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No. 5450 エドワーディアン スターリングシルバー キングスパターン バターナイフ
長さ 16.8cm、重さ 43g、ブレードの最大幅 2.2cm、柄の最大幅 1.9cm、柄の最大厚み 3mm、1905年 ロンドン、Goldsmiths & Silversmiths Co Ltd作、一万八千円

今から百年以上前のエドワーディアンの時代に作られたスターリングシルバー キングスパターン バターナイフです。 英国でアンティークという言葉を厳密な意味で使うと、百年以上の時を経た品物を指します。 この銀のバターナイフが作られたのは1905年ですから、少し前に正式なアンティークに仲間入りしているわけです。 やはり百年経っているということは、アンティークとしての大きな魅力になると思うのです。

日本における1905年といえば日露戦争が終った年にあたり、このころ夏目漱石は『我輩は猫である』を『ホトトギス』に連載中で、翌年には『坊っちゃん』や『草枕』が発表された時代と思えば、ずいぶん昔であることが実感できます。 

写真のバターナイフは柄の最大厚みが3mmもあり、ブレードもしっかり厚めで、43グラムと持ちはかりがあります。 シルバーがたっぷり使われた重厚さはアンティークとして好ましいですし、普段使いとされても銀の感触が心地よいでしょう。

英国アンティーク情報欄の 「4.イングリッシュ スプーン パターン」で解説しているハノーベリアン、オールドイングリッシュ、そしてフィドルパターンに続く主要なパターンとして登場したのがキングスパターンでした。

キングスパターンデザインの中で大きな役割を果たしているシェルモチーフの歴史はかなり古いことが知られています。 12世紀にスペインの聖地 St.ジェイムス オブ コンポステラへ向かう巡礼者たちが、St.ジェイムスの紋章であったシェルを身につけて旅したことから、クリスチャンシンボルとしてのシェルが次第に確立していきました。 15世紀以降はセラミックスやシルバーの分野で、このシェルモチーフが繰り返し取り上げられて今日に至っています。

写真三番目で裏面のホールマークは順に、「Goldsmiths & Silversmiths Co Ltd」のメーカーズマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、ロンドン レオパードヘッド、そして1905年のデートレターとなります。

「Goldsmiths & Silversmiths Company」は1880年創業のシルバースミスですが、銀製品の他にゴールドやジュエリーの分野でも名を馳せていて、チャールズ・ウォーラル氏のように40年以上にわたって人気を博したデザイナーも抱えていました。 また、この会社のビジネスはそれだけに止まらず、ウォッチやクロックのメーカーでもありましたし、さらには貴金属やダイヤモンドのトレーディングも手がけていました。 「Goldsmiths & Silversmiths Co Ltd」という名前から、ちょっと普通の銀工房ではないような、大きなビジネスの規模を感じるのですが、それはまさにその通りであったわけです。

この品が作られた当時は、ロンドンのリージェント通り112番地にお店を構えていました。 リージェント ストリートは東京の銀座通りのようなもので、ヴィクトリア時代の昔からロンドンで最もポッシュな界隈であったわけで、そこに店を構えていたこと自体が、「Goldsmiths & Silversmiths Company」の規模の大きさを示していると言えます。 エドワーディアンの時代には、クライアントはふかふか絨毯とダークマホガニーの階段を上って、その先の素晴らしく豪華な専用ティールームに案内されたということで、当時のゴージャスな雰囲気を伝えるエピソードです。

キングスパターンは今日でも作られ続けているデザインですが、その歴史を遡ってみると、このパターンがイギリスで最初に登場したのは19世紀初めのことになります。 キングスパターンから派生したデザインにクイーンズパターンと呼ばれるものがあります。 派生パターンなので、あまり見かけるものではないのですが、キングスパターンとクイーンズパターンの違いについてご説明しておきましょう。 

写真二番目と三番目をご覧いただくと、柄先のシェルが表側は凹状で、裏側は凸状をしているのが分かります、これがキングスパターンのメルクマールになります。 そしてクイーンズパターンは表と裏ともに凸状シェルになります。 つまりキングスパターンは表裏が凹凸、クイーンズパターンの表裏は凸凸ということです。

アンティーク エドワーディアン スターリングシルバー キングスパターン バターナイフ

柄の表側の様子


裏面の様子

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