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No. 6818 ヴィクトリアン ピンチバック ロケット
直径 3.2cm、最大厚み 0.6cm、縁辺部厚み 0.3cm、重さ 11g、ヴィクトリアン後期の英国製、二万三千円

アンティークの楽しみの一つは、現代の品では到底望めないような素晴らしい手仕事の品に、時に出会えることだと思います。 今から百年ほど前の作と思われるこのピンチバック ロケットを見ていただくと、私の思うことも皆様に伝わるのではないでしょうか。 

大きさは直径3.2センチで重さが11グラムと、大き過ぎず小さ過ぎず、ちょうどよいサイズなのも気に入りました。 エングレービングは限界的な繊細さを持っていますし、きっちりした蓋を開けてみますと、内部の作りも上出来で、工芸品としても最高レベルにあるヴィクトリアン アンティークと言ってよいでしょう。

ロケット両面に施された手彫りのエングレービングは、渦巻き様のウェーブパターンや小花模様の融合で、フラワーエングレービングも美しく、デザインが表と裏で違っていて楽しめます。 ウェーブパターンは、Continuation(続いていくこと)や Eternity(永遠)を象徴するクリスチャンモチーフで、ヴィクトリアンやエドワーディアンの時代に好まれました。 

ロケットの素材はピンチバックと呼ばれるアンティークな素材です。 この素材は銅と亜鉛の合金で、ゴールドの色あいをもたらすジュエリー素材として、ヴィクトリアンの英国で好まれてしばしば使われました。 元々は1720年ごろにロンドンの時計メーカーであったクリストファー ピンチバックという人が発明したことから、ピンチバックの名で呼ばれるようになったのでした。

デートレター等のホールマークが無いので年代特定が難しいのですが、ピンチバックを使っていること、手彫りのエングレービングの美しさ、波模様のデザイン等からみて、ヴィクトリアン後期の品と思われます。



裏面の様子