英国 アンティーク 英吉利物屋 トップ(取り扱い一覧)へ 新着品物 一覧へ アンティーク情報記事 一覧へ 英吉利物屋ご紹介へ
No.16449 ヴィクトリアン or エドワーディアン アーツ&クラフツ ピアストワーク シルバープレート サーバー
with クイーン・アン (Queen Anne) パターン ハンドル
長さ 32.3cm、重さ 132g、ブレード部分の最大幅
5.9cm、柄の最大幅 2.6cm、柄の最大厚み 4.5mm、1900年前後のイギリス製、二万七千円
シルバープレートのアンティークながら、これほど素晴らしい透かし細工のサーバーに出会える機会はそれほどなく、現代ではもはや作りえないという点で希少性を感じます。 デートレターはありませんが、アーツ&クラフツの透かしデザイン、そしてクイーン・アン パターンのハンドルデザインが採用されていることから、1900年を中心とする前後10年ほどの作で間違いないでしょう。
アンティークの楽しみの一つは、現代の品では到底望めないような素晴らしい手仕事の品に、時に出会えることだと思います。 エングレービングの繊細さや、ピアストワークの腕前は、同等のシルバーウェアと比べても、まったく見劣りしないレベルの品で、素材はシルバープレートと言えども侮れない、アンティークでしか手に入らない美しさを備えていると言ってよいでしょう。 丁寧なハンドワークや細工の良さそのものが、自ずから年月の経過を語っていると感じます。
キングサイズのサーバーで圧倒的な迫力を感じます。 ゴージャスな雰囲気のアンティークですから、パーティーなどで使ったら話題性も抜群のはず。 ケーキのサーブに使ったり、ロールキャベツなど大皿料理の取り分けにも、いろいろと多目的にお使いいただけるでしょう。
見栄えのする豪華なデザインにはアーツ&クラフツの影響が見られます。
透かしのデザインは植物文様とウェーブパターンの融合で、ウィリアム・モリスのアーティーチョーク ハンギングを思わせますし、つたの交錯の仕方や巻き方、そして葉っぱの感じは、同じくウィリアム・モリスの作でヴィクトリア&アルバート ミュージアム所蔵のメンブランド パネルによく似ています。
波模様のウェーブパターンは、Continuation(続いていくこと)や
Eternity(永遠)を象徴するクリスチャンモチーフで、ヴィクトリアンやエドワーディアンの時代に好まれました。
柄のデザインはクイーン・アン (Queen Anne)
パターン、あるいはオーバニー(Albany)パターンと呼ばれ、1880年代にイギリスで初めて登場し1900年頃にはかなりの人気となりました。
写真三番目に見えるように、柄の裏面にはメーカーズマーク、エレクトロプレートを示す「EP」、そして「A1」の刻印があります。 「A1」という言葉は、英語の日常表現としても使われることがあるので、あらためてこのアンティーク サーバーを興味深く眺めました。 例えば、ゴルフをしていて、ドライバーショットがけっこう良かったりすると、一緒にまわっている友人が、「Superb,
that is A1. (すばらしいショットだ、こいつはA1だな。)」なんて、褒め言葉をかけてくれます。 文脈からいっても、なにかグレードが高い状態をA1というんだなと分かります。 機会があったら使ってみてください。
ピアストワークは手仕事で、糸鋸を引いたギザギザ跡が残っています。 ルーペを使って詳細に調べてみると、糸鋸を引いた跡も繊細で、細工のよい品であることが分かります。 手仕事で糸鋸を引いていくのですから、職人さんの優れた技術と多くの時間がかかります。 現代のシルバースミスの方からお聞きしたことがありますが、作業にかなりの時間を要するこうした透かし細工は、現代の労働コストが上昇した英国では、大変なお金がかかり、もはや出来ないとのことでした。 そして、そもそもこれだけの技術を持った職人さんが現代ではいなくなっているのです。
もちろん使って良しのアンティークですが、飾っておいてもゴージャスで綺麗です、百年以上前のマナーハウスでの暮らしに思いを馳せるには、よい材料になりましょう。
シルバープレートウェアについては、アンティーク情報欄 「10.エルキントン社のシルバープレート技術と明治新政府の岩倉使節団」の解説記事もご覧ください。
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