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アンティーク シルバー ティースプーン

あるお客様から、「バラ売りされているティースプーンはないでしょうか。ちがった年代、デザインを1本ずつ集めるのも楽しいのでは・・・」とお便りいただきました。

実は私も以前にティースプーンをちがった年代、デザインで1本ずつ集めるのも楽しいのではと思ったことがあったのです。 知り合いのアンティークディーラーのお宅にお邪魔してお茶をご馳走になった時、出てきたティースプーンが、プレーンなジョージアンスプーンでしたが、セットではなくちがった年代とデザインでした。 そのことでかえってスプーン一本一本を眺めたり、ホールマークを見比べたりと話が弾み、セットのティースプーンであったら出来なかったような会話を楽しむことが出来たのです。 この時、セットよりバラのアンティークの魅力を確かに感じたのですが、頭が固いと言いましょうか、英吉利物屋でティースプーンをご紹介するとなると、「ティースプーンはセットで」という先入観から抜け出せぬままに今日まで来てしまいました。 一方で仕入れの際に綺麗なティースプーンを一本見つけると、つい求めてしまうのですが、その後はサイトアップすることなくそのままになっていたのです。

お客様からのお便りでハッといたしました。 アンティークティースプーンをバラで集める魅力は確かにあるとあらためて思いました。 以下のコーナーでバラのティースプーンを少しずつご紹介していけたらと思います。


No.20309 ノルウェー製 ピアストワーク シルバー ティースプーン
長さ 9.8cm、重さ 7g、ボールの深さ 3.5mm、最大幅 2.0cm、透かし柄の最大幅 1.2cm、ノルウェー製、一本 五千円 (6本あります。)

ピアストワークが可愛らしい銀製ティースプーンです。 コンディション良好で綺麗な品と思います。 裏面のホールマークはノルウェーシルバーの銀純度を示す「830」刻印と、メーカーズマークの刻印になります。

この品が作られたノルウェーという国は、ヨーロッパにあって、なかなかにユニークな国なので、そんな背景を考え合わせると、写真の銀製品には興味を惹かれます。

デンマークにノルウェーとスウェーデンを加えて、時にアイスランドとフィンランドも合わせた地域をスカンジナビアと呼びます。 北欧諸国はバイキングの流れをくみ、歴史的に見ても交流が盛んな国々であります。 根っこのところはつながっているけれども、今ではそれぞれ独立国としてやっているというのが面白いと思います。 通貨の単位にしても、ノルウェークローネ、スウェーデンクローネ、デンマーククローネであって、三国ともクローネながら、交換レートは一対一ではなくて、それぞれ別々の通貨です。 

余談ながら、クリスマスの頃にノルウェーのオスロへ行ったことがあります。 オスロという街はまさに森の中にある小さな首都です。 飛行機が高度を下げて、雪景色のノルウェーの森、そしてオスロの眺めはとても幻想的でした。 ビートルズの『Norwegian Wood 』や、村上春樹氏の『ノルウェイの森』が頭にあって、感動を深めたのかも知れません。

帰途、十二月のノルウェーはとても日が短く、飛行機に乗っていたら早々と水平線の向こうに夕陽が沈みました。 オスロ・ロンドン間は北海を横切って行くのですが、上空から真っ暗な夜の海に、あちこち北海油田の炎が点々と連なって見えたのは、これまた壮観だったことを思い出します。

イギリスの新聞に「投資家から見て、欧州諸国でドイツより安全な国は、スイスとノルウェーぐらいしかない。」という記事がありました。 スイスは分かりますが、ノルウェーってそんなに安全なのか?と思いました。 調べてみたら、今日のノルウェーは欧州の中で独自の道を歩んでいるためでした。 そういえば、ギリシャ支援についても、ノルウェーが真っ先にもう支援しないと言い出して、同じ欧州の国なのにそんな薄情なと思ったものでした。 

実はノルウェーは、なんどか国民投票しましたが都度否決されて、EU(欧州連合)に加盟していません。 欧州諸国はみんなEUに入っているものかと思っていたら、そうではないんですね。 この国には北海油田があり、今のうちに収益を貯めていって、原油が枯渇したら、ファンドで国を運営していく方針だそうです。 EUから距離を置いて、共通通貨ユーロにも入りませんから、将来にわたって通貨ノルウェークローネも存在し続けます。 

二十一世紀の現代にあって、ヨーロッパにありながら、我が道を行く、なかなかユニークでタフなヴァイキングの国なのです。
ノルウェー製 ピアストワーク シルバー ティースプーン


No. 20092 スターリングシルバー ピアストワーク ティースプーン
長さ 11.4cm、最大横幅 2.35cm、透かし柄の最大幅 1.5cm、柄の最大厚み 2mm、重さ 11g、1976年 1979年 1980年、シェフィールド、

透かし細工の綺麗なスターリングシルバーのティースプーンです。 裏面にはブリティッシュ ホールマークがしっかりなのもグッドでしょう。 

ゴルフ関連の銀製品と考えられ、ある意味とても英国風なシルバーウェアと言えると思います。 イギリスではいろいろなスポーツが盛んですが、こういった銀製品との関連の深さでは、ゴルフとライフルクラブが両横綱といった感があります。 

今日ではイギリスのゴルフ愛好家の裾野が広がってきているようでありますが、少し前まではお金持ちのスポーツであったことと関連がありそうに見ております。

写真二番目に見えるように、柄の裏面には「R & D」のメーカーズマーク、デートレター、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そしてシェフィールド アセイオフィスのローズマークが刻印されています。

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スターリングシルバー ピアストワーク ティースプーンスターリングシルバー ピアストワーク ティースプーン


No. 20091 エドワーディアン アール・ヌーボー スターリングシルバー ティースプーン
長さ 11.2cm、重さ 13g、ボール部分の長さ 3.6cm、最大幅 2.35cm、ボールの深さ 6mm、柄の最大幅 1.35cm、1911年 シェフィールド、James Deakin & Sons作

今から百年以上前の1911年に作られた、アール・ヌーボーのデザインが特徴的なスターリングシルバー スプーンです。 これまで長いこと英国の銀スプーンを扱ってきましたが、写真のようなデザインは見かけたことがなく、第一印象はイギリスの銀スプーンではない感じがいたしました。 

ところが、ブリティッシュ シルバー ホールマークがしっかり刻印されており、シルバースミスは有名どころのJames Deakin & Sonsと分かり、さらには、英国のパテントオフィスにデザインを登録したレジスター番号『Rd.589543』まで揃っていることから、これはもう正真正銘の英国アンティーク シルバー以外の何者でもありません。

James Deakin & Sonsが手がけたアール・ヌーボーということで、興味深く見ております。 それにしても、あまり見かけないレアな品であることから、James Deakin & Sonsによる少量生産だったのだろうと思います。

写真二番目に見えるように、裏面にはブリティッシュ ホールマークが刻印されています。 ホールマークは順にシェフィールド アセイオフィスの王冠マーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、1911年のデートレター、そしてJames Deakin & Sonsのメーカーズマークです。

シルバースミスのJames Deakin & Sons Ltdは、1865年にジェームス・ディーキンによってシェフィールドで創業されたのが始まりです。1886年には彼の三人の息子達、ウィリアム、ジョン、アルバートもパートナーに加わり、ファミリービジネスとして上述の社名に変更し、その後は順調に発展していきました。1888年にはロンドン支店開設、ヴィクトリア後期の1890年代には、スコットランドのグラスゴーとアイルランドのベルファストにも支店を開設しています。 

しかし多くのシルバースミスがそうであったように、この銀工房の最盛期は英国の国力がピークであったビクトリア後期からエドワーディアンの時代にあったようです。その後は事業を次第に縮小していき第二次世界大戦が始まった1940年には店を閉めました。メーカーズマークの「JD WD」はJohn & William Deakinのイニシャルになっています。 

エドワーディアン アール・ヌーボー スターリングシルバー ティースプーン


No. 20086 エドワーディアン スターリングシルバー 植物文様 ウェーブパターン & ブライトカット ティースプーン SOLD
長さ 11.0cm、重さ 13g、ボール部分の長さ 3.5cm、最大幅 2.3cm、ボールの深さ 6.5mm、柄の最大幅 1.1cm、1913年 シェフィールド、SOLD

百年以上前に作られた銀のスプーンで、手彫りの装飾が見事な品と思います。

植物文様 ウェーブパターンの基本デザインは、深めなタッチで彫られています。 その背景に色合いが濃く見える部分は微細な彫刻で影を付けた細工です。 波模様モチーフには、Continuation(続いていくこと)や Eternity(永遠)という意味合いが象徴されており、ヴィクトリアンからエドワーディアンの頃に好まれたクリスチャンモチーフのデザインです。

柄元に向かってのブライトカットは光の反射が綺麗です。 ブライトカットは18世紀の終わり頃から、英国においてその最初の流行が始まりました。 ファセット(彫刻切面)に異なった角度をつけていくことによって、反射光が様々な方向に向かい、キラキラと光って見えることからブライトカットの呼び名があります。 この装飾的なブライトカット技術が初めて登場したのは1770年代でしたが、それは良質の鋼(はがね)が生産可能となってエングレービングツールの性能が向上したことによります。

英国でアンティークという言葉を厳密な意味で使うと、百年以上の時を経た品物を指します、そして百年もので素晴らしいアンティークはそうはないものです。 この品はもうすでに ‘アンティーク’になっている古さで、時の流れを感じさせてくれますし、ほぼ未使用と思われるコンディションの良さもポイントになっています。

エドワーディアン スターリングシルバー 植物文様 ウェーブパターン & ブライトカット ティースプーン


No.20058 ジョージ三世 スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ティースプーン SOLD
長さ 13.4cm、重さ 12g、ボール部分の長さ 4.3cm、最大横幅 2.7cm、ボールの深さ 0.6cm、柄の最大幅 1.25cm、1798年 ロンドン、Samuel Godbehere & Edward Wigan作、一万一千円 SOLD

ジョージ三世 スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ティースプーン(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


No.20060 英国王 エドワード八世 戴冠記念 スターリングシルバー with ゴールドギルト アノインティング スプーン
長さ 10.8cm、重さ 15g、最大幅 2.3cm、柄の最大厚み 3.5mm、1936年 バーミンガム アセイオフィス、

興味深いアンティークが入りましたので、ご紹介しましょう。 英国王 エドワード八世 幻の戴冠 記念 アノインティング スプーンです。 エドワード八世のコロネーション(戴冠)を記念するはずだった品であること、そしてエドワード八世の在位期間は一年に満たなかったことから、エドワード八世ものは、この銀のスプーンに限らず、アンティークとしてはレアものの範疇に入ることから珍重されます。

国王の即位式で使われるクラウンジュエリーの一つにアノインティング スプーンがあり、コロネーション(戴冠式)を記念して、それを模したスプーンが作られました。 オリジナルのアノインティング スプーンは12世紀から伝えられてきた英王室の三種の神器のような品であって、戴冠式で新国王に聖油をつけるのに使われます。

アノインティング スプーンのオリジナルは英王室の宝物としてロンドン塔に保管されておりますが、『倫敦塔』といえば夏目漱石の作品にありますので、あわせて読まれると興味深いと思います。

柄の側面部分には四つのブリティッシュ ホールマークが刻印されており、順にメーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1936年のデートレターです。 写真二番目では、柄の側面部分に四つのホールマークが並んでいるのがご覧いただけます。

素材のスターリングシルバーにゴールドギルトが施してあって、ゴージャスな仕上がりになっています。 15グラムという持ちはかりは、このタイプのアノインティング スプーンとしては、重たい方になります。 銀がしっかり使われて作られていることを示しています。

柄の厚みは丸飾りの辺りが最大で3.5ミリほどあって、ボール部分の銀も厚めに作ってあって、持った感じのしっかりしたスプーンと思います。 上から見た写真では立体的な構造が分かりにくいのですが、ボール部分は一段低く、柄の部分がせり上がったかなり立体的な構造に出来ています。 

1936年は「王位を賭けた恋」で有名な英国王エドワード八世即位の年にあたっており、国を挙げての祝賀ムードから記念銀器が作られたことが、このアンティークの背景になっております。 そして、在位期間があまりにも短かったエドワード八世ものは、アンティークとしてはレアものの範疇に入ります。

例えてみると、阪神タイガースの優勝を見越して記念グッズを作っていたら、土壇場で阪神は優勝を逃してしまい、困ってしまった業者さんの事情とよく似ています。 エドワード八世は国王に即位したけれども、国民をあげて盛り上がっていく戴冠式を前に退位してしまったのでした。 

まあ、それから八十年以上の年月が流れますと、幻の戴冠式に向けて作られた記念銀器が、レアものとして尊ばれるようになっております。

エドワード八世は1936年に英国王になりましたが、その年の12月には退位を宣言し、この年は英国中が大揺れとなりました。 それというのも、エドワード八世は当時41歳の独身で王位につき、英国民はさて次はお妃探しと盛り上がったのですが、彼には皇太子時代からシンプソン夫人という愛人があったのです。 シンプソン夫人はアメリカ国籍で、夫のある身、さらには離婚歴もありということで、英国国教会や当時の英国政府が黙って見過ごせることではなかったわけです。 不倫を解消せよと迫る世論に対して、国王が下した決断は王位を捨ててシンプソン夫人をとるというものでした。 

当時の新聞によりますと、英国王が王位を捨てるとのニュースによって、イギリス国民の間には外国から宣戦布告を受けたような衝撃が走ったそうです。 ロンドンのシティでは電話回線がパンクしましたし、ウエストエンドの商業地でもこれまた機能不全に陥って、人々は夕刻の号外を奪い合い、バッキンガム宮殿に出入りする王族を一目見ようと殺到し、ロンドンは蜂の巣を突いたような騒ぎとなったのでした。

エドワード八世は、アメリカや日本を含めた諸外国では、「王位を賭けた恋」を成就させた王様として人気があります。 彼は晩年に至るまで一度も自らの決断を後悔したことはなかったと伝えられています。

ちなみにヴィクトリア女王の時代が終わって20世紀に入ってからの英国王は、1901年のエドワード七世、1910年のジョージ五世、1936年のエドワード八世、1937年のジョージ六世、そして1952年から現在のエリザベス二世になります。

ついでながら、『エッジウェア卿の死』(アガサ・クリスティ作)をご存知でしょうか。 英国国教会の離婚に対する考え方が、重要な作品背景となっていて、クリスティーはこの小説を1933年に書いております。 エドワード八世とシンプソン夫人の交際は1931年から続いていたので、この問題でますます英国国教会と、もめるだろうと分かっていたことでしょう。 おそらく、そんな王室事情もヒントになって、書かれたミステリーなのだろうと思うのです。

実際に起こった王室問題と、クリスティのミステリー小説、やはりどちらか一方よりも、あわせて親しむと、八十年前の人々の考え方がよりよく分かってきますし、歴史やアンティークに対する理解が深まるように思います。

英国王 エドワード八世 戴冠記念 スターリングシルバー with ゴールドギルト アノインティング スプーン


No. 20059 ヴィクトリアン スターリングシルバー  ティースプーン Queen Anne パターン with シェル
長さ 11.7cm、重さ 12g、ボール部分の長さ 3.8cm、最大幅 2.5cm、ボールの深さ 6mm、柄の最大幅 1.3cm、1890年 ロンドン、George Unite作、(3本あります)
SOLD




No.20051 アスプレイ アール・デコ スターリングシルバー ティースプーン 一部 SOLD
長さ 11.0cm、重さ 11g、ボール部分の長さ 3.6cm、最大横幅 2.4cm、深さ 6mm、柄の最大幅 1.15cm、1971年 バーミンガム、Asprey & Co. Ltd 作、 (12本あります-->6本あります。)

直線的なアール・デコ 幾何学デザインのスターリングシルバー ティースプーンです。 シルバースミス(=銀工房)は Asprey & Co. Ltd になります。 

このアスプレイというお店は1781年創業、英国王室御用達で、現在でもイギリスにおける宝飾店の最高峰と言われ、ロンドンのボンドストリートに立派なお店を構えています。 イギリス銀製品を専門に扱うガイドブック 『Jackson's Hallmarks』 では、アスプレイについて「Justifiably famous for the quality of its products (もっともで当たり前のことながら、その品質の良さは有名である。)」と最上級のコメントです。

アスプレイの作となる同じデザインのテーブルスプーンを以前に扱ったことがあります。 そのテーブルスプーンは1936年の作でしたので、写真のティースプーンのデザインは1930年代 アール・デコの時代から少なくとも1971年までの長きにわたって、アスプレイの定番として取り扱われてきたことが分かります。 

イギリスでも超のつくような老舗においては、頻繁にモデルチェンジしないと言うか、よいものであれば、あくまでも昔のものにこだわっていく姿勢が伺えて、興味深いところです。 ただ一方で思いますのは、こういう古いものへのこだわりは、老舗に限らず、広くイギリス人一般に見られる特性の一つかも知れません。 

昨今の例で言えば、イギリスがなんだかんだ言って、欧州共通通貨ユーロに参加せず、あくまでもスターリングポンドにこだわり続ける姿勢も、根っこのところでつながりがあるように見ています。

写真二番目に見える裏面のホールマークは順に「Asprey & Co.Ltd」のメーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1971年のデートレターで、どの刻印もはっきりしています。 

林望氏の『イギリス観察辞典』という本に「アスプレイ」の項目があり、面白く分かりやすい解説がありますので、詳細は本をご覧いただくとして、抜粋をご紹介しましょう。

『世の中にまた、アスプレイという会社ほどイギリス的なものもあるまいと思われる。この会社はまったく不思議な組織で、アスプレイ家が経営している王室御用達の店なのだが、いったい何を商っているのかというと、なんでしょうねぇ...おおまかに言えば雑貨屋さんなのだ。しかし、そんじょそこらの雑貨商とは全然違う。 

いかなる注文にも応じて、この会社の職人に作れぬものはない、...

「たとえば...」とアスプレイのスタッフは言った。「当社では、お客様にロンドンへお越し頂くのではなくて、ロンドンから職人を派遣して、お客様のご注文を承る、ということになってございます。」  そのようにしてカスタムメイドされた流麗な散弾銃が二挺一組で六万五千ポンドだそうである。 ざっと千三百万円! どうです、安いものでしょう。

むろんこの会社は「物」を作って売る会社ではあるけれど、その本当の趣旨はもう少し深いところにあって、たぶんそういうイギリス人魂とか、イギリスの夢とでもいうようなものを、「何かの形」に作って売ることを目的としているのであろう。』 以上抜粋。

それから、このアスプレイにはアンティークシルバーのコーナーもあります。 ロンドンのボンドストリートやニューボンドストリート沿いの老舗アンティーク店の中でも、とりわけアスプレイは高級店で、気軽さはありませんが、英国にお越しの際にはロンドンアンティークショップの最高峰を見てみるのも面白いかも知れません。

1920年代、30年代はアール・デコの時代ですが、ヴィクトリアンあるいはエドワーディアンの伝統的で凝ったシルバーデザインとは大きく異なる変更が、この時代にあったことは、とても興味深いと思います。 ある解説によれば、このデザイン上の大きな断絶を生み出した最大の要因は第一次大戦だったと言われています。 当時の人たちはヴィクトリアンとエドワーディアンの輝かしい伝統の延長上に世界大戦が起こったことに大きなショックを覚え、ポストワーの時代には、昔の時代から距離を置きたいと望む風潮が強く、そこにアール・デコがぴたりとはまったというわけです。 

アール・デコについてはいろいろな説明がありますが、この解説はかなり言いえているように思います。 イギリスを隅々まで旅してみて、どんな小さな田舎の村にも、第一次大戦の戦没者を悼む記念碑が建っているのを知りました。 英国人の暮らしを根底から揺るがした出来事であったことが想像されるのです。

アスプレイ アール・デコ スターリングシルバー ティースプーン


No. 20049 アール・デコ スターリングシルバー ティースプーン with ピアストワーク SOLD
長さ 10.8cm、重さ 10g、ボール部分の最大幅 2.3cm、透かし柄の最大幅 1.3cm、1943年 バーミンガム、 (6本あります-->3本あります-->SOLD)

アール・デコ スターリングシルバー ティースプーン with ピアストワーク




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