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No. 5872 スターリングシルバー ティーキャディースプーン& ティーストレーナー
長さ 8.7cm、重さ 28g、ボール直径 4.5cm、ボールの深さ 1.1cm、1963年 エジンバラ、三万四千円

英国紅茶の歴史を紐解くと17世紀にはティーキャディースプーンとティーストレーナーの機能が一緒になったシルバーウェアがありました。 モートスプーンと呼ばれ、今では使われなくなってしまった銀器なので、その用途については議論がありますが、写真の品はそんなモートスプーンからヒントを得て作られた品とも思います。

ボール部分の銀は厚みがあってしっかりした印象です。 柄の透かし細工は手仕事で糸鋸を引いた跡が残っています。 アザミのピアストワークはスコットランドの品であるからでしょう。

ホールマークを調べてみると、お城のマークが刻印されていて、スコットランドのエジンバラ アセイオフィスで検定を受けた品であることが分かります。 英国のホールマーク制度にあっては、ロンドン、シェフィールド、バーミンガムのアセイオフィスの役割が大きくて、三つを合わせたシェアは9割ほどになるでしょう。 逆に言えば、それ以外のアセイオフィス マークが刻印されたシルバーウェアは珍しいので、そこにレア物の価値を見出すコレクターがいるのです。

写真二番目のホールマークは順にメーカーズマーク、スターリングシルバーを示すアザミマーク、エジンバラ アセイオフィスのキャッスルマーク、そして1963年のデートレターになります。

エジンバラ アセイオフィスのホールマークについて、この機会に概観しておきましょう。 スコットランドの銀製品がエジンバラで検定を受けるようになったのは遠く1457年にまで遡ります。 そしてエジンバラのアセイオフィスマークである「The Three Towered Castle」が導入されたのは今から 520年前の1485年のことです。 エジンバラに行ってみますと、小高い岩崖の上に街を見下ろすように建つエジンバラ城が、この街の象徴であることがよく分かり、お城がマークとされたのも頷けます。 「Thistle(=アザミ)」マークは、それまでアセイオフィス マスターのイニシャルをもって、銀のスタンダードマークとされていたものに代えて、1759年に導入されたマークで、イングランドで言えばライオンパサントにあたる刻印になります。


英国ティーの歴史で初期のモートスプーンについては、アンティーク情報欄「20.アフターヌーンティー(英国紅茶の歴史とモートスプーンの謎)」の解説記事もご覧ください。







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