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No. 6272 ヴィルヘルミナ女王 オランダ銀貨のピアストワーク ペンダントヘッド
直径 3.8cm、重さ 17g、厚み 2mm強、ブローチ本体の厚み(留め金含まず) 2mm、素材の銀貨は1930年代 オランダ製 2.5 グルテン銀貨、一万五千円

オランダ銀貨にピアストワークを施して、ヴィルヘルミナ女王のポートレートを浮き立たせたペンダントヘッドです。 表側の縁辺部は磨いてあって、銀貨の面影を感じませんが、裏面を見ると、元々は銀貨であったことが明らかになります。 裏面を表にして使っても楽しいと思います。

断面をルーペで観察すると、糸鋸を引いたギザギザ跡が細やかでレベルの高い仕事です。 これだけの透かしを完成させるには、確かな手仕事の技術がまず必要で、さらに時間と手間がかかったペンダントヘッドと思います。

写真二番目の裏面には、逆さまになっていますが、後ろ足で立ち上がったライオンの姿と王冠が見えます。 このライオンランパントと王冠の紋章はオランダの国章です。

1880年生まれのヴィルヘルミナ女王は、わずか10歳でオランダ女王に即位して、1948年までの六十年弱にわたってオランダの女王であり続けました。 しかし1940年代前半のオランダはナチスドイツの侵略を受けて、ヴィルヘルミナ女王はオランダ政府と共にイギリスに亡命しておりましたので、英国と少なからずの縁があるわけです。

このペンダントヘッドに使われた銀貨が、おそらく1938年のコインであることや、細工の様子からうかがえるシルバースミスのレベルの高さ、そしてこの品はそもそも英国で見つけたこと等を考慮すると、このペンダントヘッドはイギリスのシルバースミスが作った可能性も高い気がします