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No. 5891 スターリングシルバー チャームブレスレット SOLD
ブレスレット一周の長さ 17.3cm、重さ 23g、CYMRU チャームの縦と横 1.8cm*1.6cm、SOLD

街や地方をあらわすコート オブ アームズのエナメル細工が華やかで、これだけ集まると見栄えがします。 それぞれのチャームの裏面にはSILVERのマークがあります。 

鎖玉はCYMRU チャームのある中ほどで太く6ミリほど、両サイドの留め具近くで細くなって4.5ミリほどになります。 これはヴィクトリアンのアルバートチェーンの特徴ですので、チェーン本体部分は百年以上前のアンティーク シルバーチェーンを転用しているものと分かります。 

写真二番目のように、裏面には鎖玉一つひとつに、スターリングシルバーを示すライオンパサントの刻印があり、銀鎖のクォーリティーの高さを示していることも、アルバートであることの証でしょう。 

それから、このチャームブレスレットを見てもう一つ思うことは、この品のチャーム構成は英国におけるチャームブレスレットの原型に近いということです。 イギリスの元祖チャームブレスレットと云うべき品は、色鮮やかなエナメルワークの手旗信号チャームをいくつかチェーンにつけて、「I love you」等のメッセージを伝える品でありました。 

写真のチャームブレスレットに付いている個別のチャームはより近年のものになりますが、本体チェーンの古さとブレスレット全体のイメージは、チャームブレスレット進化の歴史にあって、元祖に近い形態を示しているということなのです。

せっかくなので、イギリスにおけるチャームブレスレットの歴史を簡単に振り返っておきましょう。 そもそもチャームブレスレットが初めて登場したのはヴィクトリア時代でありました。 しかし人気が出て広まったのはエドワーディアン以降のことになり、初期のチャームブレスレットは手旗信号のチャームをチェーンにつけて、I love you等の意味を伝える品が流行ったのでした。 現在のようなチャームたくさんのブレスレットは1920年以降に登場し、イギリスで一大ブームとなったのは1950年代でした。 1960年代以降になると、より多くの種類と、興味深い趣向を凝らしたチャームも作られるようになり、選択の幅が広がって現代に至っているのです。

エナメルワークとは日本語で言うと「七宝焼き」のことで、金銀などの貴金属にガラス質の釉薬を焼き付ける装飾技法です。 元々は古代エジプトに起源を持ちますが、奈良時代には日本にも伝来しました。 その後七宝焼きは日本で技術的な発展を遂げ、ヴィクトリア時代の英国では、逆に日本の技術が大いに研究もされました。 このあたりの経緯は、「英国アンティーク情報」欄の「10. エルキントン社のシルバープレート技術と明治政府の岩倉使節団」後半に解説があります。 

それぞれのチャームについて、留め具から時計まわりにご説明しましょう。
1.Lymington : 英国南部のワイト島を望む港町、セーリングのメッカなので、チャームのデザインは海に浮かぶヨットとかもめ。
2.Cornwall : 英国南西部の地方名、「28. Tintagel アーサー王伝説の村」や「26. 英国で一番アンティークな村、クロベリー」のある地方です。

3.Blackpool : 映画 「Shall we ダンス?」にも出てきた社交ダンスで有名な英国の代表的な保養地。
4.Rye : 英国南部のアンティークな村。

5.Cymru : イギリス連合王国の一つであるウェールズ(Wales)の母国語表記で、ほぼキムルーと発音します。 チャームのデザインはウェールズのシンボルである赤いドラゴン。 この地方やウェールズ語の表記については、「32. ウェルシュ ボーダーの Weobley村」もご参考ください。

6.Bristol : 今日でも中世の街並みや大聖堂が美しいブリストルは、16世紀にはエイボン川河口の貿易港として栄え、その後はイングランド南西部の主要都市として発展しました。 
7.Newquay : コーンウォール地方の海浜保養地。
8.Rudesheim : このチャームはイギリスのものではありません、ドイツの街らしいです。

というわけで、このチャームブレスレットのメッセージを、元祖チャームの手旗信号よろしく読み取ってみると、イギリス南部から西部にかけての海辺の街や地方をなぞっているように思うのです。

スターリングシルバー チャームブレスレット


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