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No. 5268 シルバープレート ジャムスプーン with ピアストワーク
長さ 15.6cm、重さ 30g、ボール部分の横幅 3.6cm、深さ 7mm、柄の最大厚み 2.5mm、透かし柄の最大幅 1.95cm、透かし部分の厚み 2mm、Atkin Brothers Ltd作、一万二千円

シルバープレートの品ですが、時間をかけて作られた素晴らしいアンティークと思います。

透かし部分は2ミリの厚みがあって、美しいなかにも重厚な雰囲気を感じます。 マグニファイイング グラスで詳細に調べてみると、糸鋸を引いた跡も繊細で、細工のよい品であることが分かります。 手仕事で糸鋸を引いていくのですから、職人さんの優れた技術と多くの時間がかかります。 現代のシルバースミスの方からお聞きしたのですが、当時の手間をかけた丁寧な仕事は、現代の労働コストが上昇した英国では、大変なお金がかかり、もはや出来ないとのこと。

さらに、このアンティーク ジャムスプーンの大きなポイントは、シルバープレートの品でありながら、メーカーズマークの判読および識別が可能で、ヴィクトリアンの有名メーカーの一つである「Atkin Brothers Ltd」の作であることが分かる点にあります。 柄の裏面には「HA」「EA」「FA」の三つの刻印が並んでいて、これはAtkin三兄弟のHarry Atkin、Edward Atkin、そして Frank Atkinのイニシャルを合わせたものになっています。

英国の多くのシルバースミスはヴィクトリア期の19世紀後半創業という会社が多いのですが、このジャムスプーンを作ったAtkin Brothers Ltd.は、その創業が1750年という老舗です。 三兄弟が父親のヘンリー・アトキンから銀工房を譲られたのが1853年のことで、それ以降は「Atkin Brothers」として工房が運営されてきました。 また第一次大戦を経て英国の勢いがピークを過ぎるとともに消えていったシルバースミスが多い中にあって、Atkin Brothers Ltdの勢いは衰えませんでした。 1930年代にはこの会社は当代一流の職人を抱える会社として名を馳せていました。 

1938年の英国産業展覧会ではAtkin Brothersご自慢の職人、親方衆がクイーンメアリーに謁見を許されお褒めの言葉を授かったとの記録が残っています。 親方衆の中には、Atkin Brothers勤続63年のハリーデニスや勤続62年のジョンストークスが含まれていました。 そして当時31人いた親方衆の平均勤続年数は47年4ヶ月だったそうです。 こうした親方たちの手仕事に支えられた品物のクォーリティは相当高かったと考えられます。

シルバープレートウェアについては、アンティーク情報欄 「10.エルキントン社のシルバープレート技術と明治新政府の岩倉使節団」の解説記事もご覧ください。



ジャムスプーン

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