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No. 5096 エドワーディアン スターリングシルバー サーピングスプーン
長さ 19.0cm、重さ 45g、ボール部分の長さ 7.0cm、最大幅 4.6cm、深さ 1.1cm、柄の最大幅 1.8cm、柄の最小幅 0.5cm、柄の最大厚み 3mm、1910年 ロンドン、Josiah Williams & Co.作、二万二千円

エドワーディアンが終った年に作られた作られたスターリングシルバーのサービングスプーンです。 百年近い時を経ておりますが、ほぼ未使用な状態で今に至っており、コンディション良好な品です。 世界中の富がイギリスに集中したヴィクトリアンからエドワーディアンの時代には、シルバーウェアも多く作られました。 それだけに英国のアンティークシルバーはとても層が厚く、このサーバーのような良い品に出会える確率も高くなっているのかも知れません。

シェル(貝がら)の形はフランスのロココ様式の流れを汲んでいますが、もうすっかりイギリス風に消化され、しっかりした感じになっています。 フランスのシルバーウェアは、いつの時代も優美で繊細な感じの品が多いように思いますが、同じくフランスの影響を受けてもイギリスで消化されると、どうしてもしっかりした感じが出てくるのは面白いと思います。

さらに元々を言えば、ボール部分のシェルパターンは、12世紀にスペインの聖地 St.ジェイムス オブ コンポステラへ向かう巡礼者たちが、彼の紋章であったシェルを身につけて旅したことから、クリスチャンシンボルとして、シェルが取り入れられていったのが始まりです。 15世紀以降はセラミックスやシルバーの分野で、このシェルモチーフが繰り返し取り上げられて今日に至っています。

柄のデザインは小さな木の実と葉の組み合わせです。 イギリスの早い秋が訪れますと、あちらこちらでこのサーバーにもかたどられた小さな赤い実が見られ、目を楽しませてくれます。 そういえば、イギリスはベリー(木の実)が真っ赤できれいな年はことのほか冬が寒いと言われています。 

このサーバーは持った感じも重たく、しっかりしていて、19 cmの長さは果物やコンポートを供する上で実用向きです。 実際この大きさは私の家では出番が多く、お豆やポテトサラダをすくったり、ゼリーを大きな器に作った後、とり崩して分けたりと、大皿料理の多い私の食卓では出番の多い大きさです。

柄の裏面にはブリティッシュ ホールマークがしっかり深く刻印されています。 写真三番目のマークは順に Josiah Williams & Co.のメーカーズマーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、ロンドン レオパードヘッド、そして1910年のデートレターです。

一般にヴィクトリア時代創業のシルバースミスが多い中にあって、Josiah Williams & Co.はジョージアンの時代に始まった老舗の一つになります。 このサーバーのメーカーズマークは当時の共同パートナーであった二人、George Jackson & David Fullertonの頭文字GJDFが刻まれています。 

1800年創業のJosiah Williams & Co.はブリストルのメーカーで、地方では最大のシルバースミスでした。 今日でも中世の街並みや大聖堂が美しいブリストルは、16世紀にはエイボン川河口の貿易港として栄え、その後はイングランド南西部の主要都市として発展しました。 しかし大きな都市であったがゆえに、第二次大戦中の1940年11月24日にはドイツ軍による空襲を受け、Josiah Williams & Co.も工房を失い、残念ながら140年の歴史に幕を閉じました。

アンティーク エドワーディアン スターリングシルバー サーピングスプーン




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