No. 7574 アスプレイ 琥珀パイプ with 18カラットゴールド
パイプの長さ 11.5cm、重さ 11g、パイプの最大内径 9.5mm、最大外径 1.3cm、1928年 ロンドン、Asprey & Co.Ltd作、二万三千円

あるお客様から次のようなご質問をいただきました。
「アスプレイ社製の琥珀のパイプですが、こちらはどのようにして使うのでしょうか? 私は煙草を嗜みませんので、どうするのかがよくわかりません。 アンティーク好きの友人は、紙煙草を細く巻いて、18金の先端に入れて使うのではないか?と言っていましたが。。。。。」

お恥ずかしい話なのですが、英吉利物屋で取り扱っておりながら、私も煙草を吸いませんので扱い方が分かりませんでした。以前に同様な琥珀パイプをお買い上げいただいたお客様にお聞きしたところ、普通の煙草を先端に入れて使用されるとのことでした。また、琥珀パイプを使うと、煙草の味わいが軽くなって非常に美味しくなるとのコメントもいただきました。

先端部の写真を追加しましたので、ご覧になってください。18金の縁金は奥行きは1センチ強あって、内側はらせん状に盛り上がっています。


以下は元々の説明文です。

今から80年近く前に、アスプレイが作った琥珀パイプで、18カラットゴールド(18金)の縁金が付いています。 収納ケースは革張りで、外側に「ASPREY LONDON」の金文字が見えます。 パイプの縁金には、Asprey & Co.Ltdのメーカーズマーク、ロンドンアセイオフィスのレオパードヘッドマーク、18金のスタンダードマーク、そして1928年のデートレターが刻印されています。 また同様に縁金部分には読みにくいのですが筆記体文字で名前と1929年12月25日の日付が刻印されています。

12月25日の日付であることからクリスマス プレゼントの特注品であったろうと思われます。
このアスプレイという店は英国の宝飾店における最高峰です。
『Jackson's Hallmarks』というガイドブックでは、アスプレイについて「Justifiably famous for the quality of its products (もっともで当たり前のことながら、その品質の良さは有名である。)」と最上級のコメントをしています。

林望氏の『イギリス観察辞典』という本に「アスプレイ」の項目があり、面白く分かりやすい解説がありますので、詳細は本をご覧いただくとして、抜粋をご紹介しましょう。
『世の中にまた、アスプレイという会社ほどイギリス的なものもあるまいと思われる。この会社はまったく不思議な組織で、アスプレイ家が経営している王室御用達の店なのだが、いったい何を商っているのかというと、なんでしょうねぇ...おおまかに言えば雑貨屋さんなのだ。しかし、そんじょそこらの雑貨商とは全然違う。

いかなる注文にも応じて、この会社の職人に作れぬものはない、...

「たとえば...」とアスプレイのスタッフは言った。「当社では、お客様にロンドンへお越し頂くのではなくて、ロンドンから職人を派遣して、お客様のご注文を承る、ということになってございます。」  そのようにしてカスタムメイドされた流麗な散弾銃が二挺一組で六万五千ポンドだそうである。 ざっと千三百万円! どうです、安いものでしょう。

むろんこの会社は「物」を作って売る会社ではあるけれど、その本当の趣旨はもう少し深いところにあって、たぶんそういうイギリス人魂とか、イギリスの夢とでもいうようなものを、「何かの形」に作って売ることを目的としているのであろう。』 以上。

それから、このアスプレイにはアンティークシルバーのコーナーもあります。 ロンドンのボンドストリートやニューボンドストリート沿いの老舗のアンティーク店の中でも、とりわけアスプレイは高級店で気軽さはありませんが、英国にお越しの際にはロンドンアンティークショップの最高峰を見てみるのも面白いかも知れません。