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No. 6944 オリジナルケース入り エドワーディアン スターリングシルバー ティー スプーン 6本セット
長さ 10.1cm、重さ 8g、ボール部分の最大幅 2.25cm、柄の最大幅 1.0cm、1909年 バーミンガム、French Brinton & Co作、二万九千円

今から百年近く前のエドワーディアンの時代に作られたスターリングシルバーのティースプーン セットです。 ハンドエングレービングの美しさがこの品の大きな魅力になっています。 

波模様モチーフには、Continuation(続いていくこと)や Eternity(永遠)という意味合いが象徴されており、ヴィクトリアンからエドワーディアンの頃に好まれたクリスチャンモチーフのデザインです。

基本デザインの深めな彫りは丁寧な仕事で、じっくり観察していくと、彫りの跡から彫刻刀を振るった向きまでもが窺い知れ、銀職人さんの息遣いが伝わってきます。 また、写真では解像力不足で十分にその繊細さがお伝え出来ないのですが、アンティークハント用のルーペがお手元にあれば、このティースプーンに施された手仕事の素晴らしさも分かっていただけると思います。 波模様の基本デザイン背景に色合いが濃いめに見えるシェード部分は、1ミリ間隔に十本ほどの細かさで彫刻線を走らせた、ハンド エングレービングとしては限界的な仕事になっています。 

ボール裏面にはブリティッシュホールマークが刻印されていて、French Brinton & Coのメーカーズマーク、バーミンガムアセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1909年のデートレターが完備しています。

この品のメーカーズマークはAJBと刻印されていて、Alfred Jacob Bartholomewの略です。 そしてAJBというメーカーズマークは、French Brinton & Coという工房が使っていたいくつかのメーカーズマークの一つです。 

French Brinton & Coはゴールドスミスでもありましたが、シルバースミスとしてもシルバーウェア全般を扱うメーカーでありました。 ゴールドのジュエリーなども手がけていたと言うことが、この品のデザインがよい理由の一つになっているようにも思います。

1821年創業のこの工房は以下のように何回か名前を変えています。
Jacob French 1821-1841
Jacob French & Sons 1841-1869
John & George French 1869-1870
John French & Co 1870-1890
French, Brinton & Co 1890-1925

創業者のJacob Frenchから次第に息子たちの代に移り、1869年には親父さんのJacobが引退し、1890年には新たにBrinton氏を共同経営者に迎えた銀工房の歴史が見て取れるかと思います。 Alfred Jacob Bartholomew は1875年にこの工房のパートナーとなっています。 1909年頃には工房を支えていたのは、Brinton氏だったようですが、その後は第一次大戦のため職人を失い事業は縮小していったようです。