アンティーク 英吉利物屋 トップ(取り扱い品一覧)へ 新着品物 一覧へ アンティーク情報記事 一覧へ 英吉利物屋ご紹介へ

No. 5306 Peter, Ann & William Bateman ジョージ三世 スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ブライトカット ティースプーン
長さ 12.9cm、重さ 13g、ボール部分の長さ 4.5cm、最大幅 2.7cm、ボールの深さ 7mm、柄の最大幅 1.1cm、1800年 ロンドン、Peter, Ann & William Bateman作、一万二千円

ジョージアンの中でもジョージ三世治世時代、今から二百年以上も前に作られたオールドイングリッシュ パターン スターリングシルバー ティースプーンです。 今から二百七年前にあたる1800年ちょうどの作という古さはアンティークとして大きな魅力になりましょう。

「19.ベイトマン ファミリーのメーカーズマーク」をご参考いただくと、息子のウィリアムが大きくなって銀工房のパートナーに加わった頃の品であることが分かります。 それまで工房を支えてがんばってきたアンも一安心だったろうと想像するのです。

彫刻は幾何学模様ではありますが、機械で切った彫刻線ではない手仕事なので、ブライトカットのジグザグが柄の中心線からずれていたりして、人の温かみを感じさせます。 以前にブライトカットのティースプーンをお買い上げいただいたお客様から以下のようなコメントをいただきましたが、二世紀前のティースプーンには、現代人を惹きつける何かがあるようにも思います。

『例のティースプーンは勉強の合間に入れるお茶に毎日欠かさず使っています。不思議なもので、使っていると、以前より輝きが出てきたように思います。また、親しみというか、スプーンに不思議な親近感までわいてきて、ちょっと危ないのかと思ってしまうほどです....(^^;』

ブライトカットは18世紀の終わり頃から、英国においてその最初の流行が始まりました。 ファセット(彫刻切面)に異なった角度をつけていくことによって、反射光が様々な方向に向かい、キラキラと光って見えることからブライトカットの呼び名があります。 この装飾的なブライトカット技術が初めて登場したのは1770年代でしたが、それは良質の鋼(はがね)が生産可能となってエングレービングツールの性能が向上したことによります。

ホールマークは順にスターリングシルバーを示すライオンパサント、1800年のデートレター、ジョージ三世の横顔はデューティーマーク、そしてメーカーズマークになります。

それから、柄先にホールマークを刻印することをトップマーキングと言いますが、1800年前後にロンドンで作られたティースプーン等の小物シルバーウェアのトップマーキングにおいては、ロンドン レオパード ヘッドの刻印を省略することが当時流行っていました。 このティースプーンにもロンドン アセイオフィス マークがありませんが、同時期に作られたロンドン物ではよく見かける傾向なのです。 おそらくロンドン中心思考がこうした習慣を生んだと思われますが、1830年ぐらいから以降は改まりきっちり刻印されるようになっていきます。

オールドイングリッシュ パターンについてはアンティーク情報欄「4.イングリッシュ スプーン パターン」の解説記事を、またジョージ三世については「5.シルバーホールマークとジョージアンの国王たち」後半部分をご覧ください。




アンティーク 英吉利物屋 トップ(取り扱い品一覧)へ 新着品物 一覧へ アンティーク情報記事 一覧へ 英吉利物屋ご紹介へ