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No. 6499 アール・デコ スターリングシルバー ジャムスプーン
長さ 12.0cm、重さ 17g、ボール部分の最大幅 3.7cm、ボール部分の長さ 4.5cm、ボールの深さ 8mm、1930年 シェフィールド、一万二千円

今から75年前に作られたスターリングシルバー ジャムスプーンです。 ボール部分の基本デザインはシェルとなっていますが、1930年という年代を反映して、直線を基調としたシェルパターンになっています。

このシェルパターンの歴史を振り返ってみますと、12世紀にスペインの聖地 St.ジェイムス オブ コンポステラへ向かう巡礼者たちが、彼の紋章であったシェルを身につけて旅したことから、クリスチャンシンボルとして、シェルが取り入れられていったのが始まりです。 15世紀以降はセラミックスやシルバーの分野で、このシェルモチーフが繰り返し取り上げられて今日に至っています。

1920年代からのしばらくはアール・デコの時代ですが、ヴィクトリアンあるいはエドワーディアンの伝統的で凝ったシルバーデザインとは大きく異なる変更が、この時代にあったことは、とても興味深いと思います。 ある解説によれば、このデザイン上の大きな断絶を生み出した最大の要因は第一次大戦だったと言われています。 当時の人たちはヴィクトリアンとエドワーディアンの輝かしい伝統の延長上に世界大戦が起こったことに大きなショックを覚え、ポストワーの時代には、昔の時代から距離を置きたいと望む風潮が強く、そこにアール・デコがぴたりとはまったというわけです。 

ボールの裏面には、メーカーズマーク、シェフィールド アセイオフィスの王冠マーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1930年のデートレターが刻印されています。