品物名をクリックして、詳細画像と説明をご覧ください。)
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No. 20030 『お気に召すまま』 アーツ・アンド・クラフツ 布張り装丁 チズウィック・ プレス ヴィクトリアン シェイクスピア シリーズ
縦 15.4cm、横 10.4cm、厚さ 1.1cm、119ページ、重さ 147g、1899年 George Bell & Sons ロンドン、Chiswick Press 印刷、9800円

イギリスの劇作家シェイクスピアの喜劇 『お気に召すまま』 のヴィクトリアン アンティーク本になります。 ハッピーエンドないいお話です。

百年以上前の本ですが、コンディション良好で、手元において眺めていても満足です。あまり手にされることなく、今日に至っているものと思われ、そのあたり、アンティークとしてもありがたい特徴になっていると思います。

日本の文庫本サイズですが、ハードカバーの布張り装丁本で、たいへん格調高いアンティーク本と感じます。 扉を開いてみると、写真二番目の下方に見えるように、『London George Bell & Sons 1899』とあります。 このシェイクスピア シリーズは、ヴィクトリアン終り頃からエドワーディアン頃にかけて、順に出版されましたが、この本はヴィクトリア時代の終り頃にあたる1899年に出たものと分かります。 

このシリーズ書籍は夏目漱石と大いに関係ありと、私は考えております。 ロンドン留学中に英文学書籍を買い集めていた漱石が、書店で見て手にして、おそらくは求めて日本に持ち帰った一冊だろうと推理しています。 詳しくは以下をご覧ください。

45. 漱石の英国留学、チズウィック・プレス アーツ・アンド・クラフツ装丁 ヴィクトリアン シェイクスピア本、そして漾虚集(ようきょ集)

モスグリーンの布張り装丁には、アーツ・アンド・クラフツのチューリップ & フォーリッジ インターレーシング パターンが綺麗です。 印刷元のチズウィック・プレスは、ウィリアム・モリスの初期デザインを世に知らしめたことで名を成して、イギリスにおける印刷の歴史に大きな足跡を残しました。 

また、挿絵を描いている Byam Shaw はヴィクトリアン後期からエドワーディアンの頃に活躍したラファエル前派からつらなる画家で、シェイクスピアの挿絵画家としても人気がありました。 1910年には Byam Shaw School of Arts を創立しています。 現在ではこのアート・スクールは芸術分野において世界でも有数なCentral Saint Martins の一部になっています。

本文および用語解説の本体部は119ページありますが、それ以外に巻頭部には挿絵とイントロダクションが十ページほどあって、その後に登場人物説明、そして本文にあたる第一幕が始まっていきます。 

写真三番目は第一幕の始まり部分で、合計五幕構成の各幕始めにはそれぞれに違っていて楽しめるちょっとした挿絵があります。 その他に写真四番目&五番目のような大きな挿絵が合計六ページあるのも嬉しいところです。 

最終幕の後に写真六番目のような挿絵と『The End』が見えます。 さらにその後に続いているのが、「Glossary and Notes」の巻末用語解説で、五ページあって昔の用語について参考になります。 

英国BBC製作テレビシリーズの一つである『お気に召すまま』 を手助けにして、ヴィクトリアン アンティーク本を読んでみるのも面白いと思います。 ユーチューブにアップされているので、利用可能でありましょう。 百年以上の古さを持ったアンティークなテキストは、ちょっと立派過ぎるかも知れませんが、英語シェイクスピアの鑑賞&学習、まずは形から入るやり方もありでしょう。 

それでは、『お気に召すまま』から名台詞を二つほど。

JAQUES : All the world's a stage, And all the men and women merely players; この世は舞台、男も女もみんな役者さ。

もう一つ、
ROSALIND. I pray you, what is't o'clock? ロザリンド: お願い、教えて、今何時なの?
ORLANDO. You should ask me what time o' day; there's no clock in the forest. オーランド:一日のどのあたりかって聞くべきだね。 森には時計はないのさ。

「森に時計はない。」 これなどは、忙しい現代の人たちでも、何かの折に使えそうな台詞です。 シェイクスピアを踏まえていると分かれば、なおグッド。 ちょっとキザですが。

それから、私が使っているシェイクスピア読解法を一つご紹介しておきましょう。 やっぱり一番簡単なのは、まず映像で見ることではないかと思います。 例えば最近 『The Tempest』、The Shakespeare Collectuin、BBC版を見ました。 1970年代後半にイギリスのBBCがシェイクスピアの作品をテレビ化した一連の作品集のDVDが出ています。 せりふはシェイクスピアの台本通りですし、映像作品であることから、少しの時間で一通りの理解は進みます。 映像で見終わってから、あらためて書物を紐解くと、初めは難しく思えたシェイクスピアの原典も意外に早いこと読めるものです。

シェイクスピア英語原典の読み方』の解説記事をご参考ください。 シェイクスピアは劇なので、本から入るより映像からとっかっかるのが一番というのが私の考えです。

『お気に召すまま』 アーツ・アンド・クラフツ装丁 チズウィック・ プレス ヴィクトリアン シェイクスピア シリーズ、BBC製作のDVD付『お気に召すまま』 アーツ・アンド・クラフツ装丁 チズウィック・ プレス ヴィクトリアン シェイクスピア シリーズ、BBC製作のDVD付


No. 20034 フランス製 シルバー 船舵 ペンダントヘッド SOLD
最大外直径 3.4cm、銀の最大厚み 3mm強、重さ 13g、19世紀終り頃のフランス製、SOLD

かなり持ちはかりがあって、しっかりした銀の質感が心地よいフランス製シルバー 船舵 ペンダントヘッドです。 ホイール最上部の銀円環につながる取り付け部にはフランス製のシルバーであることを示すホールマークが刻印されています。

フランス製シルバーホールマークや、モチーフ、そして細工の様子から見て、フランスやイギリスで海浜リゾートブームがあった19世紀終り頃に作られた銀と思います。 

モチーフとしての舵=ホイールはTime(時の経過)、Fortune(運勢、幸運、財産)、Sun(太陽)等をシンボライズするデザインです。 また、クリスチャンモチーフとしての意味合いにおいては、St.キャサリンを表象するデザインとされます。 そうした中で特に中世の昔にあってはFortuneの意味合いが重視されていました。 パリのノートルダム寺院やアミアン大聖堂のゴシック建築に見られる中世の円形窓は、Wheel of Fortuneを表現していると言われます。

時をくだって、船舵のデザインはマリンモチーフが流行った頃の影響が出ているとも考えられます。 19世紀終り頃から20世紀の初頭にかけて、イギリスやフランスの海浜リゾートが賑わって、ロープや船の舵、波、シーガル、ヨットといったマリンモチーフが人気となったのです。 そしてマリンモチーフの中でも船舵デザインは、未知の海原に途を切り拓いていくポジティブイメージを示すデザインとして好まれたものです。

さらに、シルバーという素材は幸福に通じることから、銀の船舵でダブルGood Luck となっています。

フランス製 シルバー 船舵 ペンダントヘッド


No.20038 革張りケース入り マザー オブ パール オペラグラス
伸ばした長さ 5.6cm、縮めた長さ 4.7cm、横幅 10.4cm、鏡筒部の最大外直径 3.8cm、対物レンズ直径 2.6cm、接眼レンズ直径 1.35cm、本体の重さ 155g、1900年前後の品、19800円

マザーオブ パールという素材はミルクホワイトの輝きが内側からこぼれてくるようで、光に当たると見えてくるうっすらとした虹色の輝きが綺麗です。 

マザー オブ パールの品をお買い上げいただいたお客様から、次のようなお便りをいただきましたので、ご紹介させていただきます。
『取手の白蝶貝のうっすらとした輝きがとても綺麗です。 まるで、嵐が来る前の空のようだと思いました。 上空を凄い速さで白い雲が流れていく中、時折、空全体がぱあっと明るくなる様子を髣髴とさせます。』

イギリスは一日の中でもお天気の移り変わりが激しくて、さっきまで晴れていたかと思うと、一転してにわかに雲が天を覆うことも多く、お客様からの文章にあったような光景をしばしば目にいたします。 なるほどと、マザーオブパールをとてもよく形容しているように思いました。

マザー オブ パールのオペラグラスでかなりの芸術品と思います。 飾っておいても美しく、楽しめるアンティークなオペラグラスですが、ピント合わせの操作もスムーズで実用上もよい品です。 

写真二番目に見えるように、接眼部にもマザー オブ パールが入っていて綺麗です。

観劇の季節になれば、お手元にアンティーク オペラグラスがあると楽しみも増えましょう。 また、私は自然観察用にもオペラグラスを使っています。 ちょっと散歩に出ましても、フィールドではリスが忙しそうですし、野うさぎはのんびり草を食べています。 夕方になると昼間は森に隠れていた鹿も出てきます。 庭の桜の木に餌場があり、いつも野鳥やリスがやって来て賑わいます。 オペラグラスを使うと、やはり肉眼よりよほどよく見えて楽しくなるのです。
革張りケース入り マザー オブ パール オペラグラス(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)革張りケース入り マザー オブ パール オペラグラス(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


No. 20037 フォートナム&メイソン エコバッグ
素材 ジュート(麻)+コットン水色 、サイズ 横42cm マチ20cm 縦32cm、3000円

バッグの両面ともに同じ図柄となっていて、おしゃれな買い物バッグです。 

持ち手のハンドルは左から右まで62センチと長めで、肩掛けOKの使いやすさがあります。

ウェーブパターン様の草花模様は典型的なヴィクトリアン デザインです。

EST 1707の中程に王冠が描かれているのは、英国王室御用達を意識したものでしょう。

その下のティーキャディやスパイス入れも可愛いです。

以下の記述は、フォートナム&メイソンの略史がつづられているようにも読めます。

FORTNUM & MASON
EST 1707
Tea, Spice, Coffee
PROVISIONS
Spice Importers
TEA DEALERS &
GROCERS

フォートナム&メイソン
創業1707年
ティー、スパイス、コーヒー
食糧品
香辛料 輸入業者
ティー ディーラー
食料品雑貨商
フォートナム&メイソン エコバッグ(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)フォートナム&メイソン エコバッグ(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)フォートナム&メイソン エコバッグ(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


No. 20033 ハノーベリアン パターン with ラットテール スターリングシルバー ティースプーン 一部 SOLD
長さ 9.3cm、重さ 10g、最大幅 2.1cm、柄の最大幅 0.85cm、柄の最大厚み 2mm強、1962年 バーミンガム、Turner & Simpson作、一本 3800円 (6本あります-->4本あります。)
今から半世紀以上前に作られたスターリングシルバー スプーンです。 小振りな銀でありますが、細身のフォルムから品のよさが感じられる銀製品です。 

写真一番目に見えるように、ハンドル部分の中央部は山の稜線のように、まわりから盛り上がった作りになっています。 この銀の稜線構造によって、しろがねに映る光の反射に変化がもたらされ、シンプルな銀スプーンでありながら、ほどよいアクセントとなっています。 また、手にした時の銀の厚みにもつながる作りであって、好印象な銀製品と思いました。

よく見ていくと、ブリティッシュ シルバーウェアの長い伝統に裏打ちされた銀であると分かってきて、そんなところにも、興味を惹かれる英国ティースプーンであります。

柄先が少し手前に曲がったタイプで、これがハノーベリアンパターンと呼ばれます。 写真二番目でボール裏面を見ていただくと、先が細くなったネズミの尻尾のようなデザインになっており、これはラットテールと呼ばれる構造です。 ラットテールはハノーベリアン パターンに付随して現れることが多いデザインです。

ラットテールはハノーベリアン パターンと、それより以前のドッグノーズやトレフィッド パターンで見られる構造ですが、元々は柄とボールの接合部分を補強するために採用された手法でした。 スプーンの歴史を考えてみると、棒状の柄の先にボールを取り付けたスプーンという道具は、技術レベルが低かった初期段階においては、柄とボールの接合部から壊れることが多かったのです。 

そこで考えられたのが、ラットテールという梁を付けて補強する方法でした。 そのうちに、素材の質や工作技術のレベルが向上してくると、ラットテールは実用上の必要性が薄くなってきましたが、今度は装飾的な観点から、ラットテールが採用されることも出てきました。 

さらに後の時代になると、まさにこの写真のティースプーンがそれにあたるわけですが、昔風なラットテールはノスタルジーを感じさせてくれることから、時代が移り変わっていっても、時々に選好されたものと考えられます。

なお、イギリスにおけるスプーンパターンの歴史については、英国アンティーク情報欄にあります「4. イングリッシュ スプーン パターン」の解説記事もご参考ください。

ボール部分の裏面にはブリティッシュ ホールマークが、どれもしっかり深く刻印されているのもよいでしょう。 ホールマークは順にTurner & Simpsonのメーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカー、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1962年のデートレターになります。

写真の品が作られた1960年代は、英国に古きよきシルバースミスの伝統が残っていた最後の頃にあたっているように思います。

ヴィクトリアンやエドワーディアンが多い英吉利物屋の扱い品としては、比較的近年の銀になりますが、それでも半世紀を越える年月が経っております。 イギリスで古い銀製品を探していると、1960年代の品には思うように巡り会えないようです。 英国の停滞期と重なっていることが、その理由ではないかとみています。 英国シルバーの近現代史において中抜けした時期にあたっており、その意味でレアもの銀という範疇に入ろうかと思います。

これまでも大切に扱われてきたようですが、こうして半世紀が経ち、一世紀が経っていくのだろうなと見ております。 英国の伝統をよく踏まえた銀でありますが、そうでなくとも品のよいフォルムは十分に美しく、磨きぬかれたソリッドシルバーの輝きを楽しむのも、またよいのではと思わせてくれるシルバースプーンです。

お客様から、なるほどと思わせていただいた銀スプーンのお話がありますので、ご紹介させていただきましょう。 
『先日北海道では珍しい大型台風が通過し、短時間ですが停電となってしまいました。 夜、仕方がないので古い灯油ランプを持ち出し屋内の照明としたのですが、以前手配いただいたティースプーンをランプの光にかざしてみたところ、ほの暗い明るさの中、スプーンのボウル内や彫刻の輝きにしばし見とれました。 銀のアンティークには点光源の古い照明が合うようです。 また昔の貴族が銀器を重用したのもうなずける気がします。』

私はアンティーク ランプ ファンで、早速に試してみたのですが、シルバーにアンティークランプの灯がほんのりと映って揺れているのを見ていると、なんだか心が落ち着くものでした。

もう一つ、銀のスプーンをお求めいただいたお客様からのご感想です。

『さて、実際に手に取ってみると、なかなか素敵な物です。銀だから価値があるというより、これだけの年月を経て、なおちょっとしたお手入れをするだけで、作られた当時とほとんど同じ状態で使い続けられるという点の価値はすごいと思います。まとめ買いした安いスプーンがいつの間にかどこかにいってしまったり、曲がったりすり減って黒くなり、何回も買い直していることを考えると、世代を超えて使われる銀器は節約の象徴のような気もしてきます。』

銀をお手入れしながら使っていくことの意味について、まさにわが意を得たりというコメントでありましたので、ご紹介させていただきました。
ハノーベリアン パターン with ラットテール スターリングシルバー ティースプーン


No. 19193 雪結晶 ピアストワーク ヴィクトリアン スターリングシルバー フォブ ペンダントヘッド SOLD
最大横長 3.5cm、縦の長さ 3.8cm、最大厚み 3mm、重さ 11g、1899年 バーミンガム アセイオフィス、SOLD
百年以上前のヴィクトリア梠繧ノ作られたスターリングシルバーのフォブで、雪結晶のようなフォルムに惹かれて求めました。 表面には楯状飾りが付いていて、裏面には丸飾りと、雰囲気が違っていて、表と裏で二通りに楽しめるのはよいでしょう。 
雪結晶 ピアストワーク スターリングシルバー フォブ ペンダントヘッド


No.20002 スターリングシルバー GOOD LUCK ホースシュー ペンダントヘッド SOLD
ホースシューの横の長さ 2.4cm、縦 2.3cm、最大厚み 3mm、1941年 バーミンガム、13800円 SOLD

この品はSOLDとなりましたが、同等品を入手すべく、心当たりをあたっております。 ご興味の方は先行してご予約を承りますので、ご連絡くださいませ。 店主

スターリングシルバー GOOD LUCK ホースシュー ペンダントヘッド スターリングシルバー GOOD LUCK ホースシュー ペンダントヘッド


No. 20046 エドワーディアン スターリングシルバー ブライトカット フェザーエッジ シュガートング
長さ 9.0cm、重さ 15g、つまみの間隔 3.0cm、アーム部分の最大厚み 2mm弱、1911年 ロンドン、Wakely & Wheeler作、9800円

柄のデザインはブライトカットのヴァリエーションで、フェザーエッジと呼ばれ、光の反射を美しく誘います。 百年以上も前に作られた銀製品ですが、コンディション良好な美しい品です。

内側にはスターリングシルバーを示すライオンパサント、ロンドン アセイオフィスのレオパードヘッド、1911年のデートレター、そして反対サイドに「Wakely & Wheeler」のメーカーズマークの刻印があります。 

この品が作られた1911年はエドワーディアンの時代が終った直後で、第一次大戦が始まる前であることから、デザインや様式的にエドワーディアンと呼んで差し支えない時代の雰囲気を反映した銀器になっているものと思います。

英国でアンティークという言葉を厳密な意味で使うと、百年以上の時を経た品物を指します。 写真のシュガートングが作られたのは1911年ですから、少し前に正式なアンティークに仲間入りしているわけです。 日本における1911年といえば明治時代の終り頃にあたり、ずいぶんと昔のことになりましょう。 やはり百年経っているということは、アンティークとしての大きな魅力になると思うのです。

ちなみにこの頃の歴史年表を眺めてみますと、1910年:エジソンが電球を発明とか、1912年:タイタニック号氷山に衝突して沈没とか、出てきます。 あるいは日本では明治から大正にかけての時代、例えば、夏目漱石の『こころ』が世に出た頃のことであって、ずいぶん昔のことなのです。 アンティークを手にしていると、百年に近い時の経過があらためて身近に感じられるのは楽しいことです。

この品を作ったシルバースミスの「Wakely & Wheeler」は、その創業が1791年という老舗です。創業者はジョン ライアスという人でしたが、19世紀の後半には創業家のライアスファミリーは仕事から退いて、当時のパートナーであったウェイクリーとウィーラーによって事業が引き継がれていきました。ガラード、エルキントン、マッピン&ウェッブといった有名メーカー&リテーラーにライアス時代からずっとシルバーウェアを納入していたWakely & Wheelerはジョージアンとヴィクトリアンを通しての優良シルバースミスの一つと言ってよいでしょう。

フェザーエッジの歴史は古く、イギリスのシルバーウェア史に現れたのは、今から二世紀半ほど前になります。 より具体的には、この装飾的なフェザーエッジの技法が初めて登場したのは1770年代のことでしたが、それは良質の鋼(はがね)が生産可能となってエングレービングツールの性能が向上したことによります。

似たような装飾技法にブライトカットがあり、フェザーエッジはブライトカットの派生系と言われます。 しかし、二つは歴史的にほぼ同時期に作られ始めていることから、二つの技法の関係は派生関係というよりも、兄弟姉妹の関係に近いとも考えられます。 

ブライトカットは、ファセット(彫刻切面)に異なった角度をつけていくことによって、反射光が様々な方向に向かうようにした彫刻技法です。 ファセットは平面状で一種類、それを互い違いに角度を変えて彫っていきます。 

フェザーエッジはU字谷とV字谷を隣合わせに彫っていく手法です。 V字谷のファセットは平面で向かい合う二面の角度が違っているところはブライトカットに似ています。 加えてU字谷のファセットは凹面状なので、当然ながらその反射光も様々な方向に向かいます。 V字谷のシャープな反射光に対して、U字谷の反射光は穏やかな感じで、二種類の輝きのコントラストに特徴があります。

一本の彫刻刀で作業を行うブライトカットに対して、フェザーエッジではU字とV字の二種類の彫刻刀を使いますので、その意味でブライトカットの進化系あるいは派生系がフェザーエッジと言われるのかも知れません。
スターリングシルバー ブライトカット フェザーエッジ シュガートング


No.19031 スターリングシルバー リング with ブリティッシュ シルバー ホールマーク SOLD
リング内径 1.75cm、楕円の飾り部分長径 1.5cm、楕円の短径 1.15cm、重さ 7g、1976年 バーミンガム アセイオフィス、SOLD

ゴロンとした銀塊のような風情に惹かれました。 リングであることはもちろんですが、このタイプの銀リングですと、イギリスではペンダントヘッドとして身に着けている方もいらっしゃいます。 そういう使い方も素敵だなと見ております。

ハ真O番目に見えるように、内側には四つのブリティッシュ シルバー ホールマークがしっかり深く刻印されています。 ホールマークは順にメーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1976年のデートレターになります。

デートレターから判読できる製作年は1976年で、ヴィクトリアンやエドワーディアンが多い英吉利物屋の扱い品としては、比較的近年の銀になりますが、それでも四十年ほどの年撃ェ経っております。 年撃フ経過を考慮しても、コンディションの良好な品でありますことから、おそらくあまり使われることなく今に至っている銀製品と思います。

これまでも大切に扱われてきたようですが、こうして半世紀が経ち、一世紀が経っていくのだろうなと見ております。 

それから、リング内側に刻印されているライオンパサント(=横歩きライオンの刻印)は、英国製スターリングシルバーの銀純度を保証するマークになり、重要な刻印です。 ライオンパサントの歴史について少し解説しておきましょう。 

横歩きライオンのマークが初めて導入されたのは今から460年ほど前の1544年のことになります。 これは当档eューダー朝のヘンリー八世が行った低品位銀貨の鋳造と関係があります。 歴史上どこの国でも財政が逼迫してくると、悪貨を鋳造することがひろく行われてきました。 日本の江戸時代にも同じようなことがあったと思います。 

銀貨と銀器がほぼ同等な価値を持っていた昔の時代にあっては、お上の定める低品位銀貨の価値でもって、高品位な銀器と交換されてしまっては、損してしまうことになります。 そこでその銀器が92.5%の銀純度であることを保証するマークとして、ライオンパサントが導入されたわけです。 

歴史や伝統に格別なこだわりを持つイギリス人は、ライオンパサント(=横歩きライオンの刻印)にも特別な愛着があって、五百年の長きにわたって、この刻印を使い続けて今日に到っております。




No.20044 マッピン&ウェッブ シルバープレート ティー or コーヒー ポット
蓋のつまみまでの高さ 19.0cm、注ぎ口先端からハンドルまでの長さ 17.2cm、ボディの最大直径 9.8cm、重さ 512g、容量 1.5 Pint(=855ml)、Mappin & Webb作、16800円

古い品ではありますが、とてもコンディションがよろしくて、綺麗なまま現在に至っているところが嬉しいマッピン&ウェブのポットです。

容量は1.5パイントですから、イギリスで言えば中型サイズのポットになりましょう。 

実際に使ってみて、ポットのお湯残量が多い時でも少ない時でも、すっきり気持ちよくお湯切れします。 ハンドルには指かけもありますので扱いやすく出来ています。

蓋のつまみは取り外しが出来ます。 時々のクリーニングが容易に出来ましょう。 ヒンジがしっかりした作りであるところも、メーカーのよさを表しているように思います。

写真四番目に見えるように、裏面には 「1 1/2 PINT」の表示があり、これは容量を示しておりますが、英国風な Pint 表示となっています。 1と1/2パイントですから、570ml*1.5=855mlです。 他に「MAPPIN & WEBB」のメーカー名や、「LONDON & SHEFFILD」の文字などが見えています。

アンティークのポット一般に言えることですが、大きくて重たい品が多く、そこへさらにティー or コーヒーが入るとなると、重くて持つのが大変です。 このポットの容量ですと、英国アンティーク ポットとしては小振りから中程度の大きさになりますが、日本の急須の感覚から言えばそれでも十分に大きく、一人か二人で日常使いするにはちょうどよいサイズと思います。 「大は小を兼ねる」ということでお一人用、あるいは普通にはお二人用としてお使いいただけるでしょう。

ティーやコーヒーがお好きな方なら、書斎の机にこのポットを置いて、仕事や勉強をしながら毎日親しめるアンティークはいいものです。 可愛らしいアンティークで、日常使いに欠かせないポットになろうかと思います。

この品を作ったメーカーである 「Mappin & Webb」の名前に惹かれたこともあって求めました。 シルバープレートウェアについては、英国アンティーク情報欄にあります「10.エルキントン社のシルバープレート技術と明治新政府の岩倉使節団」の解説記事をあわせてご参考ください。

このティーポットを作った「Mappin & Webb」は言わずと知れた有名メーカーですが、その歴史は興味深いので、少し振り返って見ておきましょう。

マッピン関連のアンティークを扱っていると、「Mappin & Webb」とよく似た名前の「Mappin Brothers」というシルバースミスに出会うことがあります。
「Mappin Brothers」は1810年にジョセフ マッピンが創業した工房で、彼には四人の後継ぎ息子がありました。四人は上から順にフレデリック、エドワード、チャールズ、そしてジョンで、年長の者から順番に父親の見習いを勤めて成長し、1850年頃には引退した父ジョセフに代わって、四兄弟が工房を支えていました。

ところが末っ子のジョンは、工房の運営をめぐって次第に兄たちと意見が合わなくなり、ついに1859年には「Mappin Brothers」を辞めて独立し、「Mappin & Co」という銀工房を立ち上げました。 以後しばらくの間、「Mappin Brothers」と「Mappin & Co」は「元祖マッピン家」を主張しあって争うことになります。

しかし最初のうちは「Mappin Brothers」の方が勢力があったこともあり、1863年には末っ子ジョンの「Mappin & Co」は「Mappin & Webb」に改名することとなりました。 Webbというのはジョンのパートナーであったジョージ ウェブの名から来ています。

「元祖マッピン家」問題では遅れをとったジョンでしたが、兄たちよりも商売センスがあったようです。 スターリングシルバー製品以外に、シルバープレートの普及品にも力を入れ、目新しい趣向を凝らした品や新鮮なデザインの品を次々と打ち出し、しかも宣伝上手だったのです。 ヴィクトリアン後期には当時の新興階級の間でもっとも受け入れられるメーカーに成長し、それ以降のさらなる飛躍に向けて磐石な基盤が整いました。

20世紀に入ってからの「Mappin & Webb」は、「Walker & Hall」や「Goldsmiths & Silversmiths Co」といったライバルの有名メーカーを次々にその傘下に収めて大きくなり、今日に至っています。 また、「Mappin Brothers」ですが、時代の波に乗り切れなかったのか、1902年には「Mappin & Webb」に吸収されてしまっています。 ただ、その頃には三人にお兄さん達はとっくの昔に引退しており、後を継いだエドワードの息子さんも引退して、マッピン家のゆかりはいなかったようです。 そうこう考えると、ジョージアンの創業で、ヴィクトリア時代に二つに分かれたマッピンが、エドワーディアンに入ってまた一つの鞘に戻れたことはよかったのかなとも思うのです。
マッピン&ウェッブ シルバープレート ティー or コーヒー ポット


No. 20045 シルバープレート ティーストレーナー with 木製ハンドル
長さ 17.8cm、重さ 92g、ボール部分直径 7.9cm、ボールの深さ 2.1cm、6800円

写真のティーストレーナーは比較的に近年の品と思いますが、「Where there is tea, there is hope. (お茶あるところに希望あり。)」というフレーズが、いかにも英国風と言いましょうか、そういう考え方が私も好きで気に入りました。 

「Where there is tea, there is hope. 」 口ずさんでみると、語呂のよさもいいですね。 

92グラムとけっこうな持ちはかりがありますし、ボール部分の直径は7.9センチですから、大きめで重厚感のあるティストレーナーです。 木製ハンドルはあたたかみがあって、全体にしっかり出来たよい品と思います。

お茶とイギリス人といえば、こんな経験も思い出されます。 ある朝、駅に向かって歩いていたら、駅から戻ってくる人がいて、「Security Alert で、今さっき駅は閉まってしまった。あなたも家に帰ってお茶にした方がいいだろうよ。」と言われたことがあります。 セキュリティ アラートと言うのは、警戒警報のようなもので、不審物など見つかると駅が一時的に閉鎖されることがあるのです。 当該駅は閉鎖されますが電車自体は走っているわけで、日本的な感覚ですと、次に近い駅までバスなりタクシーで行ってでも職場に向かいそうに思うのですが、そうではなくて、「お茶にしよう。」と言うのが、なんとも英国風で、軽いカルチャーショックを覚えた記憶があります。

お茶とイギリス人について、もう一つご紹介しましょう。 1946年4月に発表されたエセル・ローウェル氏の『現在の意味』という論文に、第二次大戦中のロンドンにおける空襲後の一婦人の話があります。

『爆撃の一夜が明けてから、一人の婦人が砲撃された我が家の戸口に幾度も行って、心配そうに往来をあちこち見ていた。 一人の役人が彼女に近づいて、「何か用ならしてあげましょうか。」

彼女は答えた、「ええ、どこかその辺に牛乳屋さんはいませんでしたか。うちの人が朝のお茶が好きなものですから。」

過去は敵意あり、未来は頼みがたい、が、道づれとなるべき現在は彼女とともにそこにあった。 人生は不安定であった。 しかし、…… 彼女の夫は一杯の朝の茶をほしがった。』(引用終り)

「絶対的現在(=永遠の今)」にしっかり足をつけて立つということの例え話であるようですが、「Where there is tea, there is hope. (お茶あるところに希望あり。)」のフレーズが、よりすっきり理解できるお話であるとも思います。

イギリスのティーに関するフレーズといえば、『Keep calm and have a cup of tea』というのがあります。 上記の駅閉鎖の場面でぴったりな感じです。 ただしこれには、原作があって、『Keep calm and carry on』の派生系になっています。

Keep calm and carry on』の再発見と今日の流行には、アンティークな背景があって、興味深いのですが、そんなあたり、いかにも英国風と感じます。
シルバープレート ティーストレーナー with 木製ハンドル


No. 20041 透かしハート シルバーフレーム ジョージ五世 3ペンス銀貨 ペンダントヘッド
ハート横幅 2.5cm、ペンダントヘッド最大厚み 3.5mm、重さ 5g、銀貨は1922年鋳造、チェーンは付属しません、8800円

ウェーブパターンの透かしハートが美しく、銀のやわらかな輝きに惹かれる 『数字の3に王冠 &英国王ジョージ5世 3ペンス銀貨 ペンダントヘッド 』と思います。 付属のチェーンも純銀で、留め具部分には素材がスターリングシルバーであることを示す「STERLING」刻印があります。 透かしフレームにホールマークはありませんが、フレーム素材も銀で間違いないでしょう。

中央に見えるのは1922年の3ペンス銀貨です。 コインの表には英国王ジョージ5世の横顔、裏面は数字の3に王冠デザインです。 

波模様のウェーブパターンは、Continuation(続いていくこと)や Eternity(永遠)を象徴するクリスチャンモチーフで、ヴィクトリアンやエドワーディアンの時代に好まれ、現在に至っています。

また、ハートは現代でも馴染み深いデザインですが、その歴史をたどりますと、英国におけるハートのモチーフはジョージアンの頃登場し、ヴィクトリア期に大流行した経緯があります。

イギリスでは銀貨のペンダントヘッドを時に見かけます。 3ペンスは直径1.6センチと小さいですが、やはり銀貨であるところは嬉しいものです。 

ジョージ五世は1910年から1936年までの英国王で、その王妃がドールハウスでも有名なQueen Maryです。 メアリー王妃はアンティークや刺繍が趣味の奥方でした。 

ヴィクトリアンからエドワーディアン以降しばらくは、大はクラウン銀貨に始まって、いろいろな銀貨が使われましたが、3ペンス銀貨は銀貨としては最小額になります。 最少額とは言えども銀貨であるわけで、そのあたりに面白さを感じます。 

「3」という数、日本でもそうだと思いますが、英語ではラッキーナンバーに通じるものがあって、縁起物ではよく出会う数字です。 ホースシューでご紹介したことがある「Three Horseshoes」もそうですし、チェスター アセイオフィスの「Three Wheat Sheaves(3つの麦束)」も同様でしょう。 

キリストが生まれた時に訪ねてきたという「東方の3賢人」の例もあります。 マクベスの「Three Witches」はどうでしょうか、これはなにかと「3」だと、おちつきがよいということかも知れません。 日本でも「3度目の正直」、「仏の顔も三度」、「二度あることは三度ある」など馴染み深いもので、「3」にこだわる意味合いには納得感がありそうに思うのです。
透かしハート シルバーフレーム ジョージ五世 3ペンス銀貨 ペンダントヘッド(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)透かしハート シルバーフレーム ジョージ五世 3ペンス銀貨 ペンダントヘッド(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)







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