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No. 5155 ジョージアン スターリングシルバー オールドイングリッシュ パターン ブライトカット ティースプーン
長さ 12.0cm、重さ 10g、ボール部分の長さ 4.1cm、最大幅 2.55cm、ボールの深さ 5mm、柄の最大幅 1.2cm、1800年前後 ロンドン、九千円

このティースプーンは三本セットで求めましたが、裏面のホールマークがどれも同様な状況で、デートレターが見えません。 ライオンパサントとジョージ三世の横顔マークがしっかりしている様子からみて、デートレターはもともとなかったのではないかと判断しています。 

ブライトカットの彫りはクリアで美しく、コンディションもまず良好なジョージアン スターリングシルバー ティースプーンと思います。 ブライトカットの中心線が、よく見ると左右に少し揺れているのは、ジョージアンの手仕事の楽しさです。 柄先に向けた楕円の飾りは繊細な彫刻で、小花デザインのエングレービングも可愛らしく思います。

これらのエングレービングは幾何学模様ではありますが、機械で切った彫刻線ではない手仕事なので、よく見るとエングレービングの幅にブレがあったりして、それがまた人の温かみを感じさせます。 以前にブライトカットのティースプーンをお買い上げいただいたお客様から以下のようなコメントをいただきましたが、二世紀前のティースプーンには、現代人を惹きつける何かがあるようにも思います。

『例のティースプーンは勉強の合間に入れるお茶に毎日欠かさず使っています。不思議なもので、使っていると、以前より輝きが出てきたように思います。 また、親しみというか、スプーンに不思議な親近感までわいてきて、ちょっと危ないのかと思ってしまうほどです....(^^;』

ブライトカットは18世紀の終わり頃から、英国においてその最初の流行が始まりました。 ファセット(彫刻切面)に異なった角度をつけていくことによって、反射光が様々な方向に向かい、キラキラと光って見えることからブライトカットの呼び名があります。 この装飾的なブライトカット技術が初めて登場したのは1770年代でしたが、それは良質の鋼(はがね)が生産可能となってエングレービングツールの性能が向上したことによります。

写真二番目のホールマークは順にスターリングシルバーを示すライオンパサント、ジョージ三世の横顔はデューティーマーク、そしてメーカーズマークになります。

それから、柄先にホールマークを刻印することをトップマーキングと言いますが、1800年前後にロンドンで作られたティースプーン等の小物シルバーウェアのトップマーキングにおいては、ロンドン レオパード ヘッドの刻印を省略することが当時流行っていました。 このティースプーンにもロンドン アセイオフィス マークがありませんが、同時期に作られたロンドン物ではよく見かける傾向なのです。 おそらくロンドン中心思考がこうした習慣を生んだと思われますが、1830年ぐらいから以降は改まりきっちり刻印されるようになっていきます。

オールドイングリッシュ パターンについてはアンティーク情報欄「4.イングリッシュ スプーン パターン」の解説記事を、またジョージ三世については「5.シルバーホールマークとジョージアンの国王たち」後半部分をご覧ください。





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