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No. 5026 エドワーディアン スターリングシルバー クロス
クロス本体の縦(丸い留め金含まず) 3.7cm、横 2.05cm、厚さ 2.5mm、1911年 バーミンガム、Francis Barker & Son作、二万三千円

厚さが2.5ミリのホロー(中空)構造をしたスターリングシルバー クロスで、2.5ミリという厚みから、かなり立体感のあるクロスになっています。 ウェーブパターン、繊細な彫刻、ホロー構造に加えて、裏面にブリティッシュ ホールマークが揃っており、もうすぐ百年が経とうという古さを含めて、いい感じのアンティークです。 

ホールマークから製作年を読み取ると、このクロスが作られたのは今から九十六年前の1911年になり、デザイン上の区分としてはエドワーディアン アンティークと言って差し支えないでしょう。 

英国で「アンティーク」という言葉を厳密な意味で使うと、「百年以上の時を経た品」を指すことになります。 そんな訳で、英語で言うと「It will become an antique in four years. (この品はあと四年でアンティークになります。)」という言い方をされることがあります。 アンティークコレクターにとっては、やはり百年という年月の経過は大きなメルクマールになりますので、上記のような会話がなされる機会も多いのです。 こうした美しい品であれば、あと四年が経っていずれ「アンティーク」となるまでともに暮らす楽しみも増すように思うのです。

彫刻のモチーフはウェーブパターンです。 波模様モチーフには、Continuation(続いていくこと)や Eternity(永遠)という意味合いが象徴されており、ヴィクトリアンからエドワーディアンの頃に好まれたクリスチャンモチーフのデザインです。

彫刻は深めなタッチでデザインのアウトラインが彫られ、さらには繊細な飾り彫りも見事な出来栄えです。 写真で見て色合いが濃いめに見えるシェード部分は、とても繊細なエングレービングで、1ミリ間隔に何本もの彫刻線を引いて影をつけていった仕事です。 ルーペで詳細に見ていかれると、ハンドエングレービングとしては限界的な職人技が施されているのが分かり、より楽しめるエドワーディアン アンティークであることが分かるでしょう。 

写真二番目にあるように、クロスの基本デザインは深めなタッチで彫られていますが、じっくり観察していくと、彫りの跡から彫刻刀を振るった向きまでもが窺い知れ、銀職人さんの息遣いが伝わってくるところにも私は惹かれます。

四つのブリティッシュ ホールマークがすべてしっかりと深く刻印されているのも、このアンティークの好ましい特徴になっています。 裏面のホールマークは順に、メーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1911年のデートレターです。 

このクロスを作ったメーカーの Francis Barker & Son はヴィクトリアン初期の1848年に、Richard GrovesとFrancis Barkerという二人の共同パートナーがロンドンで始めた「Groves & Barker」という銀工房が前身になっています。 一般にヴィクトリア時代後期の創業が多い英国シルバースミスの中にあって、Francis Barker & Sonは老舗の一つと言ってよいでしょう。 グローブスとバーカーのパートナーシップは1865年に解消されましたが、同年にバーカーは息子と共に「Francis Barker & Son」として工房を引き継ぐことになりました。 以降は家族経営を中心に1960年まで、ゴールド&シルバースミスとして仕事を続けています。 

英国シルバーアンティークの楽しみの一つは、ホールマーク制度がしっかりしていることから、作られた時代やメーカーの背景を調べられることにあるように思います。 すべてのアンティークについて背景が分かるわけではないのですが、いろいろ知っていくと愛着も湧いてくるもので、私は出来るなら調べてみたいと思うのです。

アンティーク エドワーディアン スターリングシルバー クロス



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