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No. 5474 ジョージ三世 スターリングシルバー クイーンズパターン テーブルスプーン with 「王冠に三本の矢」のクレスト(紋章)
長さ 22.4cm、重さ 97g、ボール部分の長さ 8.0cm、ボール部分の最大横幅 4.85cm、柄の最大幅、柄の最大厚み、1820年 ロンドン、William Chawner作、二万七千円、(4本あります-->3本あります-->1本あります-->SOLD)

今から190年近く前のジョージ三世時代に作られた、かなり古いアンティークですが、よく磨き上げられていて大切に使われてきた品であることが伝わってくる、スターリングシルバー クイーンズパターン テーブルスプーンです。 

写真二番目で見えるように、柄先に彫られた「王冠に三本の矢」というクレストも素敵で気に入りました。 この紋章に毛利元就の「三本の矢」の教えと同様な意味合いが込められているのかどうかは分かりませんが、洋の東西を問わず発想の出所は同じなのかも知れず、興味深く思いました。

英国でアンティークという言葉を厳密な意味で使うと、百年以上の時を経た品物を指します。 気に入った古いものを使っていくうちに、その品が自分の手元で‘アンティーク’になっていくことは、コレクターの喜びとも言えますが、このスプーンが作られたのは1820年ですから、余裕でアンティークのカテゴリーに入るどころか、あとしばらくで"ダブル"アンティークにもなるわけで、やはりこれほどの古さは大きな魅力と言えましょう。

ボール部分の長さが8センチもあって、100グラムに近い持ちはかり言うのは、現代のテーブルスプーンからは想像できない大きさで、銀をたっぷりと使った重厚さはジョージアン アンティークの特徴になります。

シルバースミスの名前もこのジョージアン アンティークの大きなポイントとなっています。 「William Chawner」はジョージアンとヴィクトリアンのアンティーク シルバーにあって、最重要な銀工房と考えてよいでしょう。

英国シルバーフラットウェアの歴史を紐解くと、まずジョージアンの1700年代後半から1800年代初めの頃には、有力シルバースミスとして四つのファミリーがありました。 それらはChawner家、Fearn家、Eley家、そしてSmith家の四つのファミリーでした。 彼らは互いに競争しあうと同時に、徒弟制度を通じてお互いに密接に結びついていたので、ある意味ではギルドの枠内で四ファミリーがもっと大きな大家族を構成していたと考えてよいかも知れません。 と言いますのは、トーマス・チョーナーの下で徒弟として修行を積んだのが、ウィリアム・ファーンやジョージ・スミスであって、長じたウィリアム・ファーンの下で修行をしたのが、ウィリアム・チョーナー二世やウィリアム・イーリーであるといった、徒弟制度上の樹形図で四つのファミリーは結びついていたからなのです。 というわけで、ジョージアンの時代の「William Chawner」は四大銀工房の一角をなしていました。

さらに時代が進みますと、英国アンティークシルバーウェアの参考書によれば、ヴィクトリア期の重要シルバースミスとして、「Chawner & Co」とフランシス・ヒギンスが挙げられてきます。 この「Chawner & Co」の前身は以下の工房略史のように「William Chawner」になるわけです。 

William Chawner 1815-1834
Mary Chawner 1834-1841
Mary Chawner & Co. 1842-1845
Chawner & Co 1845-1883

「William Chawner」の銀工房は、ジョージアンとヴィクトリアンの両方の時代を通じて、ビックネームであり続けたわけなのです。



王冠に三本の矢の紋章が見えます


裏面の様子

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