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No. 6737 ヴィクトリアン スターリングシルバー ブレッドフォーク
長さ 15.5cm、重さ 27g、最大横幅 3.8cm、1898年 バーミンガム、二万三千円

今から百年以上前、ヴィクトリア時代の終り頃に作られたスターリングシルバー ブレッドフォークです。

横幅があって、彫刻面が広くとれるので、優美なエングレービングがたっぷり楽しめる作りになっています。 エッジ部分をダブルビーズ パターンで囲み、内側には三つ葉模様とウェイブパターンが彫刻されています。 手彫りのエングレービングの背景部分には、写真で見て、色合いが濃くなっているところがありますが、これは微細な彫刻線で影をつけた細工で、1ミリ間隔に七、八本の彫刻線が刻まれている様子が、マグニファイインググラスでご覧いただくと分かります、かなり細かなヴィクトリアンの職人技と言えるでしょう。

波模様のウェーブパターンは、Continuation(続いていくこと)や Eternity(永遠)を象徴するクリスチャンモチーフで、ヴィクトリアン後期からエドワーディアンの時代に人気がありました。
柄先に向かっても同様なパターンの彫刻が施されており、繊細で綺麗と思います。

ブレッドフォークの彫刻は表側のみの品が多いのですが、写真三番目をご覧いただくと、裏面にもしっかり彫刻が施されているのも、この品のよい特徴です。

柄の裏面に刻印されたホールマークは、メーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、1898年のデートレター、そしてスターリングシルバーを示すライオンパサントです。

エドワーディアンの頃までの英国では、パンをサーブするのに、このような優雅なブレッドフォークが使われていました。 今日ではあまり使われなくなった用途のアンティークというのは、話題性があって楽しいものです。 眺めていても楽しいアンティークですが、パーティーの時などにオードブルサーバーとして使ってみたら楽しそうです。

この品が作られた頃の時代背景については、「英国アンティーク情報」欄の「14.Still Victorian」の解説記事もご覧ください。





裏面の様子