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No. 6530 アール・デコ スターリングシルバー ジャムスプーン with ジェード(翡翠)ハンドル
長さ 12.7cm、重さ 17g、ボール部分の最大幅 3.6cm、翡翠ハンドルの最大幅 1.1cm、翡翠ハンドルの厚み 3.5mm、1926年 バーミンガム、二万円

今から80年ほど前に作られたスターリングシルバー ジャムスプーンで、ハンドルは深緑色の翡翠です。 差込み式のシルバー柄にマザーオブパールやジェード等のハンドルがついたジャムスプーンはあまり見かけないので、レアものアンティークと言えましょう。

ボール内側の柄に近い部分には、メーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1926年のデートレターが刻印されています。 ジェードハンドルのジャムスプーンには、ブリティッシュ ホールマークのない品も見られますが、このジャムスプーンの場合は英国製ということもポイントです。

ボール部分の基本デザインはシェルとなっていますが、1920年代という時代を反映して、直線を基調としたシェルパターンになっています。

1920年代からのしばらくはアール・デコの時代ですが、ヴィクトリアンあるいはエドワーディアンの伝統的で凝ったシルバーデザインとは大きく異なる変更が、この時代にあったことは、とても興味深いと思います。 ある解説によれば、このデザイン上の大きな断絶を生み出した最大の要因は第一次大戦だったと言われています。 当時の人たちはヴィクトリアンとエドワーディアンの輝かしい伝統の延長上に世界大戦が起こったことに大きなショックを覚え、ポストワーの時代には、昔の時代から距離を置きたいと望む風潮が強く、そこにアール・デコがぴたりとはまったというわけです。 

シェルパターンの歴史を振り返ってみますと、12世紀にスペインの聖地 St.ジェイムス オブ コンポステラへ向かう巡礼者たちが、彼の紋章であったシェルを身につけて旅したことから、クリスチャンシンボルとして、シェルが取り入れられていったのが始まりです。 15世紀以降はセラミックスやシルバーの分野で、このシェルモチーフが繰り返し取り上げられて今日に至っています。