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No. 6732 エドワーディアン スターリングシルバー ブレッドフォーク with マザー オブ パール ハンドル
長さ 13.5cm、重さ 16g、最大横幅 2.75cm、1906年 バーミンガム、G.E.Walton & Co Ltd作、二万一千円

今からちょうど百年前のエドワーディアンの時代に作られた、マザー オブ パール ハンドルのスターリングシルバー ブレッドフォークです。

手彫りのエングレービングの背景部分には、写真で見て、色合いが濃くなっているところがありますが、これは1ミリ間隔に何本もの微細な彫刻線で影をつけた細工で、マグニファイインググラスでご覧いただくと、エドワーディアンの職人技の素晴らしさをご理解いただけると思います。 

螺旋デザインの細身な柄の構造は強度と美しさを同時に追求するのに役立っています。 色艶のよいマザーオブパールの虹色の輝きに加えて、彫刻部分のエッジはブライトカットの装飾が美しく、眺めているだけで楽しめる品とも思います。 これだけ美を追求した技巧が加えられていると、私はどうしてもこの百年前に作られたエドワーディアンの小品が鑑賞用なのではないかと思えてなりません。

シルバースミスのG.E.Walton & Co Ltdはヴィクトリア中期のバーミンガムで、ウォルトンファミリーがジュエリーメーカーを起こしたのが始まりです。 1887年にはロンドン支店を開設して商売の規模を大きくし、時計や宝飾品の分野で多くのパテントビジネスも手掛けていました。 G.E.Waltonがただの銀工房でなく、ジュエラーとして活躍していた背景を知ると、このブレッドフォークに施された数々の技巧にも納得がいきます。

現代のディナーテーブルでブレッドフォークを見かけることは少ないと思いますが、エドワーディアンの頃までの英国では、パンをサーブするのに優雅なブレッドフォークが使われていました。 こうした昔の道具をきっかけに、私は往時の暮らしに思いをいたすことに喜びを感じるのですが、皆様は如何でしょうか。

今日では使われなくなってしまった珍しいアンティークというのは、話題性があって楽しいので好きです。 眺めていても楽しいアンティークですが、パーティーの時などにオードブルサーバーとして使ってみたら楽しそうです。

英国でアンティークという言葉を厳密な意味で使うと、百年以上の時を経た品物を指します、そして百年もので素晴らしいアンティークはそうはないものです。 このブレッドフォークはまさに‘アンティーク’に成ったばかりの品で、時の流れを感じさせてくれますし、よい品をお探しの方にはお薦めしたいと思います。

ブレード裏面はプレーンで、メーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1906年のデートレターの四つのブリティッシュ ホールマークがしっかり深く刻印されています。