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No. 6605 エリザベス二世 スターリングシルバー アノインティング ティースプーン
長さ 9.7cm、重さ 9g、ボールの最大幅 2.2cm、ボールの深さ 6.5mm、1952年 バーミンガム、オリジナルケース入り、一万三千円

このスプーンが作られたのは今から五十年以上前の1952年で、現英国女王エリザベス二世の即位の年にあたります。 国王の即位式で使われるクラウンジュエリーの一つにアノインティング スプーンがあり、コロネーション(戴冠式)を記念して、それを模したティースプーンが作られました。 オリジナルのアノインティング スプーンは12世紀から伝えられてきた英王室の三種の神器のような品であって、戴冠式で新国王に聖油をつけるのに使われます。

柄の裏面には、メーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスマークのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、1952年のデートレター、そしてエリザベス女王の横顔マークは戴冠を記念するコロネーションマークです。

さらに、下の方には「STERLING」と 「ENGLAND」の刻印もあります。 それから、写真ではよく見えませんが、ホールマークの下に「Z17 180 QN NST」と手彫りで彫られています。

付属ケースには「MADE IN ENGLAND」の文字も見えますが、アノインティングのティースプーンでも、オリジナルケース付きというのもはレア物の範疇に入ると言ってよいでしょう。

いつもヴィクトリアンやエドワーディアンの品をご紹介することが多いので、50年ほど前の品というと、新しいようにも感じるのですが、この品が作られた時代を振り返ってみると、やっぱりずいぶん昔だと思えてきます。 クィーンエリザベス二世即位当時の英国首相はあのチャーチルです、そしてこの頃にロンドンで起こったのが有名な「Great Smog」です。

1952年12月5日、ロンドンでは折りからの寒さの中、風が止み濃い霧がたち込み始めました。 この霧はそれから3日間ロンドンを覆うことになります。 寒さで人々が石炭ストーブをどんどん焚くものですから、霧の原因となる微粒子核が撒き散らされて、霧がどんどん深くなっていったのです。 ものすごい霧で、2〜3メートル先はおろか、伸ばした自分の指先さえはっきり見えなかったと伝えられています。 映画館や劇場でもドアの隙間から霧が入り込んで、スクリーンや舞台が見えず、キャンセルが相次ぎました。 そして濃霧による交通事故や不清浄スモッグによる呼吸器障害のために、ロンドンで四千人もの死者が出る大惨事となったのです。 

昔からロンドンと言えば、霧の街として有名でしたが、「Great Smog」は長いロンドンの歴史の中でも最悪の出来事となりました。 そしてこれを契機に数年後の1956年には清浄空気法が定められることとなったのです。 

石炭ストーブ時代の「Great Smog」のエピソードは今日では考えられない出来事ですが、この品が作られた五十年前という時代に思いをいたす面白い手掛かりにはなるでしょう。

そして実は今日でも、「Great Smog」ほどではないにしても霧がイギリスを困らせています。 イギリスは12月21日から三日ほど霧が深くて、ヒースローなど英国各地の空港は大変なことになっています。 ヒースロー空港では出発便待ちの人たちで溢れかえって、仮設テントで寝泊りする様子が報じられています。 クリスマス前の郵便渋滞も、空港の機能不全が拍車をかけているようで、英吉利物屋の発送も止めて様子を見ているところです。

以下はBBCニュースです、ご参考まで。

Thursday, 21 December 2006
Fog causes Christmas flight chaos
Some passengers stayed overnight

Dense fog is continuing to cause misery for Christmas holiday travellers at Heathrow and other UK airports.

Heathrow has been the worst hit, with 40,000 people affected, and services from Gatwick, Manchester, Glasgow and Cardiff have also been disrupted.

Over 200 flights were cancelled to and from Heathrow yesterday and officials expect the number of cancellations to grow in the next 24 hours. The fog is expected to remain over south east England for the next 48 hours.

Mark Bullock, managing director of BAA Heathrow, said: "The cancellations would need to continue as long as the weather conditions prevail. Sadly the forecast suggests we may have this weather for a few more days yet.