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No. 5153 ジョージ三世 スターリングシルバー ブライトカット テーブルスプーン
長さ 21.0cm、重さ 51g、ボール部分長径 7.5cm、ボール部分の最大横幅 4.35cm、1798年 ロンドン、二万五千円

今から二百年以上も前に作られたオールドイングリッシュ パターンのテーブルスプーンで、英吉利物屋の取り扱い品の中でも古い方の品になります。 1700年代の作ともなると、やはりその古さはアンティークとして大きな魅力になるでしょう。 ジョージアンの中でも1760年から1820年までのジョージ三世時代は長かったので、この時代のアンティークには「ジョージ三世...」と接頭辞のように国王の名前を冠することが多いのです。

ブライトカットは18世紀の終わり頃から、英国においてその最初の流行が始まりました。 ファセット(彫刻切面)に異なった角度をつけていくことによって、反射光が様々な方向に向かい、キラキラと光って見えることからブライトカットの呼び名があります。 この装飾的なブライトカット技術が初めて登場したのは1770年代でしたが、それは良質の鋼(はがね)が生産可能となってエングレービングツールの性能が向上したことによります。 この品は1798年の作なので、ブライトカットの装飾技法が使われ始めたうちでも、初めの頃の品になります。

写真三番目でホールマークは順にスターリングシルバーを示すライオンパサント、ロンドン レオパードヘッド、1798年のデートレター、ジョージ三世の横顔はデューティーマーク、そしてメーカーズマークです。 

かなり古いスプーンをお求めいただいたお客様から、ジョージアンの時代に銀器を使っていた人たちはどんな人たちだったのかというご質問をいただきました。 遠い昔に銀器を使っていたのは豊かな人たちであったに違いありませんが、この問題はよく考えてみると、もっと奥の深い問題であることが分かります。

ジョージアンの時代に銀器を使っていた人たちは、百年ほど前のヴィクトリアン後期に銀器を持っていた人たちよりも、一段と社会階層が上のお金持ちだったと思われます。 ジョージアンの時代には、まだまだ銀は社会の上層階級の占有物であったからです。 ヴィクトリア期には英国の経済力も大いに伸長したので、ヴィクトリアン後期の英国では銀器が新興富裕層にまで普及し、その裾野が広がりました。 つまり銀器を使った昔のお金持ちといっても、二百年前と百年前ではその意味合いや程度が大きく異なるのです。

「International Hallmarks on Silver」という本に、過去の銀世界生産量推計という面白い資料がありました。 その資料によれば、このテーブルスプーンが作られた当時の年間生産量は800トンほどで、ヴィクトリア時代最後の1900年は5400トンとあります。 時代と共に生産量が七倍ほど増しているわけですが、逆にみると、より昔の時代における銀の希少性について、お分かりいただけるのではないでしょうか。

オールドイングリッシュ パターンについては、「英国アンティーク情報」欄の「4.イングリッシュ スプーン パターン」を、そしてジョージ三世とデューティーマークについては、「5.シルバーホールマークとジョージアンの国王たち」解説記事の後半もご覧ください。






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