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No. 7394 ヴィクトリアン スターリングシルバー サービングフォーク
長さ 23.5cm、重さ 103g、1892年 ロンドン、Max Salomon作、二万六千円

重さが100グラム以上あって、ずっしりと重たいヴィクトリアンのスターリングシルバー サービングフォークです。
フォークの刃先に見えるホールマークは左から順に、Max Salomonのメーカーズマーク、スターリングスタンダードを示すライオンパサント、1892年のデートレター、「F」マーク、そしてロンドンレオパード ヘッドです。

柄先にエンジェルの付いたゴージャスな作りのこの品は、英国風というよりもコンチネンタルな雰囲気が漂いますが、英国シルバーのホールマークが刻印されているのはなぜでしょうか。

実は「楕円の中にF」のマークはインポートマークなのです。
詳しく見てみると、裏面に「クラウン&ムーン」のジャーマン ステートマークが刻印されているのが分かります。
つまりこの品はMax Salomon作だという言い方は正確でなく、Max Salomonがドイツのシルバースミスと提携して英国のスターリングスタンダードでシルバーウェアを作らせ、イギリスに輸入したものなのです。

私はこれまでにも英国のインポートマークが刻印されているシルバーを見たことがありますが、その品がどこから来たのかは分からないのが普通でした。
このサービングフォークはドイツ銀のスタンダードマークである「クラウン&ムーン」と、英国銀のスタンダードマークである「ライオンパサント」の両方が刻印されているという意味で、百年以上前の珍しいアンティークと言えるでしょう。

インポートマークの「F」マークはあまり見かけることが無いので、デートレターと間違いやすいのですが、頭の片隅に覚えているとコンチネンタル風な英国シルバーに出会った時に、その背景を探る手掛かりになります。