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No.18132 ブリタニア デザイン ヴィクトリアン ファージング ブローチ
ブローチ横の長さ 5.1cm、全体の重さ 7g、中央ファージング銅貨の直径 2.0cm、左右の1/3ファージング銅貨の直径 1.5cm、一万一千五百円

中央に見えるヴィクトリアン ファージングの鋳造年は1865年です。 銅貨の縁辺部には大きな文字で『FARTHING』と書かれています。 両隣にはエドワーディアン頃の小さめ銅貨が配されており、書かれているのは、『One Third Farthing』の文字、三分の一 ファージングという意味です。 

ファージング銅貨の表に見えているのは女性像のBritanniaになります。 ファージング裏面はクイーン ヴィクトリア ヤングヘッドとなっています。 女性像の Britanniaは1672年以来ファージングに使われてきたデザインであります。 これより後の時代には、可愛らしいウェン(Wren)という小鳥のデザインをしたファージング銅貨が登場いたしました、ご参考まで。

女性像のBritanniaとはイギリスという国家を擬人化した象徴であって、アメリカ合衆国における自由の女神に相当しています。 もともとのモデルは17世紀の英国王チャールズ二世の時代に実在したリッチモンド公爵夫人と言われますが、長い歴史を経た現在では「Britannia」=「イギリスの国」という通念が確立していると言ってよいでしょう。 さらに歴史を遡ると、紀元前後に今日のイギリスをその領土の一部にしていたローマ帝国が、イングランド南部をラテン語でブリタニアと呼んでいたことに起源があります。

イギリスにおけるファージングは半世紀以上前にその役割を終えて、今では使われていない通貨です。 「Farthing」という言葉の響きにノスタルジーを感じますし、昔の通貨制度を考えてみるよい材料ともなって興味を惹かれます。

「Farthing」は四分の一ペンスに相当し、13世紀に初めて作られ、それから700年以上にわたって英国で使われてきた歴史がありますが、1960年を最後に役割を終えて、今ではもうありません。

ファージングが使われていた時代は、イギリスで通貨制度改革が行われた1971年より前の時代になります。 当時は1ポンドが240ペンス、ファージングは四分の一ペンスですから、1ポンド=960ファージングでありました。 日本で言ったら、江戸時代の1両=4000文にも匹敵しそうな小さなオーダーであったわけです。 1960年に役割を終えていますから、今日では存在しないのが当たり前ですが、素材となっている銅の価格が今では高騰している為に、ファージングの製造原価という側面から見ても、今ではとてもじゃないけど存在し得ないコインとなっていることも興味深く思います。

もう少し詳しく計算してみましょう。 ファージングは2.8グラム、その95.5%が銅というコインでした。 ニューヨーク マーカンタイル取引所における直近の銅価格は453gあたり3.27ドルでした。 英貨で1ポンドにあたる960枚のファージングを作る銅価格は18.53ドル。 ポンドドル相場 1.52$/£でポンドになおすと、12.2ポンドになります。 

1ポンド分のファージングを鋳造するのに、素材の銅価格だけで12.2倍のコストがかかるとしたら、そんなコインはとてもじゃないけど存在し得ないでしょう。 銅価格の変遷という事情が背景にあって、写真のファージング コイン ペンダントヘッドには、今となってはアンティークでしか手に入らない希少性が備わっているとも思うのです。

ブリタニア デザイン ヴィクトリアン ファージング ブローチ



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