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No. 5140 オリジナルケース入り ピアストワーク スコティッシュ アール・ヌーボー シルバープレート サーバーセット
長さ 23.6cmcm、重さ 63g、最大幅 4.8cm、柄の最大厚み 6mm、透かし部分の横幅 1.6cm、ヴィクトリアン後期の英国製、オリジナルケース付、二万六千円

オリジナルケースに収納されたシルバープレートのサーバーセットです。 優雅な透かし細工の美しさに惹かれるサーバーですが、質感もあって、しっかり出来たアンティークと思います。 一般に二本組みセットでは、同じデザインとなることが多いものですが、このセットは趣が異なる二本組みということで使い分けが可能なことから、より楽しめるアンティーク サーバーセットになっていると感じます。 

平らな柄先から柄元に向けて、柄の形状は次第に円柱状になっていき、最大直径は6ミリほどになります。 いかにもアール・ヌーボーなゆったり丸い曲線ラインの透かしは、手仕事で糸鋸を使った細工で、断面には糸鋸の繊細なギザギザ跡が残っているのが分かります。 糸鋸を引いた跡も繊細で、ルーペで詳細に調べてみると、細工のよい品であることが分かります。 手仕事で糸鋸を引いていくのですから、職人さんの優れた技術と多くの時間がかかります。 現代のシルバースミスの方からお聞きしたのですが、当時の手間をかけた丁寧な仕事は、現代の労働コストが上昇した英国では、大変なお金がかかり、もはや出来ないとのこと。 

そもそもこれだけの仕事が出来る職人さんが現代ではいなくなってしまった訳ですから、雰囲気のあるピアストワークを眺めているだけでもアンティークな気分に浸れます。 シルバープレートウェアの見方については、アンティーク情報欄 「10.エルキントン社のシルバープレート技術と明治新政府の岩倉使節団」の解説記事もご参考ください。

また、アザミはスコットランドならではのデザインと思われますが、フランスのナンシー派もよく取り上げたモチーフでもあり、アール・ヌーボーの時代にはスコットランド スクールと呼ばれたアーティストも活躍していたことから、スコティッシュ アール・ヌーボーとアザミの繋がりは特に深かったと考えられます。

アザミのサーバーの裏面には、メーカーズマークの刻印があります。 そして、ケースの内側に付いているマークには「James Bonner & Sons、Silversmiths、Dunfermline」とありますが、この「Dunfermline」はスコットランドのエジンバラ北方にある街です。

アザミのデザインがスコットランドと関係の深いモチーフとなったのは、15世紀後半にスコットランド王ジェームス三世がアザミ(Thistle)をナショナル エンブレムとして採用して以来のことで既に400年以上の歴史があります。 そういえば、ロレーヌ地方の中心都市はアール・ヌーボーの発祥の地ナンシーですが、このナンシー市の紋章もアザミ(Thistle)です。







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