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アンティーク シルバー スプーン、ティーポット、ティーストレーナー、トング、サーバー、フォーク、ティー関連(3)









No. 20192 ジャポニスム モチーフ エドワーディアン スターリングシルバー ナイフ
長さ 13.2cm、重さ 15g、ブレードの最大幅 1.85cm、柄の最大幅 1.4cm、柄の最大厚み 2mm弱、1901年 バーミンガム、一万四千円

今から百年以上前に作られたスターリングシルバーのナイフです。 もともとはバターナイフとして作られた銀製品です。 とても装飾性の高い銀製ナイフで、もちろんバターナイフとして実用されてもOKですが、現代的な用途としては、デスク周りでペーパーナイフとしてお使いいただくのもありかなと思います。

ブレードの先端に向っては、ヴィクトリア時代に好まれた植物文様のファーンパターンが見られます。 また、ブレード部分に斜めに引かれた短冊状の彫刻や、ブレード下方の扇形四分円の彫刻は、ジャポニスムのモチーフブックに見られるデザインです。

写真三番目に見えるように、裏面にはメーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1901年のデートレターが刻印されています。

1901年という製作年を考え合わせると、ヴィクトリアンのシダ模様好みと、ジャポニスムの影響が色濃いエドワーディアン アンティークと言えましょう。

ファーン(Fern)パターンとは、シダ模様を指します。 19世紀のイギリスにおいては、稠密かつ精巧なナチュラルデザインとしてファーンが好まれ、コンサバトリーで育てる人気の植物となっていました。 ウォード箱を使ってさまざまな種類のファーンを収集することも広く行われておりました。 そうしたことが背景にあって、ファーンパターンはヴィクトリアン装飾の中でも特に人気の高いモチーフのひとつとなったのでした。 ヴィクトリアンのフラワーコード(花言葉)によれば、FernにはFascination(魅惑)、Magic(不思議な力)、Sincerity(誠意)といったコードがあてられています。

ヴィクトリア時代のイギリス人のシダ好みについては、以下のアンティーク ポストカードもご参考まで。
Amber 宝石言葉 I draw you to me. アンティーク ポストカード(未使用)

ブレード部分のエングレービングは基本パターンは深めな彫りで、背景部分は細かな鍵彫りの二重ラインや、限界的な彫刻線の重ね彫りなど、レベルの高い手仕事となっております。 写真では十分にその繊細さがお伝え出来ませんが、アンティークハント用のルーペがお手元にあれば、眺めているだけでも楽しめるアンティークに仕上がっています。

また、写真四番目にあるように、柄先に向かって、Cスクロールを複合させた波模様デザインが見られたり、格子模様のレリーフなど綺麗で、見所のおおいエドワーディアン アンティークと思います。 スクロールパターン(渦模様)の中でもアルファベットの「C」の形状をしたものを Cスクロールと呼びます。 柄先に向かうエッジ部分に波しぶきのように見られるレリーフのデザインです。 スクロールは波模様デザインの派生形でもあり、また重要なケルティック モチーフでもあります。 波模様のウェーブパターンは、Continuation(続いていくこと)や Eternity(永遠)を象徴するクリスチャンモチーフで、ヴィクトリアンやエドワーディアンの時代に好まれました。

写真のアンティークが作られた当時の時代背景につきましては、英国アンティーク情報欄にあります「14. Still Victorian」の解説記事もご参考ください。 

1853年のペリー来航以来、日本の工芸が広く西欧に紹介され、英国シルバーの世界にも日本の伝統的なモチーフとして蝶などの虫、飛翔する鳥、扇、竹、さくら等のデザインが取り入れられていきました。1870年代、80年代のこうした潮流はオーセンティック ムーブメントとして知られています。

サムライの時代が終わった頃、1870年代前半における英国のジャポニスム取り込みについては、英国アンティーク情報欄の「10.エルキントン社のシルバープレート技術と明治新政府の岩倉使節団」記事後半で詳しく解説していますのでご覧になってください。

その後のジャポニスム研究は、モチーフブックなどの成果となって、以下のような書籍が次々と発表されていきます。
「Art and Art Industries of Japan(1878年、 Sir Rutherford Alcock)」、 「A Grammar of Japanese Ornament and Design(1880年、Cutler)」、「Book of Japanese Ornamentation(1880年、D.H.Moser)」

そして1880年代の後半にはジャポニスム モチーフブックの集大成である「Japanese Encyclopedias of Design(Batsford)」が出て、Japanese craze(日本趣味の大流行)のピークとなりました。

ヴィクトリアン後期の英国にあってはジャポニスムが新鮮で、大きな顧客需要があり、モチーフブック等の基礎資料も充実していたことが、今日私たちが日本趣味な英国アンティークにお目にかかれる理由なのです。 百数十年も前に多くのイギリス人たちが日本に大いなる関心を持っていたことには驚かされます。

ちなみに、イギリスにおけるジャポニスム研究書のさきがけとなった「Art and Art Industries of Japan(1878年、 Sir Rutherford Alcock)」の著者であるオールコックという名前、聞いた覚えのある方もいらっしゃるかと思います。

サー・ラザフォード・オールコックは、幕末の日本で数年間暮らしたイギリスの初代駐日公使です。 当時のイギリス公使館は、現在の品川駅から徒歩七分、港区高輪の東禅寺に置かれていましたが、オールコック在任中には、攘夷派浪士が英国公使館を襲撃した東禅寺事件など起こっています。 まさに命がけの日本勤務であったろうと思います。 彼は幕末日本滞在記である『大君の都(岩波文庫 上・中・下)』も残しています。

オールコックと言えば、幕末期のイギリス外交官としての仕事に注意が向きがちですが、一方では日本美術に傾倒し、「Art and Art Industries of Japan(1878年、 Sir Rutherford Alcock)」という著作も残しているわけで、日本のよさを広く海外に紹介してくれた、よき広報官という側面もあったのでした。

オールコック初代駐日公使、「Art and Art Industries of Japan」、ヴィクトリア時代のJapanese craze(日本趣味の大流行)、ジャポニスム研究、数多くのモチーフブック等々、こういう歴史的な背景があって、イギリスで作られ現代に到っているスターリングシルバーのナイフというわけです。

ジャポニスム モチーフ エドワーディアン スターリングシルバー ナイフ(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


No. 20125 シルバー プレート 銅製 ペーパーナイフ
長さ 16.1cm、重さ 20g、ブレードの最大幅 1.25cm、柄の最大厚み 6.5mm、四千円

アンバー色の飾り部分が、最も厚みがあって、6.5ミリあります。 この飾り部分の厚みによって、手になじんで、扱いやすいペーパーナイフとなっています。 

裏面には銅合金の上にシルバープレートが施されていることを示す『EPCM』の刻印があります。 

写真二番目にあるように、飾り部分の周囲にはウェーブパターンといいましょうか、スパイラルの効いたデザインが見られます。

「Spiral=渦巻き、螺旋」というのは、とても重要なケルティックモチーフの一つであって、渦巻きは太陽を象徴し、そこからGrowth(成長)、Expansion(拡大)、Energy(活力)の意味合いが導かれます。

シルバー プレート 銅製 ペーパーナイフ(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)シルバー プレート 銅製 ペーパーナイフ(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


No. 20123 エドワーディアン ピストルハンドル ナイフ (スターリングシルバー柄 & シルバープレート刃)
長さ 16.4cm、重さ 22g、ブレードの最大幅 1.85cm、シルバーハンドルの最大幅 1.7cm、シルバーハンドルの最大厚み 1.0cm、1914年 シェフィールド アセイオフィス、一万二千円

ブレード部分はシルバープレートで、流麗なウェーブパターンの彫刻が綺麗です。 彫りが繊細でレベルの高い仕事と感じます。 デスク周りに置いて、ペーパーナイフにお薦めしたいと思います。

ピストルハンドルはスターリングシルバーです。 ハンドルが先端に向かって一方向に曲がっていくこのタイプは、ピストルハンドルと呼ばれ、もともとはイギリスにおいて18世紀初頭に現われたデザインになります。

写真一番目でハンドルに刻印されているブリティッシュ ホールマークは、メーカーズマーク、シェフィールド アセイオフィスの王冠マーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1914年のデートレターです。

写真二番目をご覧いただくと、ハンドル裏面にもスターリングシルバーを示すライオンパサントと1914年のデートレターが刻印されています。

百年近く前の品ですが、コンディションは良好で綺麗と思います。 ハンドルとブレード取り付けしっかりであることもよいでしょう。 作られたのは第一世界大戦が始まった頃の1914年ですから、アンティークシルバーの時代区分としては、エドワーディアンと言ってよろしいでしょう。

英国で「アンティーク」という言葉を厳密な意味で使うと、「百年以上の時を経た品」を指すことになります。 そんな訳で、英語で言うと「It will become an antique in four years. (この品はあと四年でアンティークになります。)」という言い方をされることがあります。 アンティークコレクターにとっては、やはり百年という年月の経過は大きなメルクマールになりますので、上記のような会話がなされる機会も多いのです。 

写真のナイフが作られたのは1914年ですから、晴れて正式なアンティークに昇格した品ということになります。 気に入った古いものを使っていくうちに、その品が自分の手元で‘アンティーク’になっていくことは、コレクターの喜びとも言えますので、この品には、そんな楽しみ方もあるかと思うのです。

歴史を振り返ってみますと、この品が作られたのはエドワーディアンが終って、第一次世界大戦が始まる頃になります。 その頃の出来事として、1912年:タイタニック号氷山に衝突して沈没とか、あるいは日本では明治時代が終って大正時代になり、夏目漱石の『こころ』が世に出た頃のことであって、ずいぶん昔のことなのです。 アンティークを手にしていると、百年に近い時の経過があらためて身近に感じられるのは楽しいことです。

エドワーディアン ピストルハンドル ナイフ (スターリングシルバー柄 & シルバープレート刃)(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)エドワーディアン ピストルハンドル ナイフ (スターリングシルバー柄 & シルバープレート刃)(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)エドワーディアン ピストルハンドル ナイフ (スターリングシルバー柄 & シルバープレート刃)(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


No.20071 エルキントン アール・ヌーボー リリーパターン ヴィクトリアン シルバープレート テーブルフォーク with コート オブ アームズ(ウィング紋章) 一部 SOLD
長さ 21.6cm、重さ 74g、柄の最大横幅 2.7cm、柄の最大厚み 4mm、1879年 エルキントン作、一本 七千円(10本あります-->8本あります-->5本あります)

このアンティークを見る五つのポイント
一、明治新政府の岩倉使節団が訪れた有名銀工房エルキントン製
二、アール・ヌーボーの先駆けとなったリリーパターン
三、1879年作と特定できること
四、柄先に彫られたウィングの紋章
五、相当量の銀が使われていること。


かなり大きなアンティーク フォークです、現代的な使い道としてはパーティーのときのサーバーとされるのもよいでしょう。

素材は厚めで質感があり、すべてしっかり出来たところが好ましい、おすすめ出来るヴィクトリアン シルバープレート テーブルフォークです。 そして、アール・ヌーボーの時代を先駆けたリリーパターンというのはやはり大きなポイントでありましょう。 

写真四番目をご覧いただくと、エルキントンのマークが並んでおりますが、左から二つ目に見える四角に「T」のマークが、1879年作であることを示す刻印で、これはエルキントン独自のデートレター システムによっています。 シルバープレートの品においては、その大半が、もっと言えばおそらく99%以上の品では、製作年を特定することは出来ません。 エルキントンの品であっても、デートレターのある場合と、ない場合があります。

そうした事情にあって、1879作と特定できる写真のフォークは、アンティークとしてめったにない優れた特徴を有していると言えましょう。
歴史年表を眺めると、1879年 エジソンが電球を発明とか、1877年 西郷隆盛の西南戦争など、かなり古いと分かります。

長さが22センチほどあります、まあ、本当に大きいです。 ヴィクトリアンのテーブルフォークはこんなにでっかいのかとビックリするのもアンティークの楽しみでありましょう。


エルキントンについては、以下もご参考ください。

エルキントン社のシルバープレート技術と明治新政府の岩倉使節団
Punch:1873年2月2日号』 ヴィクトリアンの英国を伝える週刊新聞


ゆりモチーフのレリーフが華やかで、その優雅な曲線デザインが目を惹きます。 両面に見えるデザインの特徴から「Lily pattern(ゆりパターン)」と呼ばれます。 キングスパターンやフィドルパターンといったメジャーなパターンではなく、マイナーパターンの一つなので、アンティーク シルバーウェアの参考書では紹介されることがあっても、実際に見かける頻度はそう多くありません、その意味でもレア物アンティークの一つ言ってよいでしょう。 

アール・ヌーボーの歴史を紐解くと、ゆりデザインは大きな役割を果たしてきました。 「Lily pattern(ゆりパターン)」は、エルキントンという有名どころのシルバースミス(銀工房)が、1850年に考案しデザイン登録したのが始まりです。 そしてChawner & Co.のパターンブックでは 「Lily pattern」と名前が付けられて、世に知られるようになった経緯があります。 ヴィクトリアン中期のNaturalism(自然主義)を代表するデザインで、アール・ヌーボーにダイレクトな影響を与えたデザインと言われます。

柄先にはウィングの紋章があり、どこかのマナーハウスで使われていたものと思います。

紋章の基礎知識について、少しお話しましょう。 一般に紋章はコート オブ アームズと言うのが正式です。 クレストという言葉もありますが、クレストとは紋章の天辺にある飾りを言います。 紋章の各部分の名称として、例えば英国王室の紋章の両サイドにいるライオンとユニコーンの部分をサポーターと言い、中央の盾状部分をシールドまたはエスカッシャンと言います。 さらに細かく言うと、写真のフォークに刻まれた紋章では下に棒状の飾りが見えますが、これはクレストの台座であって、リースと呼ばれます。

ただし、紋章のすべてを描いて使うのは、大掛かり過ぎるので、その一部をもって紋章とされることも多く、中紋章とか大紋章という言い方もあります。 しかし、その区別は厳密でないので、紋章の一部をもってコート オブ アームズという言い方をしても差し支えありません。

コート オブ アームズ(=紋章)を使っていた人々とは、どういう階層の人たちであったのか、考えてみました。

コート オブ アームズの体系化や研究は、イギリスにおいて九百年ほどの歴史を持っており、紋章学(Heraldry)は大学以上の高等教育で学ぶ歴史学の一分野となっています。 中世ヨーロッパにおいては、多くの国々に紋章を管理する国家機関がありました。 今ではなくなっているのが普通ですが、面白いことにイギリスでは紋章院がまだ活動を続けています。

今日のイギリスは品のよい国のように見られることが多いですが、その歴史を紐解きますと、節操のないことで名高い時代も長くありました。 キャプテン・ドレークは世界を航海して略奪をきわめて、当時の国家予算に匹敵するほどの金銀財宝を奪って帰ってきたので、エリザベス一世から叙勲を受けました。 お金がすべてという傾向は、紋章院においてもあったようです。

紋章学や紋章院の働きについて書かれた本が、『HERALDRY IN ENGLAND』(Anthony Wagner著、Penguin Books、1946年刊)です。

この本によりますと、紋章院が認めてきたコート オブ アームズは四万あるとのこと。
一方で英国の王侯貴族にあたる家柄は千足らずとなっています。

この数字のバランスから分かることは、第一にコート オブ アームズは王侯貴族だけのものではないこと。 第二に、そうは言っても、代々伝わるコートオブアームズがある家系は、英国の中でも数パーセントに過ぎず、その意味で日本における家紋とはだいぶ違っていること。

産業革命が進行して、新興富裕層が厚くなってきたのがヴィクトリア時代の初め頃になります。 当時の富裕層はコート オブ アームズを求めましたし、また求めれば手に入る性質のものであったようです。



フォークについて言いますと、普段使いで純銀製のフォークをお使いいただくと、歯先が曲がったりして、残念なことが起こりがちであります。 

銀という素材はやわらかく、スターリングシルバーは銅を混ぜて100%銀よりはずいぶんと硬い素材にはしてあるのですが、それでも、フォークの歯先やナイフの刃先として使うには、まだ強度が足りず、よほどの注意が必要になってきます。 そのあたりが、スプーンに比して、ナイフやフォークに全銀製が少ない理由となっています。

エルキントンのこのレベルの品では、テーブルスプーン一本あたりに2gから3gの純銀を使って、エレクトロプレートが施されています。 小さな純銀インゴット型ペンダントヘッド一つで、テーブルスプーン二本程度の割合ですので、エレクトロシルバープレートとは言っても、相当量の銀が使われているなあと、私は感じます。 そのことは手にとって眺め、触ってみると、実感として伝わってきます。 

加えて、実際のところ、歯先は硬いので、気にしながら使う必要はなく、普段使いには最適だろうと見ております。

なんといっても、英国シルバープレート品にあって、エルキントンはビックネームなので、贔屓目もあるかも知れませんが、裏面のメーカーズマークも格調高く、やはりシルバープレートの仕上がりもよいですし、メーカーのよさを感じます。

アンティークとしてかなり見所の多いよい品と、私は思っているのですが、お求めいただいたお客様から、実際に使ってみてのご感想をいただきました。 掲載許可をいただきましたので、ご参考ください。

以下がお客様からのご感想です。

『リリーパターンのフォークを見た時にはこれだと思ったのです。 対のテーブルウェア、それも歴史のあるもの、美しいもの、見た目にも触っても心地よいもので食事をするのは、これ以上無く贅沢な時間です。 100年の季を経てもなお艶やかなフォークとスプーンは、余計な物をそぎ落としたシンプルなデザインが、その存在全体を完全なものにしているように感じます。 

もちろん、見て楽しむだけでもいいのでしょうが、使うために作られたテーブルウェア、使ってこそその良さがわかります。 当時のイギリスでパスタを食べたかどうかはわかりませんが、このスプーンとフォークで食べるパスタは格別で、偏屈な夫が珍しく「おいしい」と何度も言いました。 このスプーンとフォークのお陰ではないかと思います。 

食べる時だけではありません。 洗うときも拭くときも、置いてあるときも、歴史を見てきた先輩がうちにいるような感覚、なんとも言えません。 表だけの模様ではなく裏にもさりげなく模様があって、コストカット優先の今日ではほぼ考えられない手間と材料を使って、良い物を作ろうという心はおそらく、たとえそれが生き物で無くても時を経ても宿るものなのなのかなぁと思っています。 

大切に使います。 本当に洒落た言葉の一つも書けませんが、畑様にはいつもいつも感謝しています。 ありがとうございます。』

お客様のご感想は以上でした。  S 様 ご感想いただきありがとうございます。 私はこの品をとても気に入っており、皆様にお薦めしたいアンティークと考えております。 こういった新たな視点からのインプレッションは参考になり、皆様のお役にも立とうかと思います。 ありがとうございました。 店主



エルキントン アール・ヌーボー リリーパターン ヴィクトリアン シルバープレート テーブルフォーク ペア with コート オブ アームズ(ウィング紋章)


No. 20046 エドワーディアン スターリングシルバー ブライトカット フェザーエッジ シュガートング
長さ 9.0cm、重さ 15g、つまみの間隔 3.0cm、アーム部分の最大厚み 2mm弱、1911年 ロンドン、Wakely & Wheeler作、一万円

柄のデザインはブライトカットのヴァリエーションで、フェザーエッジと呼ばれ、光の反射を美しく誘います。 百年以上も前に作られた銀製品ですが、コンディション良好な美しい品です。

内側にはスターリングシルバーを示すライオンパサント、ロンドン アセイオフィスのレオパードヘッド、1911年のデートレター、そして反対サイドに「Wakely & Wheeler」のメーカーズマークの刻印があります。 

この品が作られた1911年はエドワーディアンの時代が終った直後で、第一次大戦が始まる前であることから、デザインや様式的にエドワーディアンと呼んで差し支えない時代の雰囲気を反映した銀器になっているものと思います。

英国でアンティークという言葉を厳密な意味で使うと、百年以上の時を経た品物を指します。 写真のシュガートングが作られたのは1911年ですから、少し前に正式なアンティークに仲間入りしているわけです。 日本における1911年といえば明治時代の終り頃にあたり、ずいぶんと昔のことになりましょう。 やはり百年経っているということは、アンティークとしての大きな魅力になると思うのです。

ちなみにこの頃の歴史年表を眺めてみますと、1910年:エジソンが電球を発明とか、1912年:タイタニック号氷山に衝突して沈没とか、出てきます。 あるいは日本では明治から大正にかけての時代、例えば、夏目漱石の『こころ』が世に出た頃のことであって、ずいぶん昔のことなのです。 アンティークを手にしていると、百年に近い時の経過があらためて身近に感じられるのは楽しいことです。

この品を作ったシルバースミスの「Wakely & Wheeler」は、その創業が1791年という老舗です。創業者はジョン ライアスという人でしたが、19世紀の後半には創業家のライアスファミリーは仕事から退いて、当時のパートナーであったウェイクリーとウィーラーによって事業が引き継がれていきました。ガラード、エルキントン、マッピン&ウェッブといった有名メーカー&リテーラーにライアス時代からずっとシルバーウェアを納入していたWakely & Wheelerはジョージアンとヴィクトリアンを通しての優良シルバースミスの一つと言ってよいでしょう。

フェザーエッジの歴史は古く、イギリスのシルバーウェア史に現れたのは、今から二世紀半ほど前になります。 より具体的には、この装飾的なフェザーエッジの技法が初めて登場したのは1770年代のことでしたが、それは良質の鋼(はがね)が生産可能となってエングレービングツールの性能が向上したことによります。

似たような装飾技法にブライトカットがあり、フェザーエッジはブライトカットの派生系と言われます。 しかし、二つは歴史的にほぼ同時期に作られ始めていることから、二つの技法の関係は派生関係というよりも、兄弟姉妹の関係に近いとも考えられます。 

ブライトカットは、ファセット(彫刻切面)に異なった角度をつけていくことによって、反射光が様々な方向に向かうようにした彫刻技法です。 ファセットは平面状で一種類、それを互い違いに角度を変えて彫っていきます。 

フェザーエッジはU字谷とV字谷を隣合わせに彫っていく手法です。 V字谷のファセットは平面で向かい合う二面の角度が違っているところはブライトカットに似ています。 加えてU字谷のファセットは凹面状なので、当然ながらその反射光も様々な方向に向かいます。 V字谷のシャープな反射光に対して、U字谷の反射光は穏やかな感じで、二種類の輝きのコントラストに特徴があります。

一本の彫刻刀で作業を行うブライトカットに対して、フェザーエッジではU字とV字の二種類の彫刻刀を使いますので、その意味でブライトカットの進化系あるいは派生系がフェザーエッジと言われるのかも知れません。

エドワーディアン スターリングシルバー ブライトカット フェザーエッジ シュガートング(英国 アンティーク シルバー 英吉利物屋)


No.20045 シルバープレート ティーストレーナー with 木製ハンドル
長さ 17.8cm、重さ 92g、ボール部分直径 7.9cm、ボールの深さ 2.1cm、八千円

写真のティーストレーナーは比較的に近年の品と思いますが、「Where there is tea, there is hope. (お茶あるところに希望あり。)」というフレーズが、いかにも英国風と言いましょうか、そういう考え方が私も好きで気に入りました。 

「Where there is tea, there is hope. 」 口ずさんでみると、語呂のよさもいいですね。 

92グラムとけっこうな持ちはかりがありますし、ボール部分の直径は7.9センチですから、大きめで重厚感のあるティストレーナーです。 木製ハンドルはあたたかみがあって、全体にしっかり出来たよい品と思います。

お茶とイギリス人といえば、こんな経験も思い出されます。 ある朝、駅に向かって歩いていたら、駅から戻ってくる人がいて、「Security Alert で、今さっき駅は閉まってしまった。あなたも家に帰ってお茶にした方がいいだろうよ。」と言われたことがあります。 セキュリティ アラートと言うのは、警戒警報のようなもので、不審物など見つかると駅が一時的に閉鎖されることがあるのです。 当該駅は閉鎖されますが電車自体は走っているわけで、日本的な感覚ですと、次に近い駅までバスなりタクシーで行ってでも職場に向かいそうに思うのですが、そうではなくて、「お茶にしよう。」と言うのが、なんとも英国風で、軽いカルチャーショックを覚えた記憶があります。

お茶とイギリス人について、もう一つご紹介しましょう。 1946年4月に発表されたエセル・ローウェル氏の『現在の意味』という論文に、第二次大戦中のロンドンにおける空襲後の一婦人の話があります。

『爆撃の一夜が明けてから、一人の婦人が砲撃された我が家の戸口に幾度も行って、心配そうに往来をあちこち見ていた。 一人の役人が彼女に近づいて、「何か用ならしてあげましょうか。」

彼女は答えた、「ええ、どこかその辺に牛乳屋さんはいませんでしたか。うちの人が朝のお茶が好きなものですから。」

過去は敵意あり、未来は頼みがたい、が、道づれとなるべき現在は彼女とともにそこにあった。 人生は不安定であった。 しかし、…… 彼女の夫は一杯の朝の茶をほしがった。』(引用終り)

「絶対的現在(=永遠の今)」にしっかり足をつけて立つということの例え話であるようですが、「Where there is tea, there is hope. (お茶あるところに希望あり。)」のフレーズが、よりすっきり理解できるお話であるとも思います。


イギリスのティーに関するフレーズといえば、『Keep calm and have a cup of tea』というのがあります。 上記の駅閉鎖の場面でぴったりな感じです。 ただしこれには、原作があって、『Keep calm and carry on』の派生系になっています。

Keep calm and carry on』の再発見と今日の流行には、アンティークな背景があって、興味深いのですが、そんなあたり、いかにも英国風と感じます。

シルバープレート ティーストレーナー with 木製ハンドル





No.20031 エドワーディアン スターリングシルバー ブレッドフォーク SOLD
長さ 14.8cm、最大横幅 3.6cm、柄の最大厚み 3mm弱、重さ 35g、1911年 シェフィールド、Henry Williamson Ltd作、SOLD

ヴィクトリアンやエドワーディアンの時代のディナーテーブルでは、ロールパンやスライスパンをサーブするのに優雅なブレッドフォークが使われていました。 テーブルエチケットの変遷につれて、今日の食卓ではブレッドフォークは使われなくなってしまったので、その意味でもまさにアンティークと言えましょう。 


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