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No. 5275 フランス製 シルバー クロスのブローチ
クロスの縦 6.2cm、横 3.35cm、本体の厚み(留め具含まず) 1mm弱、ピンの長さ 4.8cm、重さ 10g、1900年前後のフランス製、三万四千円 SOLD

ほぼ同じ時期に作られた英国のシルバークロス 6911とあらためて見較べているうちに、ふと思い浮かんだことがあって、追記したくなりました。

ともに百年ほど前に作られたアンティーク アクセサリーですが、英国のクロスは厚みもあって頑丈な感じで、エングレービングは見事なものの、華やいだフレンチものと較べるとやはり無骨な感じは否めません。 どちらが良い悪いという話ではなくて、それぞれに個性と味わいがあると思うのですが、この雰囲気の違いはそのまま百年経った現代でもフランス女性とイギリス女性の違いに当てはまりそうに思うのです。

英国のドーバーからフランスのカレーまで、英仏海峡をまたぐドーバーフェリーを利用して、フランスに出かけることがあります。 短い船旅になりますが乗客は自動車から降りて、船内のレストランやパブそしてお土産店など巡ったり、あるいはデッキで海を眺めて過ごします。 英仏間のフェリーですから、当然のことながら乗客の多くは英仏人になりますが、不思議と英仏の女性については、見分けがつくのです。 

フランス女性はジュエリーを身に着けていたり、あるいはスカーフをちょっとあしらったりしているので、遠くから見てフランス人かなと予想していると、なるほどフランス語をしゃべっているわけです。 ところがイギリス女性は華やいだ雰囲気と縁遠いことが多くて、お化粧していない女性はまずイギリス人と見て間違いありません。 英仏の二つのアンティーク クロスの雰囲気がそのまま出ているように思うのです。

二つのクロスを並べて眺めていると、英仏女性のおしゃれ感やアクセサリーの好みは昔からあまり変わっていなくて、百年以上前から続く歴史の延長上に現代の人たちの暮らしがあることを、あらためて感じさせてくれます。


元々の説明は以下の通りです。

透かし細工は糸鋸を使ったハンドワークで、小花や植物模様の彫刻も繊細で手間のかかった仕事です。 ピアストワークの断面に残る糸鋸のギザギザ跡を、ルーペで詳細に観察してみても、職人さんの確かな腕前を感じさせる細工になっています。 

基本デザインの背景部分で色合いが濃いめに見えるところは、1ミリ間隔に何本もの細かさで彫刻線を走らせて影を付けたもので、これもハンドワークとしては限界的な仕事になっています。

クロスの縦が6.2センチと大きめなこと、普通のクロスにはない広がりのあるゴージャスなデザイン、そして表面の素晴らしい彫刻と合計20箇所におよぶピアストワーク、かなり見栄えのするアンティーク アクセサリーと思います。

しかしコレクターならずとも、写真の品は一目見てアクセサリーとして完成度の高い美しい品と分かりましょう。 普段は英国アンティークを見慣れている私からすると、やはりフレンチは華やかさが違うなと新鮮な気持ちになれます。

ホールマークはありませんが、1900年前後のフランス製シルバーブローチで間違いないでしょう。




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