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No. 5319 ヴィクトリアン スターリングシルバー フィドルパターン ティースプーン
長さ 14.5cm、重さ 20g、ボール部分の長さ 4.8cm、最大横幅 3.15cm、深さ 0.8cm、柄の最大幅 1.7cm、1871年 ロンドン、Henry Holland作、一本 五千円

今から百四十年近く前のヴィクトリアン中期に作られたスターリングシルバー フィドル パターンのティースプーンです。 日本史で言えば江戸時代が終わって明治時代が始まったばかりの頃の作になりますので、ずいぶん古い品であることがお分かりいただけるでしょう。 

当時のイギリスの様子は以下の解説記事をご覧いただくとある程度伝わってくると思います、ご参考まで。 
31. 『Punch:1873年2月22日号』 ヴィクトリアンの英国を伝える週刊新聞

このスプーンのパターンは柄の形がヴァイオリン(Fiddle)に似ていることから、フィドルパターンと呼ばれます。 もともとは18世紀のフランスで人気だったこのフィドルパターンは、19世紀に入った頃からイギリスでも次第に流行っていきました。

裏面のホールマークは順に、「Henry Holland」のメーカーズマーク、ロンドン レオパードヘッド、スターリングシルバーを示すライオンパサント、1871年のデートレター、そしてヴィクトリア女王の横顔マークです。

この品を作った「Henry Holland」は有名シルバースミスの「Holland, Aldwinckle & Slater」と実質同体で、英国シルバーウェアの歴史の中でも大きな役割を果たしてきた有力メーカーの一つです。 イギリスのアンティーク シルバーウェアに関する参考書を紐解きますと、ヴィクトリア期の重要シルバースミスとして、ジョージ・アダムスとフランシス・ヒギンスが挙げられることが多いようです。 この二大メーカーを繋ぐ役割を担ったのが「Holland, Aldwinckle & Slater」でありました。 

「Holland, Aldwinckle & Slater」はヴィクトリア時代が始まった翌年の1838年に、ヘンリー・ホランドがロンドンで創業した銀工房です。 1866年にはElizabeth Eaton & Sonを買い取って、事業規模を拡大していきます。 1883年には新たに二人のパートナーが加わり、工房名は「Holland, Aldwinckle & Slater」と変わりました。 その後もいくつかのシルバースミスを買収し、ヴィクトリア期を通じて有力なシルバースミスに成長していきましたが、1883年にこの時代の最有力シルバースミスであったジョージ・アダムスのChawner & Coを買収したことは大きな出来事となりました。 Chawner & Coから移ってきた腕の確かな銀職人たちは「Holland, Aldwinckle & Slater」の名声を高めることとなったのです。

その後の工房史も見ておきますと、エドワーディアンの時代以降まで優秀な銀職人が集まる一流メーカーとして活躍しましたが、1922年にはフランシス・ヒギンスに買収されることになって、その歴史を終えました。 ヴィクトリアンとエドワーディアンの時代を通して、英国シルバーウェア史の中心に常に位置してきた「Holland, Aldwinckle & Slater」は、当時の一流メーカーの一つと言ってよいでしょう。





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