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No. 6042 ヴィクトリアン スターリングシルバー シュガートング with ピアストワーク
長さ 11.0cm、重さ 27g、帯の最大幅 1.35cm、つまみの間隔 3.5cm、1890年 バーミンガム、Hilliard & Thomason作、一万九千円

繊細な透かし細工が印象的なヴィクトリアン スターリングシルバー トングです。 糸鋸を引いたギザギザ跡が丁寧で細やかな仕事になっているのは、メーカーの良さを反映しているように思います。

トングの背のあたる部分の内側には、Hilliard & Thomasonのメーカーズマーク、1890年のデートレター、バーミンガム アセイオフィスのアンカーマーク、そしてスターリングシルバーを示すライオンパサントの四つのブリティッシュ ホールマークがしっかり刻印されています。 また、背の表側には「1891」の数字と、「D」の飾り文字が刻まれています。

メーカーHilliard & Thomasonの創業はヴィクトリア時代最初の1837年バーミンガムで、John Hilliard によって会社が起されました。 1840年にはJohn Thomasonとパートナーを組んで、以降はH&Tのメーカーズマークを使っています。 初めの頃は、スナッフボックス、ビネグレット、ワインラベル等の品で人気があったようですが、次第に商品の幅を広げていきました。1851年の万国博覧会には、ナイフ、フォーク、スプーン等のシルバーフラットウェアも出展しています。 当時の評判も上々で、「極めて美しく、そして上品に仕上がっており、デザインも巧妙かつ強い印象を与える。」との賛辞を得ています。

ピアストワークのシルバーウェアで、ヴィクトリアン アンティークというのは、探してみると意外にないものです。 透かし細工の全盛期はもう少し後の時代であって、1920年代から1940年代くらいまでではないでしょうか。 その意味で、このシュガートングは Hilliard & Thomasonというシルバースミスが、ヴィクトリアンの時代において当時としては先進的な銀工房であったことを示すよい事例になっていると思うのです。