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No.4342 エドワーディアン スターリングシルバー フィドルパターン テーブルスプーン
長さ 20.5cm、重さ 62g、ボール部分の長さ 7.4cm、ボール部分最大幅 4.5cm、深さ 1.2cm、1904年 シェフィールド、John Round & Son Ltd.作、一万七千円

今から百年以上前のエドワーディアンの時代に作られたスターリングシルバーのテーブルスプーンです。 フィドルエッジのカットが美しく、柄に施された手彫りのエングレービングも繊細で、柄先にはハート様のデザインも効いています。 プレーンタイプと違ってゴージャスな印象の銀器なので、サーバーとしてお使いいただくと良さそうに思います。

アンティークのテーブルスプーンというのは、現代の品と比べるとかなり大きなものです。 今日的にはテーブルスプーンとして使うにはちょっと大きすぎると思うので、私は大皿料理の取り分け用に使いますが、ボール部分の長さが7.4cmもあるので、サービングスプーンとしても十分な大きさと思います。

このスプーンのパターンは柄の形がヴァイオリン(Fiddle)に似ていることから、フィドルパターンと呼ばれます。 もともとは18世紀のフランスで人気だったこのフィドルパターンは、19世紀に入った頃からイギリスでも次第に流行っていきました。

百年以上前のスプーンですがホールマークがどれもくっきりしています。 写真三番目に見えるホールマークは順にシェフィールド アセイオフィスの王冠マーク、スターリングシルバーを示すライオンパサント、1904年のデートレター、そしてJohn Round & Son Ltd.のメーカーズマークになります。

メーカーのJohn Round & Son Ltd.はシェフィールドの大きなシルバースミスで、アンティークとしても今日でもよく見かける有名メーカーの一つです。 ジョン・ラウンドによって1847年シェフィールドで創業され、当初はスプーンとフォークのメーカーでした。 職人技の素晴らしさとデザインの優雅さで、次第にその評価を確立して、息子のエドウィンをパートナーとして迎える頃には、銀器なら何でもこなすシェフィールドの大メーカーに成長していました。 第一次大戦を境にしてイギリスの国力が衰えていくと、多くのシルバースミスも衰退していった中で、John Round & Sonは1962年までシルバースミスとして仕事を続けていたというのも珍しい例と思います。

フィドルパターンについては英国アンティーク情報欄の解説記事 「4.イングリッシュ スプーン パターン」 も合わせてご覧ください。

このアンティーク シルバー テーブルスプーンが作られた頃には、1902年:日英同盟締結、1904〜1905年:日露戦争と、近代日本の分水嶺となった出来事がありました。 今から思えばずいぶん昔のことになります。 ロシアの南下を防ぐという意味で利害が一致したからとは言え、イギリスがそれまでの「栄光ある孤立」政策を捨てて同盟を結んでくれたことは、我々にとってラッキーでした。 アンティークを手にしていると、百年に近い時の経過があらためて身近に感じられるのは楽しいことです。

エドワーディアン スターリングシルバー フィドルパターン テーブルスプーン




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