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No. 5438 エドワーディアン スターリングシルバー シュガーシフター スプーン with ピアストワーク
長さ 11.2cm、重さ 18g、ボール直径 3.95cm、ボール部分の深さ 0.7cm、柄の最大幅 1.35cm、1905年 シェフィールド、Atkin Brothers Silversmith Ltd.作、二万二千円

今から百年と少し前のエドワーディアンの時代に作られたスターリングシルバー シュガー シフタースプーンです。 シフタースプーンには華奢な感じの品が多いものですが、写真のシフターはボール部分の銀に厚みがあってしっかりした作りとなっており、、それが18グラムという持ちはかりにも反映されているように思います。 

一般的なシフターと比べてボール部分がフラットなタイプであることも珍しいでしょう。 透かしは手仕事で、糸鋸を引いたギザギザ跡が残っています。 マグニファイイング グラスで詳細に調べてみると、糸鋸を引いた跡も繊細で、細工のよい品であることが分かります。

写真二番目にピアストワークの影絵が綺麗だったので撮ってみました。 あるいはまた、暗いところで懐中電灯を使って壁に大きな影を映し出すと子供が喜びますが、大人でも楽しいものだと思うのです。 アンティークシルバーのちょっと変わった楽しみ方をご参考まで。

シルバースミスは一流どころのAtkin Brothers Silversmith Ltd.です。 柄の裏面にはメーカーズマーク、1905年のデートレター、スターリングシルバーを示すライオンパサント、そしてシェフィールド アセイオフィス王冠マークの四つのブリティッシュ ホールマークが深く刻印されています。 

英国の多くのシルバースミスはヴィクトリア期の19世紀後半創業という会社が多いのですが、このシフターを作ったAtkin Brothers Ltd.はその創業が1750年という老舗です。 

また第一次大戦を経て英国の勢いがピークを過ぎるとともに消えていったシルバースミスが多い中にあって、Atkin Brothers Ltdの勢いは衰えませんでした。 1930年代にはこの会社は当代一流の職人を抱える会社として名を馳せていました。 

1938年の英国産業展覧会ではAtkin Brothersご自慢の職人、親方衆がクイーンメアリーに謁見を許されお褒めの言葉を授かったとの記録が残っています。 親方衆の中には、Atkin Brothers勤続63年のハリーデニスや勤続62年のジョンストークスが含まれていました。 そして当時31人いた親方衆の平均勤続年数は47年4ヶ月だったそうです。 こうした親方たちの手仕事に支えられたシルバーウェアのクォーリティは相当高かったと考えられます。

徒弟制度の善し悪しは別として、当時のAtkin Brothersのような職人集団は、今日の世の中では望むべくもありません。 あるシルバースミスの方からお話を伺ったのですが、人件費の高騰した今日のイギリスにあっては、昔のシルバースミスと同じ仕事は到底出来ないとおっしゃっていました。

こういう綺麗な小品と出会えると、つい求めてしまうのですが、実用としてのシフタースプーンはなかなか出番がないのも事実です。 また、コレクターの立場から言うと、シフタースプーンは人前に出せる機会が少ないのも残念です。(変な話ですが、やはりこれはコレクターの心理ではないでしょうか?) 美しい品なので観賞用に持っているだけでも楽しいのですが、出番があればもっと嬉しい。 どなたかアイディアがあったらご教示ください、とお願いしたら以下のアドバイスをいただきましたので、ご紹介させていただきます。

(追記1)
『さて、シフタースプーンについてなのですが、和食好きの我が家の例は邪道ですが、一応、お話しします。
本当に普段の食卓で、薬味をすくうのに使っています。さらしネギなどです。
その場合、古伊万里やアンティークバカラのグラスなどに薬味を入れたりします。
自家製のふりかけやジャコピーマンのようなものをとりわけるのにも使ったりします。(ロマンがありません〜)
もう少しましな使い方としては、黒豆や各種の煮豆をすくうくらいでしょうか。
それから、小さなヴィクトリア後期以降のものではできないのですが
比較的大型の、縁の丸いタイプでしたら湯豆腐や水餃子をすくうのに使えます。
フランス製でよくある、透かしの凝った20センチ以上のものです。
これはちょっと素っ頓狂な使い方と思っていましたら、某骨董商の方も湯豆腐に使っておられるということで、自信を持ちました。
形状によっては、ティーストレーナーのような使い方もできるかもしれません。
凝った茶漉しはなかなか見つけにくいので、シフタースプーンで代用すれば素敵だと思います。』
シフタースプーンは小振りですので、湯豆腐というわけには参りませんが、和食で薬味、さらしネギなら出番も多いし楽しいなと思いました。

(追記2)
また、他のお客様からのアドバイスもご紹介します。
『こちらのサイズのシフタースプーンでは、湯豆腐用としては無理かも とおっしゃっていますが、我が家では夏に冷や奴を頂くときに(特にパーティの時などは)お豆腐を一口角にきってボウルにいれておき、それぞれですくって召し上がっていただいています。
これくらいの大きさでしたら、大丈夫ではないでしょうか。結構好評ですよ〜。』



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