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No. 6801 ヴィクトリアン スターリングシルバー シュガートング with ピアストワーク
長さ 11.2cm、重さ 20g、つまみの間隔 3.3cm、透かし柄の最大幅 1.45cm、1893年 バーミンガム、G.E.Walton & Co Ltd作、二万一千円

今から百十年以上前に作られたピアストワークが美しいスターリングシルバー シュガートングです。

柄に施された透かし細工は手仕事で、糸鋸を引いたギザギザ跡が残っています。 マグニファイイング グラスで詳細に調べてみると、糸鋸を引いた跡も繊細で、細工のよい品であることが分かります。 手仕事で糸鋸を引いていくのですから、職人さんの優れた技術と多くの時間がかかります。 現代のシルバースミスの方からお聞きしたのですが、ヴィクトリア期の手間をかけた丁寧な仕事は、現代の労働コストが上昇した英国では、大変なお金がかかり、もはや出来ないとのことでした。

柄のねじり構造は強度と美しさを同時に追求するのに役立っています。 柄に彫られたエングレービングも緻密な手仕事で、眺めているだけで楽しめる品とも思います。 これだけ美を追求した技巧が加えられていると、私はどうしてもこのヴィクトリアンの小品が鑑賞用なのではないかと思えてなりません。

シルバースミスのG.E.Walton & Co Ltdはヴィクトリア中期のバーミンガムで、ウォルトンファミリーがジュエリーメーカーを起こしたのが始まりです。 1887年にはロンドン支店を開設して商売の規模を大きくし、時計や宝飾品の分野で多くのパテントビジネスも手掛けていました。 G.E.Waltonがただの銀工房でなく、ジュエラーとして活躍していた背景を知ると、このシュガートングに施された数々の技巧にも納得がいきます。

シュガートングは、角砂糖ばさみで、アフタヌーンティの優雅さを演出するのに一役かってきた品です。 ですが、私は角砂糖にこだわらず、パーティー用のオードブルサーバーとしたり、いろんな用途に使ってみたいと思います。 イギリスではアイスキューブを挟むのにアンティーク トングを使っている方もあります。 また、英国のアンティークマーケットにはアメリカ人の買い手が多いのですが、彼らの使用法はほとんどアイスキューブ用だそうです。

G.E.Waltonについては、「No. 7635 アール・ヌーボー エドワーディアン スターリングシルバー バックル」もご参考まで。