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No. 6343  エナメルワークのシルバークロス
クロスの縦 3.8cm、横 2.65cm、厚み 1mm弱、一万二千円

薄緑のエナメルワークに惹かれて求めたシルバークロスで、裏面には900銀を示す「900」の刻印があります。 

シルバーのスタンダードは英国の925や、フランスの950 or 800など各国によって違いがありますが、900銀のスタンダードを持つ国にはドイツやオーストリアがあり、このクロスの出所を推定する手掛かりになります。

エナメルワークとは日本語で言うと「七宝焼き」のことで、金属にガラス質の釉薬を焼き付ける装飾技法です。 元々は古代エジプトに起源を持ちますが、奈良時代には日本にも伝来しました。 その後、七宝焼きは日本で技術的な発展を遂げ、ヴィクトリア時代の英国では、逆に日本の技術が大いに研究もされました。 以来エナメル細工は英国シルバー装飾の手法の一つとなって現在に至っています。 このあたりの経緯は、英国アンティーク情報欄の「10.エルキントン社のシルバープレート技術と明治政府の岩倉使節団」後半に解説があります。 この品は英国以外の国で作られたものと思われますが、エナメル細工が欧州に伝わった経緯は参考になるかと思います。