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No. 6897 エドワーディアン スターリングシルバー フィドルパターン ティースプーン with フラワー エングレービング
長さ 12.9cm、重さ 20g、ボール部分の長さ 4.6cm、最大横幅 2.85cm、ボールの深さ 0.8cm、柄の最大幅 1.5cm、1905年 シェフィールド、John Round & Son Ltd.作、八千円

日本の歴史で言えば日露戦争が終った年に作られたエドワーディアン アンティークです。

英国でアンティークという言葉を厳密な意味で使うと、百年以上の時を経た品物を指します。 このティースプーンが作られたのは1905年ですから、正式なアンティークとなってほどない品ということになりますが、やはり百年の時の経過というのは大変なことだと思うのです。

フラワーエングレービングが可愛らしくて気に入りました。 彫りはアウトラインの深めな彫刻と、基本デザインの内側に施された繊細な彫刻のコントラストが素晴らしく、エドワーディアンならではの手仕事の味わいが楽しめます。

このスプーンのパターンは柄の形がヴァイオリン(Fiddle)に似ていることから、フィドルパターンと呼ばれます。 もともとは18世紀のフランスで人気だったこのフィドルパターンは、19世紀に入った頃からイギリスでも次第に流行っていきました。 フィドル パターンについてはアンティーク情報欄「4.イングリッシュ スプーン パターン」の解説記事もご覧ください。

柄の裏面に見えるホールマークは、どれも深くしっかり刻印されていて、まるでブリティッシュ ホールマークのお手本のような趣であることも好感が持てます。 ホールマークは順にシェフィールド アセイオフィスの王冠マーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、1905年のデートレター、そしてJohn Round & Son Ltd.のメーカーズマークになります。

メーカーのJohn Round & Son Ltd.はシェフィールドの大きなシルバースミスで、アンティークとしても今日でもよく見かける有名メーカーの一つです。 ジョン ラウンドによって1847年シェフィールドで創業され、当初はスプーンとフォークのメーカーでした。職人技の素晴らしさとデザインの優雅さで、次第にその評価を確立して、息子のエドウィンをパートナーとして迎える頃には、銀器なら何でもこなすシェフィールドの大メーカーに成長していました。 第一次大戦を境にしてイギリスの国力が衰えていくと、多くのシルバースミスも衰退していった中で、John Round & Sonは1962年までシルバースミスとして仕事を続けていたというのも珍しい例と思います。