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No. 16627 スターリングシルバー チャーム ブレスレット with ブリティッシュ ホールマーク
ブレスレット一周の長さ 16.3cm、重さ 30g、3ペンス銀貨の直径 1.6cm、ハート留め具の横幅 1.2cm、1972年 バーミンガム アセイオフィス、二万四千円

一般にチャームブレスレットというものは、チェーン本体やハートの留め具などのパーツが集められて構成されていくことが多いものです。 ところが、写真の品の場合は、チェーン本体と留め具にもブリティッシュ ホールマークが刻印されていて、デートレターまで完備していることから、全体が1972年作と分かるところが、稀有な特徴となっています。

ハート留め具にはブリティッシュ ホールマークがしっかり刻印されています。 ホールマークは順にメーカーズマーク「RP」、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1972年のデートレターになります。

鎖玉のいくつかにもブリティッシュ ホールマークが刻印されていて、ハートの留め具に刻印されたホールマークと整合しています。 コウモリの鎖玉のそばにもブリティッシュ ホールマークが刻印されており、ここにはメーカーズマーク「RP」とバーミンガム アセイオフィスのアンカーマークと1972年のデートレターが刻印されています。 その他のいくつかの鎖玉にもスターリングシルバーを示すライオンパサントの刻印があります。

これだけ多くのブリティッシュ ホールマークがしっかり深く刻印されていることは、この品のクォーリティーの高さを示しています。 純正 ブリティッシュ スターリングシルバーのチャームブレスレットと言えましょう。

それでは、チャームを一つずつハートの留め具から時計回りに見てみましょう。

1.鳥
2.水瓶を抱える人
3.さそり

4.洗濯板と石鹸 : 珍しいチャームと思います。 日本でも長方形の木版にギザギザが付いた洗濯板が使われていたのは、それほど昔ではありません。 記憶に残っている方もあるでしょう。 洋の東西を問わず、洗濯板ってあったんだなあと、写真のチャームを眺めました。 ところが、実は、洗濯板というのは、18世紀末に西洋で発明されたもので、明治時代に日本にも伝わってきたことを知りました。 もともとが舶来品であるならば、同じようなものが日本にもあって当たり前という背景でした。

5.イングリッシュ チャーチ(教会) : 石作りで高い尖塔を持つこのチャームのような建物は、イギリスの教会の典型的な雰囲気を示しています。
http://www.igirisumonya.com/thaxted.htm
http://www.igirisumonya.com/Finchingfield.htm

6.3ペンス銀貨 : 1890年鋳造のヴィクトリアン銀貨です。 写真で見えているサイドのデザインは、スリーペンスを示す数字の「3」に王冠がかぶっています。 反対サイドはヴィクトリア女王の横顔になります。

「3」という数字は、日本でもそうだと思いますが、英語ではラッキーナンバーに通じるものがあって、縁起物ではよく出会う数字です。 ホースシューでご紹介したことがある「Three Horseshoes」もそうですし、チェスター アセイオフィスの「Three Wheat Sheaves(三つの麦束)」も同様でしょう。 

キリストが生まれた時に訪ねてきたという「東方の三賢人」の例もあります。 マクベスの「Three Witches」はどうでしょうか、これはなにかと「3」だと落ち着きがいいということかも知れません。 日本でも「三度目の正直」、「仏の顔も三度」、「二度あることは三度ある」など馴染み深いもので、「3」にこだわる意味合いには納得感がありそうに思うのです。

最後に、イギリスの昔のお金についてですが、1ポンド=20シリング=240ペンスなので、「1シリング」=「12ペンス」になります。 ポンド、シリング、ペンスと三つの単位を持っていた英国の旧通貨単位はなんだかとても複雑で、十二進法が混じっているので計算するのも億劫です。
昔、サマセット・モームの「月と六ペンス」の題名を初めて見た時に、なぜ六ペンスなのかと思ったものですが、十二進法の通貨単位では、ちょうどきりがよい数字でもあるのです。
1971年になってようやく旧通貨制度が廃止され、1ポンド=100ペンスのすっきりした十進法の制度に代わって現代に至っています。 

この十二進法時代の名残が、今日の英国人の暮らしにまだ残っていることに、先日気が付きました。 娘が通ったイギリスの小学校では、掛け算の九九のことを「Times Table」と呼んで、低学年の子供たちは日本と同じように暗唱するまで練習します。 ところが日本と違うのは「一の段」から始まる九九が「九の段」で終わらないのです。 イギリスの九九は12*12まで覚えます。 日本の九九は81通りですが、英国の九九は12*12=144通りです。 今日の十進法の暮らしなら「十一の段」や「十二の段」は不要なはずですが、ずいぶん昔の名残が未だに残っていて、先生たちも「十二の段」まで教えないと落ち着かないのでしょう。 

このややこしい12進法の呪縛をイギリス人にかけたのは、一千年近く前にイングランドを征服してノルマン王朝を開いた、元々はフランス貴族のノルマンディー公ウィリアム(=ウィリアム一世)だったことが知られています。 彼がやってくる前のサクソン時代のイングランドでは、「1シリング」=「5ペンス」だったものを、この新しい征服者が「1シリング」=「12ペンス」にせよと定めたのでした。 そしてその後、お金の単位については1971年までウィリアム一世の定めが守られてきたわけで、そしてまた、今でも21世紀の子供たちが「十二の段の九九」を習っているわけなのです。


7.キリン
8.森の妖精ピクシー

スターリングシルバー チャーム ブレスレット with ブリティッシュ ホールマーク

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