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No. 6952 ヴィクトリアン スターリングシルバー ティーポット
蓋のつまみまでの高さ 11.8cm、注ぎ口先端からハンドルまでの長さ 22.4cm、重さ 443g、容量 1Pint(=570ml)、1898年 シェフィールド、James Deakin & Sons Ltd作、十万八千円

サイズ的にはどちらかというと小振りなティーポットの範疇に入りますが、銀が厚めでしっかり出来ており、持った感じもとても重厚な印象で、スターリングシルバーの重みが心地よい品と思います。 ヴィクトリアン終わり頃のオーソドックスデザインにも惹かれて求めました。 ブリティッシュ ホールマークが深くしっかり刻印されていて、ヴィクトリアン アンティークとすぐに分かるのもよいでしょう。

蓋のつまみとハンドルは木製で温かみがあり、ぐらつきがなくしっかりした作りです。 大きめのハンドルには指かけもありますので、使い勝手がよく、ポットのお湯残量が多い時でも少ない時でも、すっきり気持ちよくお湯切れします。 

容量は目一杯で630ml 入りますが、英国風な 1Pint(=570ml)を意識して作られているようで、570ml程度で使うのが適当でしょう。 アンティークの銀製品一般に言えることですが、ティーポットも大きくて重たい品が多く、そこへさらにティーが入るとなると、重くて持つのが大変です。 このポットの容量ですと、英国アンティーク ティーポットとしては小振りになりますが、日本の急須の感覚から言えばそれでも十分に大きく、一人か二人で日常使いするにはちょうどよい大きさと思います。 「大は小を兼ねる」ということでお一人用、あるいは普通にはお二人用としてお使いいただけるでしょう。

ポットの側面部分には、「James Deakin & Sons Ltd」のメーカーズマーク、シェフィールドの王冠マーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1898年のデートレターと四つのブリティッシュ ホールマークがくっきり刻印されています。 また蓋の裏面にもライオンパサントとメーカーズマークの刻印があります。

「James Deakin & Sons Ltd」は1865年にジェームス ディーキンによってシェフィールドで創業されたのが始まりです。 1886年には彼の三人の息子達、ウィリアム、ジョン、アルバートもパートナーに加わり、ファミリービジネスとして上述の社名に変更し、事業は順調に発展していきました。 1888年にはロンドン支店開設、ヴィクトリア後期の1890年代には、スコットランドのグラスゴーとアイルランドのベルファストにも支店を開設しています。 しかし多くのシルバースミスがそうであったように、事業のピークは英国の国力がピークであったビクトリア後期からエドワーディアンの1910年までにあったようです。 その後は事業を次第に縮小していき第二次世界大戦が始まった1940年には店を閉めました。

このティーポットはヴィクトリア時代の終わり頃に作られておりますので、「James Deakin & Sons Ltd」が最盛期の頃の品と言ってよいでしょう。 この品が作られた頃の英国については「英国アンティーク情報」欄の「14.Still Victorian」の解説記事もご覧ください。