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No. 19043 ヴィクトリアン ハーフクラウン銀貨 スターリングシルバー ベル ブローチ
縦の長さ 2.5cm、最大横長 2.8cm、厚み(留め具とピン含まず) 1mm強、ヴィクトリアン後期の英国製、

ヴィクトリア梠繧ノ使われたハーフクラウン銀貨から幸運のベルを切り出して作られた、スターリングシルバーのブローチになります。 ハーフクラウンと言えば、銀貨の中でもかなり大判になりますので、ハ真の銀ベルも素材に厚みがあって、好印象です。

表側は平らに削った上で磨いてあって、もともとの銀貨の面影を感じさせないまでに完成度が高められています。 ところが、裏面をご覧いただくと、立ち姿のライオンの紋章(ライオンランパント)や、スリーライオンなどが見えてきて、この品は元々が百年ほど前の銀貨であったと分かるのは、ちょっとしたサプライズで、興味深い英国アンティークシルバーと思います。

ベルのモチーフは教会における結婚式の鐘(Marriage Bells)を連想させますし、英語には「sound as a bell (きわめて健康で、申し分ない状態で)」という言い回しもあります。 さらには純銀素材であることから、シルバーベルのよい意味合いが好まれて、身に着けるアクセサリーとして使われたものと思います。

рフ家の周りでは、日曜の午前と水曜の夕方には近くの教会から鐘の音が聞こえてきます。 あるいは結婚式がある時には、ずいぶん盛大に鐘の音が響き渡ります。 今ではボランティアの人たちが鐘を鳴らしたり、機械d掛けの方が多いと聞きますが、その昔のイギリスではベルリンガー ギルド(ベル鳴らし人同業組合)の人たちが仕魔ノしていた時代もあったそうです。

ベルリンガー(振鈴者 orベル鳴らし人)とは、どんなものか、こんな映像を見つけましたのでご参考ください。
https://www.youtube.com/watch?v=WgPadl4qZ4w
https://www.youtube.com/watch?v=inI0KWRO2mw

ヒュー・グラント蜑奄フ映画 『フォー・ウェディング』(Four Weddings and a Funeral)では教会の鐘が鳴り響く場面がたくさんあります。 結婚式の教会の鐘の音っていいもんだなと聞きましたが、裏方さんの様qを知ると、けっこうたくさんな人たちで、いい運動になりそうな様q。 

裏面に見えているデザインについて、もう少し敷衍して申し上げますと、ヴィクトリア女王時代に好まれたシールドリバースのデザインになります。 描かれているのは、右上にライオンの立ち姿でライオンランパント、左下にはハープクラウンド、そして三頭のライオンは『ライオンハート(R心王)』の愛称で知られる12世紀の英国王リチャード一世時代からのエンブレムです。 

余談ですが、リチャード一世は十年間の治世中に国内にいたのがたったの六ヶ撃ニいう王様で、海外での戦いに明け暮れた英国王でした。 戦いで名を馳せ、ライオンハートの称号を得て、その勇気と生きざまは騎mの模範とされています。 そして現代ではサッカーのイングランド代表が使うエンブレムが、まさにこのスリーライオンなのです。

デザインとモチーフの良さに加えて、シルバースミスのテクニックの高さに惹かれて気に入りました。 銀貨からベルを切り出す糸鋸を使った作業、表面の飾り文字とエングレービング、縁辺部のブライトカットなど仕上がりのよい作品と思います。

ハ真一番目に見える文字はEとRが重なったものです。 イニシャルERあるいはREの方にお薦めしたいと思います。

ハーフクラウン銀貨はヴィクトリア梠繧フ2.5シリング(=0.125ポンド)にあたります。 遠い昔の銀貨というのは、トレジャーハントに通じるロマンを感じますし、クラウンという響きも好きです。 ではいったい、ハーフクラウン銀貨はヴィクトリア梠繧ノどのくらいの価値を持っていたのでしょうか、それを知るためには、当桙ニ現代の賃金や物価水準も検討しないと答えが出てきません。

Roger Bootle≠フ「The Death of Inflation」という本によれば、ヴィクトリア梠繧ヘ長期にわたって物価が安定した時代だったようです。 例えば、ロンドンタクシーの前身である乗合馬ヤの初乗り運賃は1694年に1マイル当り1シリング(つまり現代の0.05ポンド)と設定され、この運賃がヴィクトリア梠繧通じて変わらなかったことが紹介されています。 今日、ロンドンタクシーで1マイル乗ると、渋滞がなければ3.5ポンドほどですが、タ際には5ポンドほどかかるのではないでしょうか。 この比較でみると、今日の物価はヴィクトリア梠繧ニ比べて70倍から100倍になっていると考えられます。 

また、シャーロック・ホームズの話には、ヴィクトリア梠繧フ給料や家賃についての記述があるので検討してみると、ロンドン ロンバート街の株ョブローカーの週給が3ポンドとか、郊外のこぎれいな別荘の年間家賃が80ポンドなどとあり、この面から見てもやはり、ざっくり100倍とみてよさそうです。

そうしますと、ハーフクラウン銀貨とは当档鴻塔hンのサラリーマンが一日働いて、やっと四枚得られる金額であることが分かります。 

昔の物価水準や個々の物の値段について分かってくると、アンティークや当桙フ時代状況により親しみが湧いてきます。 その上であらためてドイルやディケンズ、そしてブロンテの小説を読んでいけば、英国アンティークと、それを取り巻く時代背景について理解がいっそう深まることでしょう。

追記:ハーフクラウン銀貨はサラリーマンが一日働いて四枚得られる金額と書きましたが、これは都会のロンドンのことですし、当桙ニしては比較的高給かもしれません。 『特命全権大使 米欧回覧タ記(二)(英国編)』によれば、バーミンガムのペン製造工場について以下のような記述があります。 「ウェルス♂・ミのペン製造場に至る。...中略...職人に婦人多し、その給料は一日に平均2シリング半、」 こちらの事例で言えば、ハーフクラウン銀貨はちょうど一日分の給料に当たります。 

ハ真のベルブローチ素材として使われたハーフクラウン銀貨は、タはけっこうな金額の素材であったことがお分かりいただけると思います。

『特命全権大使 米欧回覧タ記(二)(英国編)』については、英国アンティーク情報欄の「10.エルキントンミのシルバープレート技術と明治新政府の岩倉g節団」の記膜續シの解説もご参考ください。

ヴィクトリアン ハーフクラウン銀貨 スターリングシルバー ベル ブローチ

裏面の様q

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