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No. 4267 ジョージ三世 スターリングシルバー フィドルパターン バターナイフ with フラワーエングレービング
長さ 18.0cm、重さ 30g、ブレード部分の最大幅 2.45cm、柄の最大幅 1.8cm、1808年 ロンドン、一万八千円

表と裏の両面にわたってブレードとハンドルに手彫りのフラワーエングレービングが施され、ゴージャスな雰囲気のスターリングシルバー バターナイフです。 作られたのは今から二百年前という古さも魅力です。 

このバターナイフのパターンは柄の形がヴァイオリン(Fiddle)に似ていることから、フィドルパターンと呼ばれます。 もともとは18世紀のフランスで人気だったこのフィドルパターンは、19世紀に入った頃からイギリスでも次第に流行っていきました。 フィドル パターンについてはアンティーク情報欄「4.イングリッシュ スプーン パターン」の解説記事も合わせてご覧ください。

柄の裏面にはスターリングシルバーを示すライオンパサント、1808年のデートレター、そしてジョージ三世の横顔マークが刻印されています。 その横にメーカーズマークがありますが、刻印があまく、判読がむずかしいです。

見たところ、アセイオフィスマークがありませんが、それは次の理由によります。 柄先にホールマークを刻印することをトップマーキングと言い、1800年前後にロンドンで作られた小物シルバーウェアのトップマーキングにおいては、ロンドン レオパード ヘッドの刻印を省略することが当時流行っていました。 この品にもロンドン アセイオフィス マークがありませんが、同時期に作られたロンドン物ではよく見かける傾向なのです。 おそらくロンドン中心思考がこうした習慣を生んだと思われますが、1830年ぐらいから以降は改まりきっちり刻印されるようになっていきます。

英国でアンティークという言葉を厳密な意味で使うと、百年以上の時を経た品物を指します。 気に入った古いものを使っていくうちに、その品が自分の手元で‘アンティーク’になっていくことは、コレクターの喜びとも言えますが、このバターナイフが作られたのは1808年ですから、余裕でアンティークのカテゴリーに入るどころか、"ダブル"アンティークにもなるわけで、やはりこれほどの古さは大きな魅力と言えましょう。

最後になりましたが、品物名に「ジョージ三世」とありますのは、ジョージアンの時代の中でも、ジョージ三世の治世(1760年から1820年まで)が最も長かったこともあり、この時代のアンティークには「ジョージ三世」の名を冠することが多い為です。 国王ジョージ三世については「5.シルバーホールマークとジョージアンの国王たち」の記事後半にある解説もご覧ください。

ジョージ三世 スターリングシルバー フィドルパターン バターナイフ with フラワーエングレービング



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