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No. 5309 フラワーエングレービングのスターリングシルバー フィドルパターン デザートスプーン SOLD
長さ 17.5cm、重さ 44g、ボール部分の長さ 6.3cm、最大横幅 3.9cm、ボールの深さ 1.0cm、柄の最大幅 1.9cm、1919年 シェフィールド、John Round & Son Ltd.作、一万五千円、(4本あります-->2本あります-->1本あります-->SOLD)

今から九十年ほど前に作られたスターリングシルバー フィドルパターンのデザートスプーンです。 フィドルパターンとは、スプーン柄の形がヴァイオリン(Fiddle)に似ていることに由来するスプーンパターンの名前になります。 もともとは18世紀のフランスで人気だったこのフィドルパターンは、19世紀に入った頃からイギリスでも次第に流行っていきました。 現代ではあまり見かけない形なので存在感があって、アンティークな雰囲気を楽しむにはよいでしょう。

花模様や縁飾りになっている二重ラインの装飾など、ハンドエングレービングはかなり繊細な仕事で、写真では十分にその美しさがお伝え出来ませんが、アンティークハント用のルーペがお手元にあれば、この限界的な職人技の素晴らしさを分かっていただけると思います。 お花を形作る彫りは深めのタッチで、花びらの内側には微細な多重彫刻線を施して影を付けてあります。 

フラワーエングレービングの美しいスプーンであることに加えて、シルバーがしっかり使われて44グラムと手にして心地よい持ちはかりがあり、ゴージャスで重厚な雰囲気の英国銀器に仕上がっていると感じます。

イギリスで「アンティーク」という言葉を厳密に使うと、「百年以上の時を経た品」を指すことになりますが、こうした美しい品であれば、いずれ「アンティーク」となるまでともに暮らす楽しみも増すように思うのです。 このシルバースプーンは88年前に作られて、巡りめぐって今はここにあるわけで、そんなことに思いを馳せるのはアンティーク好きの楽しみでもあります。

その昔にはデザートスプーンとして使われた品ですが、全長が17センチを超えて、ボール部分の長さが6センチ以上もあり、実際のところ現代的な感覚からはデザートスプーンとしてはかなり大きい感じです。 この品のサイズと持ちはかりは通常のデザートスプーンの範疇を超えていると思いますので、普段使いの一本としてメイン使いされたり、あるいはまた、サービングスプーンとしてもお使いいただけると思います。 

メーカーのJohn Round & Son Ltd.はシェフィールドにあった有名シルバースミスの一つです。 ジョン ラウンドによって1847年シェフィールドで創業され、当初はスプーンとフォークのメーカーでした。職人技の素晴らしさとデザインの優雅さで、次第にその評価を確立して、息子のエドウィンをパートナーとして迎える頃には、銀器なら何でもこなすシェフィールドの大メーカーに成長していました。 第一次大戦を境にしてイギリスの国力が衰えていくと、多くのシルバースミスも衰退していった中で、John Round & Sonは1962年までシルバースミスとして仕事を続けていたというのも珍しい例と思います。

柄の裏面に刻印されたホールマークは順に、シェフィールドの王冠マーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、1919年のデートレター、そしてJohn Round & Son Ltd.のメーカーズマークです。

英国銀器の歴史ににおけるフィドルパターンについては、「4.イングリッシュ スプーン パターン」もご参考ください。







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