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No. 4334 スターリングシルバー オールド イングリッシュ パターン デザートスプーン ペア
長さ 18.0cm、重さ 50gと54g、最大幅 4.0cm、ボールの深さ 1.0cm、柄の最大幅 1.9cm、柄の最大厚み 3mm弱と3mm、1922年 シェフィールド、James Deakin & Sons Ltd作、一本 一万五千円

今から九十年近く前に作られたオールド イングリッシュ パターンのスターリングシルバー デザートスプーンで、コンディションの良さから察するに、おそらく未使用に近い状態で今日に至っているものと考えられます。 

柄幅が広く、厚みもあって銀の質感を感じます。 50グラムという持ちはかりはデザートスプーンとしてはかなり重いと思いますが、もう一本はさらに重くて54グラムありました。 手にしてみると銀の重さが心地よく、しっかり出来たデザートスプーンと感じます。 

同じホールマークが刻印されているので、同時に作られたデザートスプーンですが、あらためて重さを量ってみたら一割ほど違うので驚きました。 日本的感覚から言えば、セットならきっちり重さをそろえそうにも思いますが、純銀という素材は貴重品ではあるものの、イギリスで一流どころのシルバースミスにとっても、「このぐらいは誤差のうち」という感覚は、いかにも英国風であり、興味深く思いました。 サイズも見た目もほとんど変わりませんが、何が違うのかよく観察してみると、柄元の最大厚みに若干の違いがあって、これが重さの違いになっているようです。

なお、アバウトな英国風ということについては、「27.ホールマーク漏れと英国人気質」の記事もご参考まで。

けっこう古いわりにはコンディションのよい品で、手元に置いて使いながら、百年の時の経過を待ってみるのも楽しいと思うのです。 カテゴリー分けするとデザートスプーンになるわけですが、長さ 18cmで重さ 50gというのは、十分に大きなサイズであって、普段使いの一本とされるのになんら問題はないと思います。

写真二番目にあるように、柄の裏面には四つのブリティッシュ ホールマークがしっかり刻印されているのもこの品のよい特徴です。 ホールマークは順に 「James Deakin & Sons Ltd」のメーカーズマーク、1922年のデートレター、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そしてシェフィールドの王冠マークになります。

「James Deakin & Sons Ltd」は1865年にジェームス・ディーキンによってシェフィールドで創業されたのが始まりです。 1886年には彼の三人の息子達、ウィリアム、ジョン、アルバートもパートナーに加わり、ファミリービジネスとして上述の社名に変更し、事業は順調に発展していきました。 1888年にはロンドン支店開設、ヴィクトリア後期の1890年代には、スコットランドのグラスゴーとアイルランドのベルファストにも支店を開設しています。 

しかし多くのシルバースミスがそうであったように、事業のピークは英国の国力がピークであったビクトリア後期からエドワーディアンの時代にあったようです。 その後は事業を次第に縮小していき第二次世界大戦が始まった1940年には店を閉めました。 メーカーズマークの「JD WD」はJohn & William Deakinのイニシャルになっています。

英国でアンティークという言葉を厳密な意味で使うと、百年以上の時を経た品物を指します、そして百年もので素晴らしいアンティークはそうはないものです。 この品が厳密なアンティークになるまであと十三年を要しますが、よい品をお探しの方にはお薦めしたいと思います。 気に入った古いものを使っていくうちに、自分の手元で‘アンティーク’になっていくことは、コレクターの喜びとも言えますので、このスプーンにはそんな楽しみ方もあるわけです。

なお、オールド イングリッシュ パターンについては、英国アンティーク情報欄の「4. イングリッシュ スプーン パターン」に詳しい説明がありますので、ご覧になってください。

スターリングシルバー オールド イングリッシュ パターン デザートスプーン ペア


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