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テーブルスプーン品物一覧を見る

No. 6924 ジョージ三世 スターリングシルバー オールドイングリッシュパターン テーブルスプーン
長さ 21.9cm、重さ 62g、ボール部分の長さ 7.7cm、ボール部分最大幅 4.55cm、深さ 1.0cm、1806年 ロンドン、William Eley & William Fearn作、一万八千円

今からちょうど二百年前に作られたスターリングシルバー テーブルスプーンです。 ジョージアンの中でも1760年から1820年までのジョージ三世時代は長かったので、アンティークにおいても、この時代の品には「ジョージ三世...」と接頭辞のように国王の名前を冠することが多いのです。

現代のテーブルスプーンと比べると、柄の最大厚みが3.5ミリあって頑丈で、大きくて持ちはかりもありますが、これがジョージアン テーブルスプーンのスタンダードでありました。 今日的にはテーブルスプーンとして使うにはちょっと大きすぎると思うので、私は大皿料理の取り分け用に使いますが、ボール部分の長さが7.7cmもあるので、サービングスプーンとしても十分な大きさと思います。

オールドイングリッシュ パターンについては、「英国アンティーク情報」欄の「4.イングリッシュ スプーン パターン」を、そしてジョージ三世とデューティーマークについては、「5.シルバーホールマークとジョージアンの国王たち」解説記事の後半もご覧ください。

メーカーのWilliam Eley & William Fearnは、この時代にあっては最も有力なパートナーシップの一つとして覚えておいてよい名前です。

英国シルバーフラットウェアの歴史を紐解くと、1700年代後半から1800年代初めの頃には、有力シルバースミスとして四つのファミリーがありました。 それらはChawner家、Fearn家、Eley家、そしてSmith家の四つのファミリーでした。 彼らは互いに競争しあうと同時に、徒弟制度を通じてお互いに密接に結びついていたので、ある意味ではギルドの枠内で四ファミリーがもっと大きな大家族を構成していたと考えてよいかも知れません。 と言いますのは、トーマス・チョーナーの下で徒弟として修行を積んだのが、ウィリアム・ファーンやジョージ・スミスであって、長じたウィリアム・ファーンの下で修行をしたのが、ウィリアム・チョーナー二世やウィリアム・イーリーであるといった、徒弟制度上の樹形図で四つのファミリーは結びついていたからなのです。

四つのファミリーは必要に応じてパートナーシップを組んで、メーカーズマークを使い分けており、この品は四大ファミリーのうち、イーリー家とファーン家が組んだパートナーシップであったと言うわけです。

ホールマークは順に、メーカーズマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、ロンドン レオパードヘッド、1806年のデートレター、そしてジョージ三世の横顔は税金支払済みを示すデューティーマークです。

さらにメーカーズマークの上に、ポチ二つの形が見えますが、これはジャーニーマンズ マーク(Journeymanは徒弟の上で、マスターの下に位置する。)といって、銀工房の中で誰が手掛けた仕事かを示す職人ごとのマークです。 ジャーニーマンズマークの分析はアンティークシルバーの研究の中でも最前線にあって、この工房の中でどの職人さんの作であったかは残念ながら現状ではまだ分かりませんが、こういうことを調べる専門家がいるというのは、いかにも英国的と思います。