英国 アンティーク 英吉利物屋 トップ(取り扱い一覧)へ 新着品物 一覧へ アンティーク情報記事 一覧へ 英吉利物屋ご紹介へ
No. 15143 ピアストワーク シルバープレート ジャムスプーン
with フラワーエングレービング SOLD
長さ 15.5cm、重さ 23g、ボール部分の最大横幅
3.55m、深さ 7mm、柄の最大厚み 2.5mm、透かし柄の最大幅
1.8cm、透かし部分の最大厚み 2mm、エドワーディアン頃の英国製、SOLD
シルバープレートの品ですが、時間をかけて作られた素晴らしいアンティークと感じます。 フラワーエングレービングの葉っぱ部分など、手仕事としては限界的な細かさの彫刻が施されています。
透かし部分は最大2ミリの厚みがあって、美しいなかにも重厚な雰囲気を感じます。 柄は尾根状に高まった三角構造になっていて、上から見るとスマートな印象に光を反射して綺麗です。 しかしながら、基底部は3.5ミリから5ミリほどの幅があり、厚み(=尾根の高さ)は2ミリ強ありますことから、構造的にはしっかりした作りです。
フラワー エングレービングは見事なもので、花や葉っぱの輪郭は深めなタッチの彫りですが、葉っぱの内側などは、1ミリ間隔に何本もの彫刻線を施して影を付けていった細工になっており、手仕事としてはかなり高度な芸術品に仕上がっています。 お花の中心部に向かっても繊細な彫刻で、お手元にルーペが一つあったら、さらに楽しめる工芸品のアンティークと思います。
エングレービングの繊細さや、ピアストワークの腕前は、同等のシルバーウェアと比べても、まったく見劣りしないレベルの品で、素材はシルバープレートと言えども侮れない、アンティークでしか手に入らない美しさと言ってよいでしょう。
以前によく似たジャムスプーンを扱ったことがあります。 同じ品に出会うことは、そうたびたびあることではないので、エドワーディアン アンティーク ジャムスプーンを見つけたときは、ちょっと不思議な気分でした。 よく似ていましたが、柄元の丸い部分に彫られたフラワーエングレービングなど、微妙に違っていて、一本一本が手仕事で作られていった様子が、あらためて分かった次第です。
スターリングシルバーではないので、ご不満の向きもありましょう。 しかし、これだけの作品となりますと、たとえホールマークはなくとも、工芸品としての美しさが自ずから百年という時の経過を示しているわけで、目の保養にも一役買ってくれる素晴らしいアンティークであると、私は思います。
シルバープレートウェアについて詳しくは、アンティーク情報欄にあります 「10.エルキントン社のシルバープレート技術と明治新政府の岩倉使節団」の解説記事もご参考ください。
ピアストワークは手仕事で、糸鋸を引いたギザギザ跡が残っています。 ルーペを使って詳細に調べてみると、糸鋸を引いた跡も繊細で、細工のよい品であることが分かります。 手仕事で糸鋸を引いていくのですから、職人さんの優れた技術と多くの時間がかかります。 現代のシルバースミスの方からお聞きしたことがありますが、作業にかなりの時間を要するこうした透かし細工は、現代の労働コストが上昇した英国では、大変なお金がかかり、もはや出来ないとのことでした。 そして、そもそもこれだけの技術を持った職人さんが現代ではいなくなっているのです。
アンティークの楽しみの一つは、現代の品では到底望めないような素晴らしい手仕事の品に、時に出会えることだと思います。 今から百年ほど前に作られたと思われるこのジャムスプーンには、当時だからこそ出来た、つまりはアンティークでしか手に入らない美しさが備わっており、丁寧なハンドワークの細工の良さそのものが年月の経過を語っています。
裏面の様子:刻印されているのはメーカーズマークです。
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