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No. 5212 ヴィクトリアン スターリングシルバー フルーツナイフ with マザー オブ パール ハンドル
開いた長さ 11.9cm、閉じた長さ 7.2cm、重さ 19g、柄の最大幅 1.2cm、厚み 6mm、1890年 シェフィールド、一万六千円

ヴィクトリアン後期の1890年に作られたスターリングシルバーのフルーツナイフで、マザー オブ パール柄の輝きが美しい品です。 ふっくらと丸みのあるマザー オブ パール ハンドルは、緩やかにまがった作りで手になじみます。 作られたのは百二十年近く前になりますが、もちろん今日でも実用出来るアンティークになります。 

ブレードのホールマークは順にシェフィールド アセイオフィスの王冠マーク、スターリングスタンダードを示すライオンパサント、1890年のデートレター、そしてメーカーズマークになっています。

マザーオブ パールという素材はミルクホワイトの輝きが内側からこぼれてくるようで、光に当たると見えてくるうっすらとした虹色の輝きが綺麗です。 

マザー オブ パールの品をお買い上げいただいたお客様から、次のようなお便りをいただきましたので、ご紹介させていただきます。
『取手の白蝶貝のうっすらとした輝きがとても綺麗です。 まるで、嵐が来る前の空のようだと思いました。 上空を凄い速さで白い雲が流れていく中、時折、空全体がぱあっと明るくなる様子を髣髴とさせます。』

イギリスは一日の中でもお天気の移り変わりが激しくて、さっきまで晴れていたかと思うと、一転してにわかに雲が天を覆うことも多く、お客様からの文章にあったような光景をしばしば目にいたします。 なるほどと、マザーオブパールをとてもよく形容しているように思いました。

この品が作られた頃の時代背景については、英国アンティーク情報欄にあります 「14.Still Victorian」や「31. 『Punch:1873年2月22日号』 ヴィクトリアンの英国を伝える週刊新聞」の解説記事もご参考ください。 

この品の背景を考えてみると、元々はリンゴなど果物用に作られたナイフなのですが、注意が必要なのは、イングリッシュ コックスなど英国のリンゴは日本のものよりずっと小振りなので、日本のリンゴにフルーツナイフを合わせると、ずいぶんと小さい感じがするのではないでしょうか。

こうしたタイプのフルーツナイフが英国で作られるようになったのは、ジョージアンやヴィクトリアンの時代からです。 それから、ふと思ったのですが、今日では英国人がリンゴを食べるとき、皮を剥いて食べることはむしろ少ないように思います。 

英国のリンゴは直径が五、六センチと小振りなタイプが多いので、ランチに丸ごと一個をつけたり、あるいはちょっとお腹がすいた時のおやつとして、そのまま丸かじりする方が多いのです。 また、イギリス人はあまり人目を気にしないのか、女性でも電車の中などで、りんごを丸かじりしている人の姿をよく見かけます。 日英比較の観点からは、りんごの丸かじりというのは面白い光景です。 日本のりんごは大きくてナイフで皮を剥いて食べるのが普通でしょうから、もし日本の電車の中でりんごを丸かじりしている女性がいたら、どんな風だろうかと想像すると可笑しくなりますが、所違えばなんとやらで、イギリスではいたって普通の光景なのです。







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