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No. 6878 ヴィクトリアン スターリングシルバー バターナイフ
長さ 13.7cm、重さ 12g、ブレードの最大幅 1.8cm、柄の最大幅 1.25cm、柄の最大厚み 3.5mm、1898年 バーミンガム、一万五千円

今から百年と少し前に作られたバタースペード様式のオンスローパターン スターリングシルバー バターナイフです。

バターナイフは元々バタースペードという鏝状(こて状)のシルバーウェアから発展してきた経緯があります。 このバターナイフはバタースペードと同じようなこて状ブレードを持つアンティークで、バターナイフの歴史的発展過程を示しており、博物館的な興味を感じさせてくれる点にまず興味を惹かれました。

さらに各パートを詳しく見ていくと、美を追求した様々な技巧が加えられていて、私はどうしてもこのヴィクトリアンの小品が鑑賞用なのではないかと思えてなりません。

柄先のデザインはオンスロー パターン、またはヴィクトリア期の有名シルバースミスであるフランシス・ヒギンスのパターンブックによれば、スクロールパターンと呼ばれるデザインになります。

柄のねじれデザインは装飾的な美しさを追求すると同時に、強度のアップにも役立つ構造で、柄元に彫られた手仕事の緻密なエングレービングと相まって、気品ある美しさを備えたヴィクトリアン アンティークになっており、眺めているだけでも楽しめる品とも思います。 

ブレード裏面には四つのブリティッシュ ホールマークがあって、メーカーズマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、1898年のデートレター そしてバーミンガム アセイオフィスのアンカーマークがしっかり深く刻印されています。

この品が作られた当時の時代背景については、「英国アンティーク情報」欄の「14.Still Victorian」の解説記事を、そして英国のバターナイフの歴史については、「9.トラディショナル イングリッシュ バターナイフ」もご参考ください。