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No. 5160 ジョージ三世 スターリングシルバー ブライトカット シュガートング
長さ 13.4cm、重さ 25g、つまみの間隔 4.7cm、ジョージ三世のデューティーマーク(1785年から1822年)あり、1800年前後のロンドン製、二万円

ジョージアンの時代の中でも、ジョージ三世の治世(1760年から1820年まで)が最も長かったこともあり、この時代のアンティークには「ジョージ三世」の名を冠することが英国ではよくあります。 

写真一番目でつまみ部分の内側に見えているホールマークはスターリングシルバーを示すライオンパサントと、ジョージ三世の横顔でデューティーマークです。 反対サイドのつまみ内側にはメーカーズマークが刻印されています。

さらに、ライオンパサントをルーペで見てみると、Lion Passant Guardant(真正面向きの意)であることがはっきりと分かるのは、このトングの興味深いポイントになっています。 これは元々深く刻印がなされていることに加えて、刻印位置がつまみの内側であることから、保存状態が極めて良好な為です。

ライオンパサントには二通りあることをご存知でしょうか?
アンティーク スターリングシルバーの知識として知っておいても面白いと思います。

1820年までのライオンは横歩きの姿で顔だけは正面を向いています、そして1821年以降は顔も横向きのライオンになるのです。 厳密に言うと、Lion Passant Guardant(真正面向きの意)と、Lion Passant Profileと呼んで区別されます。 アンティークハントの際に、ルーペでライオンマークを調べてみて、このトングのライオンのように、こっちを向いていたらかなり古いという使い方が出来るわけです。

大きめなシュガートングになりますが、それゆえにブライトカットが堪能出来るのはよいでしょう。 小花のエングレービングも美しく、柄先の装飾も彫りが深くて綺麗なので、手元に置いて見て楽しめるアンティークになっていると思います。 また、アンティークにもいろいろありますが、この品は1800年前後の品ですから、二百年ほどの時を経ているという古さは、大きな魅力と言えましょう。 とても古いのにコンディションが良好なのも優れた特徴です。

左右両方の柄と、トング中央の背に当たる部分にはブライトカットが施されています。 ブライトカットは18世紀の終わり頃から、英国においてその最初の流行が始まりました。 ファセット(彫刻切面)に異なった角度をつけていくことによって、反射光が様々な方向に向かい、キラキラと光って見えることからブライトカットの呼び名があります。 この装飾的なブライトカット技術が初めて登場したのは1770年代でしたが、それは良質の鋼(はがね)が生産可能となってエングレービングツールの性能が向上したことによります。

1800年前後にロンドンで作られたシルバーウェアにおいては、ロンドン レオパード ヘッドの刻印を省略することが当時流行っていました。 おそらくロンドン中心思考がこうした習慣を生んだと思われます。 このトングにはアセイオフィスマークがありませんが、マークがないことから、かえってロンドン アセイオフィスによる検定と判断がつきます。

デートレターがありませんが、ジョージ三世の横顔マークから、1785年から1822年まで製作年の幅を狭められます。 そして、アセイオフィスマークがないことから、1800年前後のロンドン製とさらに、製作年の幅を狭められるというわけです。





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