トップページへ戻る

No. 6197 エドワーディアン スターリングシルバー バターナイフ
長さ 13.1cm、重さ 15g、ブレード部分の最大幅 1.85cm、1901年 バーミンガム、一万二千円

ヴィクトリア時代が終わってすぐの頃に作られた、今から百年以上前のエドワーディアン スターリングシルバー バターナイフです。 小振りな品ですが、アフターヌーンティーでスコーンにコーニッシュクリームのせるバターナイフとして添えられていたら、お似合いな気がします。

ジャポニスムを感じさせるエングレービングが特徴的で素敵です。 手彫りの彫刻を順番に見ていくと、ヴィクトリアン後期にイギリスで流行した日本趣味の影響が出ていることが分かります。 ブレード先に伸びるしだ模様や斜めに横切る短冊デザインは花札を見ているようですし、柄元に近い扇形も含めて、これらのデザインはおそらくジャポニスムのモチーフブックから取り出された題材と思います。

1853年のペリー来航以来、日本の工芸が広く西欧に紹介され、英国シルバーの世界にも日本の伝統的なモチーフとして蝶などの虫、飛翔する鳥、扇、竹、さくら等のデザインが取り入れられていきました。 1870年代、80年代のこうした潮流はオーセンティック ムーブメントとして知られています。

サムライの時代が終わった頃、1870年代前半における英国のジャポニスム取り込みについては、英国アンティーク情報欄の「10.エルキントン社のシルバープレート技術と明治新政府の岩倉使節団」記事後半で詳しく解説していますのでご覧になってください。

その後のジャポニスム研究は、モチーフブックなどの成果となって、以下のような書籍が次々と発表されていきます。
「Art and Art Industries of Japan(1878年、 Sir Rutherford Alcock)」、 「A Grammar of Japanese Ornament and Design(1880年、Cutler)」、「Book of Japanese Ornamentation(1880年、D.H.Moser)」

そして1880年代の後半にはジャポニスム モチーフブックの集大成である「Japanese Encyclopedias of Design(Batsford)」が出て、Japanese craze(日本趣味の大流行)のピークとなりました。

ヴィクトリアン後期の英国にあってはジャポニスムが新鮮で、大きな顧客需要があり、モチーフブック等の基礎資料も充実していたことが、今日私たちが日本趣味な英国アンティークシルバーにお目にかかれる理由なのです。 

ブレード裏面にはメーカーズマーク、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そして1901年のデートレターと、四つのブリティッシュ ホールマークが刻印されています。

このバターナイフが作られた当時の時代背景については、「英国アンティーク情報」欄の「14.Still Victorian」の解説記事もご覧ください。