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No. 5338 Francis Higgins オリジナルケース入り ヴィクトリアン スターリングシルバー ジャムスプーン
長さ 12.9cm、重さ 20g、ボール部分最大幅 2.85cm、柄の最大幅 1.3cm、柄の最大厚み 3mm、1887年 ロンドン、Francis Higgins作、一万六千円

小花の効いた草花模様は繊細な彫刻です。 色合いが少し濃いめに見える部分は1ミリ間隔に何本もの彫刻線を引いて影を付けていった細工です。 シルバースミスがヴィクトリア時代の有名メーカーであることもポイントになりましょう。 また、オリジナルケースは小さな箱ながら、左右両サイドに留め金がついて重々しくもアンティークな雰囲気があります。

シルバーウェアについての参考書を紐解くと、ヴィクトリア時代の最重要なシルバースミスとして、フランシス・ヒギンスとジョージ・アダムス(= Chawner & Co.)が引き合いに出されることが多いようです。 このスターリングシルバー ジャムスプーンを作ったのはその一つである「Francis Higgins」になります。

メーカーズマークはハート型に「FH」が入ったモダンな印象の刻印なのですが、当時のホールマークとしては珍しい形で、そんなことからも一度見たら忘れられないマークです。 Francis Higginsの名前は、やはりコレクター需要が高いのは事実なので、メーカーにこだわりのない方も、シルバーのお勉強がてら、「ハートにFH」=「Francis Higgins」と覚えておかれてもよいでしょう。

作られたのは今から百二十年前のヴィクトリアン後期になります。 ケースが付いていることや草花模様のエングレービングからみて、初見ではクリスティング スプーンかなと思いましたが、ボール部分のフラット構造によってジャムスプーンと分かりました。

ボール部分は平板構造で、柄元の周りに7ミリほどのカラーが立っています。 ボール部分がフラットな構造のジャムスプーンは、英国アンティーク ジャムスプーンとしては少ないタイプになることから、こうした平板タイプのジャムスプーンを特に集めるコレクターの方もあるようです。

柄の裏面にあるブリティッシュ ホールマークは順にヴィクトリア女王の横顔マーク、1887年のデートレター、スターリングシルバーを示すライオンパサント、ロンドン レオパードヘッド、そして「Francis Higgins」のメーカーズマークになります。

デートレターをご覧いただくと、その形が盾状をしていて特徴があります。 ロンドンアセイオフィスにおける19世紀のほぼ第四四半期にあたる1877年から1895年までのデートレター サイクルは「盾」と覚えておかれると、アンティークハントの時には便利です。 この時代はイギリスの国力が大いに伸張した時期にあたることから、今日においてもこの頃のアンティークに出会う可能性も高いのです。 デートレターをすべて暗記することは難しくても、「ロンドンの盾はヴィクトリアン後期」と知っておくと便利でしょう。

この品が作られたヴィクトリア時代の背景については、「英国アンティーク情報」欄の「31. 『Punch:1873年2月22日号』 ヴィクトリアンの英国を伝える週刊新聞」や「14.Still Victorian」の解説記事もご参考ください。








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