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No. 5064 アンカー & アイビーのエドワーディアン スターリングシルバー ブローチ with Gold デコレーション
長さ 4.05cm、最大横幅 2.8cm、ブローチ本体の最大厚み(留め具含まず) 4mm、1905年 バーミンガム、Sydenham Brothers作、一万七千円

百年と少し前に作られたエドワーディアン アンティーク ブローチで、アンカー&ロープのメインモチーフに、アイビーが絡まり、両サイドに見えるダブルハートも可愛らしくて気に入りました。 本体部分は厚みのあるホロー(中空)構造で、アンカーのリアルな雰囲気がよく出ています。 スターリングシルバー素材にゴールドギルトが施されているのも品のよさを感じさせます。 アイビーやハートに刻まれた彫刻も繊細で、凝ったロープ装飾と合わせて細工のよい品と思います。

英国で「アンティーク」という言葉を厳密な意味で使うと、「百年以上の時を経た品」を指すことになります。 そんな訳で、英語で言うと「It became an antique a year ago.(この品は昨年アンティークになりました。)」という言い方をされることがあります。 アンティークコレクターにとっては、やはり百年という年月の経過は大きなメルクマールになりますので、上記のような会話がなされる機会も多いのです。

アンカーは海を象徴するマリンモチーフであると同時に、クリスチャンシンボルとしては Hope(希望)やSteadfastness(しっかりしていること)という意味合いのメッセージになります。 

19世紀後半からしばらく、ヴィクトリアンやエドワーディアンのイギリスでは、当時の自然主義的傾向にアイビーがよくマッチした為、バルコニーやガーデンファーニチャーに絡まるアイビーが大変好まれました。 アイビーは蔦がしっかりと絡まることから、Fidelity(忠実ないしは誠実)、Friendship(友情)、あるいはMarriage(結婚)を象徴するモチーフとされます。 そしていつも緑であることから、Immortality(不滅)や Eternal Life(永遠の魂)を表すクリスチャンモチーフともなっています。

四つのブリティッシュ ホールマークがしっかり刻印されているのも、この品の優れた特徴でしょう。 二番目の写真で、裏面のホールマークは順に Sydenham Brothersのメーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1905年のデートレターです。

メーカーの Sydenham BrothersはジョージとロバートというSydenham兄弟によって、ヴィクトリアン中期の1873年にバーミンガムで創業されたジュエリーメーカーです。 ダイヤモンドやその他のジェムストーンを用いたジュエリーが得意分野でしたが、シルバースミスとしてもアセイ登録しており、写真のようなブローチも作っていたというわけです。

この分野のアンティークは現代の品には見られない雰囲気と、一つ一つが個性的で同じものをまず見かけないのが特徴で、ホールマークから製作年やメーカーの特定が可能なことも多いので、私は興味深いアンティーク分野と思っています。

アンティーク アンカー & アイビーのエドワーディアン スターリングシルバー ブローチ with Gold デコレーション



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