トップページへ戻る

No. 6956 透かし細工 と エナメルワーク の クローバー スターリングシルバー ペンダントヘッド with チェーン
直径 2.5cm、厚み 1mm弱、重さ 5g、1937年 バーミンガム、一万三千円

中心部の赤に緑の葉っぱ、そして白い渦巻き部分がエナメル細工になったスターリングシルバーのペンダントヘッドで、透かし細工のアクセントもよく出来ています。 クローバーの緑の奥には葉脈の細工も効いていて、奥ゆきの感じられるエナメルワークに仕上がっています。

ちょっと見た感じではデザインにモダンな雰囲気もありますが、ホールマークから読み取れる製作年は今から70年近く前の1937年になりますので、実際にはかなり昔の品であることもポイントになりましょう。

裏面にはブリティッシュ ホールマークがしっかり深く刻印されているのも、この品のよい特徴です。 写真二番目のホールマークは順に、メーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1937年のデートレターです。

英語には「live in the clover (安楽に暮らす)」という言い回しがあり、こうしたクローバーの良い意味合いが、このアンティーク アクセサリーには込められています。 クローバーと安楽の繋がりについて、牧草を刈り入れしていたファーマーの方から教えていただいたので、ご紹介しておきましょう。 牧草など植物の成長には土中の窒素分が必要ですが、クローバーは進化した植物で、大気中の窒素を直接に取り込んで養分に出来るのだそうです、そのため、クローバーのある畑は肥沃になります。 また家畜の飼料としてもクローバーの繊維質とプロテインが動物たちの成長に欠かせないのだそうです。 と言うわけで、クローバーに恵まれた農場は栄え、安楽に暮らしてゆけるということでした。

エナメルワークとは日本語で言うと「七宝焼き」のことで、金銀などの貴金属にガラス質の釉薬を焼き付ける装飾技法です。 元々は古代エジプトに起源を持ちますが、奈良時代には日本にも伝来しました。 その後七宝焼きは日本で技術的な発展を遂げ、ヴィクトリア時代の英国では、逆に日本の技術が大いに研究もされました。 このあたりの経緯は、「英国アンティーク情報」欄の「10.エルキントン社のシルバープレート技術と明治政府の岩倉使節団」後半に解説がありますので、ご参考まで。 そもそもエナメルワークは銀の装飾技法としては高度なテクニックですから、この品が手間のかかった昔のアンティークであることは頷けるわけなのです。